「急患ですーーー!」
室内に響く絶叫に私は
「またか……」
とため息をついた。どうも最近この手の患者が多い。
「手の空いているもの、できれば、あー、君と君がいいな。すぐにオペの準備だ」
「はい!」
「がんばりますっ!」
二人ともすでに医療行為用の白衣を着て準備はいいようだ。うん、流石我がサバトのユニコーンと魔女だ。
「クランケの様子は?」
私はオペ室に向かっている間にカルテを見ながら、苦しそうにしている男性を見る。
「えっと、男性は〇〇、現在このサバトにて“おにいちゃん候補”として身を置いている状況です。年齢は24歳、ごめんなさい。これ以上の情報はありません」
「症状はつい先ほどとのことです。緊急医療班が現場に迎えに行った時には意識不明の重体でした」
「そうか、まずいな」
患者の様子を見るに間違いない。
「Oウイルス」
「やっぱりそうですか、いったい何が」
「お、おにいちゃんしっかり!!」
魔女がまるで自分の兄のように手を握り必死に訴えるが、男性はよけい苦しむ結果になってしまう。
「触れてはいけない。気持ちはわかるが、Oウイルスは危険だ」
「す、すみません!」
「何、もし自分のお兄様がこんな状況だったらみな同じことをする。して、この男性の教育係は?」
「わ、わたしですっ!!」
ほう、なるほど、魔女といってもまだこのサバトに来たばかりだな。私は彼女の頭に手を乗せて撫でてあげる。
「あの、お兄ちゃんは」
「大丈夫だ。して、医療・寝療行為同意書にサインを頼む」
「……は、はい、あのっ」
「わかっている」
やがて、サバト内でも屈指の医療設備が整った部屋へと男性を運び込む。
部屋の前には行為中というランプが赤く点灯し、幼い魔女はその前に立ち尽くす。
「大丈夫だ。心配はいらない……待っていてくれ」
少女はコクリと頷くと、傍にある椅子へと腰掛け両手を合わせた。
「それで、どんな状況だ」
「はい、『インチェック及びメディカルキュア』を開始。心拍数、呼吸に乱れがあります」
魔法陣を展開してユニコーンの少女が治癒魔法を続けている。しかし、男性の症状は皮肉にもレベルCからいっきにGへと変わった。
「た、大変です」
「落ち着きたまえ、我々はプロだ。まだGだろう? 問題ない」
「しかし、バフォメット様!!」
「ここではわたしのことはプロフェッサーと呼べと何度言えばわかる。まあいい。緊急オペだ!」
「「はいっ!!」」
「はぁ……はぁ…どうですか」
みな汗を流し真剣だ。
「汗!」
サポートに回ったユニコーンが私の額の汗を拭いてくれる。
「仕方ない、傷が思ったよりも深い。これより男性の服を切り、直接魔力を流し込む行為に以降だ」
「は、はい」
「うう、ごめんなさい。我慢してくださいね」
魔女の少女はハサミをとりだし、慎重に男性の服を切り、やがて一糸まとわぬ男性の姿が手術台の上へと現れた。
みな目の色が変わる。それはそうだ。みな兄が居ない。医療・寝療行為同意書にサインをもらったが、やはり……
「教育係の魔女をここへ」
「はいっ!!」
「君の名は?」
「アーチェです。あの、お兄ちゃんは!!」
「落ち着きなさい。アーチェ、君の力が必要だ」
「え」
驚くのも無理はない。彼女は数々の試験や論文を書き、ようやくこのサバトへと入ることが許された。
しかも、実際の医療・寝療行為は初めての経験だ。
「ふふ……安心しろ。我々がついている」
「そうですよ!!」
「うん! みんなでお兄ちゃんを助けよう」
他の魔物達に励まされ、アーチェが部屋へと入室する。四方から風が強くあたりチリや細菌といったものが吹き飛ばされた。
隔壁を抜けると手術台に横たわる男を見て、アーチェは思わず駆け寄りそうになるが、それをバフォメットは手で制す。
「まず、服を脱ぐんだ」
「はい、……んしょ」
やがてそこには一糸まとわぬ、幼い少女がちょこんと立ち尽くす。
「大丈夫です。最初はみんな緊張しますから」
ユニコーンの少女がアーチェの手を取り男性へと導く。
「では、まず、彼に馬乗りになるんだ」
「え!?」
アーチェは戸惑うが、他の少女達もうなずくのを見ると、そっと指示されたように手術台へと上がる。
「よし、まず抱きしめてあげるんだ。実際ははじめてだろうが、模擬試験でやっただろう?」
「はい、あの寝療行為ですよね」
「そうだ。これは寝療行為だ」
「うんうん」
アーチェはおそるおそる。小さい体を男性へと倒して、ぎゅっと抱きしめる。
「プロフェッサー!! 数値がGからCへ変わりました!」
「よし、ではキスも、あとそうだな口を開けて唾液も流し込んであげるんだ」
「わたし達も彼の口を開けるの手伝いますね」
「うん!」
みなすでに白衣は脱
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