「……」
部屋の男が目を覚ました。
朝日が眩しいかのようにまだ目を細めている。
そこに横から女が離しかけた。
「起きたか」
「……カサナか」
ドラゴンの瞳が男の目に映る。
「……何日経った?」
「昨日の今日だ」
「一日か……短いほうだったな」
「そのようだな。ラクルとお父上もそのように言っていた」
「そうか……父上?」
「あ、いやそう言う意味ではなくてだな!」
途端にカサナの顔が赤くなる。
「……そういう意味とはどういう意味だ?」
「え!……いや…」
「どういう意味だ?」
「い、いやその、だな。き、気にするな…」
「…?ほんとにどういう意味だ?」
意外としつこいうえに鈍い。
「…む、その、……ダーーーーー!!」
バフン!
カサナが壊れたような顔でベッドを叩いたのだ。
「……き、気にするなといえば!気にするな!分かったな!」
「お、おう…」
セトの顔も赤くなっている。
今度はカサナがいぶかしむ番だったがすぐにその理由に気付いた。
顔が、近づきすぎた。どうやら力が入りすぎて顔まで下がったらしい。
「!!」
さすがに唇と唇が、とまではいかないがやはり近い。
「ぁ…」
「……」
どちらも硬直したまま遅く時が動く。
先に目と顔をそらしたのはセトだった。
「む……その…なんだ、うん」
「あ、ああ」
慌ててカサナも顔を離す。
「……」
「……」
お互い気まずく、目を合わせては違う方向を見つめる。
逆に言えばそれ程目を合わせているのだが二人がその意味にいつ気付くのかは分からない。
そんな二人をどこからか温かい目が見つめている。
「ああん、おしい〜」
「もうちょっとだったのに〜」
毎度おなじみの魔物フレンズが集合していた。
「つかいいのか、こんなところで見ちゃって」
新顔のラクルまで混ざっている。
「いいのよ〜、むしろそれがイイ!」
ノーラが感極まったかのような声を発する。
「それにあんな初々しいのを見ていると…」
ラクルに擦り寄っていく。
「体もいちば〜ん初めのように熱くならない?」
フ〜と耳に息をかける。
「う、な、なにすんだよ」
「ノーラ!!」
慌ててパラメが抱き寄せる。
「あん」
「何やってるの!」
「え〜んいい雰囲気だったのに〜」
「まったく!ラクルも!何で固まってたの!」
「いや、そりゃあそうだろう」
「どういうこと!?」
「いや!別に変な意味じゃねえぞ!急にあんなことされたらだれだって…」
「固まっちゃうよね〜、『アソコ』も♪」
「な、ななな」
「お、おい!違うぞ!別にそんなことしてねえぞ!」
「いいじゃな〜い隠さなくたって」
「だから違うって!」
「ラクル〜……」
「おい待て!いい年して誘導されてんじゃねえ!」
「そう、私のような年はもう女と見ないわけ……そう…」
「は!?何言ってんだ!」
「ああ、これが世に言う夫婦喧嘩なのですね。なんと仲睦まじい」
ダークプリーストらしくアルノーが聖印をきりながら憧れの表情を描いている。
そんな爆弾が爆発寸前の様相を呈している場所から少し離れたところに同じくセト達を覗いている姿があった。
「ノオオオオ!なにやってんだあいつら!なんであそこでチューしねえんだ!チュー!」
「ほんとに何考えているのかしらね。初々しいのはいいけどもっとこう燃え上がらないと」
「まったくまったく」
セトの父親とデルエラが熱く語り合っていた。それをメルセやウィルマリナなどレスカティエの主要人物達が見ている。
「ええ、ほんとに。これだから……」
「ったく〜、これだから……」
二つの声が重なる。
「男の人は」
「女ってのは」
が、意思疎通の結果は違ったようだ。
ん、とおたがい顔を見合わせる。
「……何言ってるの?この場合男が悪いんじゃない。せっかく女が好意を抱いてくれてるのに。息子だからって甘く見すぎじゃない」
「何言っちゃってんのこの人は?どうみても女がダメだろ。好きなんなら適度に攻めなきゃ。男がアタックし続ける時代なんて一度もなかったんだぞ〜。そっちこそ身内だからって甘いんじゃねえのか?」
「ぜんっぜんロマンが分かっていないわね。私はこの通り強引なのが好きだけどやっぱり女の人にとってはリードされるのはまんざらでもないのよ。カサナはその典型ね」
「い〜や、たしかにそれもあるかもしれねえがやっぱ基本は女が動かねえとな。特にセトは『待ち』の典型的な人間だからな」
「あ〜らいいのそんな事言っちゃって。自分の女いない暦を見せているものよ。あんた女と付き合ったこと無いでしょ」
「あ〜らそっちこそいいんですか〜そんな事言っちゃって。男いない暦を暴露しているものですよ〜魔王の娘さん」
カチン、と音が聞こえた。
「……へえいいの?そんな事言っちゃって。魔王の娘よ。リリムよ。誰に喧嘩うってんのかわかってるんでしょうねえ!この童貞実子無し
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