第2話 ファミリアちゃんと遊ぼう、もちろんバフォさまも居るよ!!

「お、おにいちゃん
#9829;」

「ふぁ、ふぁみりあちゃん……はぁはぁ……」
 魔法的なエアコンは全開のハズだが、今年の魔界は暑い。

 ボクとファミリアちゃんはそんな日だというのに……。



「ああっ!!」

「くっ!」

 ファミリアちゃんの顔が苦痛に歪む。ボクは……ボクはっ! そんなファミリアちゃんの顔を見たくないので早くコトを済ませようと焦る!!


「ああん、ダメだよぉ!!!」

「だ、大丈夫だ。イける!」

 すでにボクたちは汗びっしょり。ボクはしっかり棒をにぎって狙いをつける。そして……ゆっくりとモノが降りていく……。


「おにいちゃん……はやくぅ
#9829;」

「だ、大丈夫だ!! 焦ったら失敗するし、痛い目にあうから、落ち着いて見てて」

 緊張しているのか、それとも暑いせいか、……ファミリアちゃんの息も荒い。ボクもだけど。


「ああああーーーー!!!」

「くそっ、棒が滑ってうまく握れない」

「おにいちゃん、はぁはぁ、あまりらんぼうにしちゃだめだめぇ!! 壊れちゃうよぉ!!」

 汗で手が滑り、またうまくいかなかった。ファミリアちゃんの握る手が震えている。

 穴に入れようとして、また手が滑る。これ以上ミスができない分、更にあわてていたみたいだ。

「ごめん、もうちょっと優しくするね……ん、ど、どう?」

「うん、だいじょうぶ……は、はやくぅ、おにいちゃん……」
 指で慎重にさわるが、その度にまた返って逆に奥へと……。

「よ、よしっ」

「う、うん、……もうげんかいだよぉ
#9829;」
 こんなにも応援してくれているんだ。彼女の期待に応えないと申し訳ない。また、手をぎゅっと握る。

「おにいちゃん……」

「まかせろっ!」

「うんっ☆」

 ふたたび棒を握る。

「おにいちゃん、穴はここだよぉ。えへへ
#9829;
#9829;」

「そ、そうだな」

 ファミリアちゃんの手がボクの手に重なる。

「よし、入れるぞ」

「……う、うん
#9829;」



 見つめあうボク達……、もう言葉はいらなかった。

 そして動き出す。


 爪が、爪がひっかかった!

「あんっ
#9829;」

「くっ」

 その瞬間、ファミリアちゃんの体が歓喜に震える。
 ボクは全身で喜びを表す。

 やった!!
 ついに
 ついに!!!

 ボクとファミリアちゃんは抱き合う。

「ごめんね。すごい待たせちゃって」

「いいの、ずっと欲しかったし……その、おにいちゃん、あたしのためにがんばってくれたし
#9829;
#9829;……えへへっ☆」














がらーーーーー!!!



「こら、兄ーーーーー!!! 何をやっているのじゃ!!!!!!」



「あっ、バフォメットさまぁ、見て見て、これぇ、おにいちゃんが取ってくれたんです
#9829;
#9829;
#9829;」

「え、えええ、ぬいぐるみ!? じゃと??」

「あれ? バフォさま、そんなに慌てて、どうしたんですか??」

「いや、その、通りかかったら、変な声がしたので、それで兄の浮気と思ったのじゃ!!」

「ええっ、なんでそうなるんですか!!?」

「だって、だって! あきらかにえっちぃ会話で、兄もファミも、そ、その、もしかしてえっちなこを……そもそも、棒とかなんじゃ!」

「ゲーム機のスティックですが?」

「ファミが、壊れちゃう〜 とか言っておったぞ!」

「バフォメットさまぁ、あれはおにいちゃんが、ぬいぐるみを強引に爪で引っ掻けて取ろうしてたので、あたしが止めたんです」

「早くぅーー、とかはなんじゃ?」

「だって、早くぬいぐるみが欲しかったんですっ☆」

「穴とか入れるとかはなんじゃ! おかしいじゃろ!!」

「コインを入れる穴が入れ辛くて、機械の隙間に落としちゃったんです。必死になって手を伸ばして取りましたよー」

「うんうん、もう汗とかで滑るし大変だったもんね。おにいちゃん!!」

「うぐぐ、ファミが、あん、とか、いやらしい声を!!……」

「ぬいぐるみがとうとう取れそうだったので、嬉しくて!!」

「………バフォさま?」

「バフォメットさま、暑さで妄想が……、大丈夫ですか??」


「えーーい、というかまぎらわしいのじゃ!!」


「だって、バフォさまがこのクレーンゲームの機械を作ってくれたんじゃないですか!」

「うぐ、それはそうじゃが
いや、実際作ってくれたのはグレムリンちゃんじゃ!!」

「えへへ、バフォメットさまの『メガジャンボぬいぐるみ』が取れなくて、そこにおにいちゃんがたまたま通りかかってくれて、やっと取ってもらったんですよ
#9829;」

「バフォさま、このクレーンゲーム、設定が鬼畜すぎです!! 
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