いつも通りの通勤路、最近なにやらあっちこっちにカラフルな舗装ができたと思ったら、自転車用のモノだと同僚から教えてもらった。
ふむ、なるほど、そういや自転車も車両だったっけ、せっかくなので自転車屋に行ってママチャリを購入、やっぱり前に鞄が詰めるし、丈夫そう。
そして、ダイエットしたかったのが最大の理由だった。
これならいい運動になる。
「どっこしょ、よし行くぜー」
という訳で俺の自転車通勤が始まった。ちょっとタイヤの空気圧を多めにしたけど、やっぱ潰れている。……ぶっといタイヤのバイクっぽい奴のが良かったかな〜、ま、いいや。
走りながらそんなことを考えていたのがまずかった。
「わっ」
目の前に迫る白い物、咄嗟に交わそうとしたが、“とん”と顔面に軽い衝撃、そして、俺はずっこけた。幸い朝の通勤ラッシュだったにもかかわらず、車に轢かれることもなく無事。
しかし、何かに軽く当たったのは確か、あわてて、よくわからない白い物を探す。
気のせいか、空中を飛んでいたような気もするが、あの高度でドローンが飛行していたとも思えない。
「きゅぅぅぅ」
「え?」
足元に気を失った。え? なにこれ、人形? つんつん。
「むぅ?」
「くかー」
寝てる?
青い長い髪に花の髪飾り、スケスケの白い服を身に纏って、さらに見間違いじゃなかったら、背中に羽がある少女。
というか顔を見たらすごい美少女、てか幼女??
でも、ちっこい。
ハチミツみたいな甘い香りは、彼女からだろうか?
じゃなくて!!
「やべ、とりあえず。事故ったって会社に連絡しないと!」
バッフォンを出して、上司に連絡すると色々聞かれたものの、なんとか臨時の休みをいただけた。大げさに説明して良かった。実際、人的な者と衝突したのは本当のことだし間違ってない。
俺はそっとその謎の生物を保護して家へと戻った。
「さて、どうしたものか」
その謎の生物を連れ帰ってクッションの上に寝かせてやる。外傷とかはないようだし、熱も無い。呼吸もしてるし、やっぱりこの子は生きてる。
とにかく一安心だ。
バッフォンで画像検索をしたら、すぐに正体が判明した。
彼女はフェアリーという。種族の魔物娘らしい。
「ふぁーあ、よくねたー」
んぐぐーと身体を伸ばしてフェアリーが起き上がる。
「あ」
フェアリーは周りをきょろきょろと見て、最後に俺と目があった。
「あーー! あたしにぶつかったお兄ちゃんだ!!」
頬をふくらませてご立腹の様子のフェアリーさん、やべー、本人は怒っているつもりなんだろうけど、全然こわくない。
「ちょっとぉーー! なにへらへらしてんのよ!!」
むにぃーと頬を引っ張られる。
「ごめん、ごめん」
「きゃ、お兄ちゃんの顔すごくのびーるーーー♪」
さっきまで怒っていたのに、小さな羽で俺のまわりを旋回しては耳を引っ張ったりして、笑い転げる少女。
「えっと、君は」
「おっと、ついつい遊びすぎちゃった。えっとわたしはフェアリーのラルカよ。よろしくね。おデブなお兄ちゃん!」
「ラルカちゃんね。うん、さっきはホントにごめんね。っておデブ……」
しょぼーん
俺はがっくりうなだれる。そりゃ太ってるけどさ、こうハッキリ言われると傷つくっていうか。
「すごーい、お腹がトランポリン、わーーーい、たっのっしーーー
#9829;」
「って、まあ、楽しんでるみたいだしいいか」
ラルカと名乗った少女は、その後も俺の体をむにむにしたり、飛んだり跳ねたりして遊んでいた。
「あー、楽しかった。許してあげるね
#9829;」
「そっか、君にケガが無くて良かったよ」
「うん、お兄ちゃんが避けてくれたから、ちょっと足にかすったくらいだし、大丈夫ーーー♪」
楽しかった。という割にまだ俺のお腹の肉をうにょーんと引っ張って笑ってる……。
「やっぱり、太ってるよね俺」
「ん、おデブってやっぱりお兄ちゃんショックだった??」
目の前に飛んできて首を傾げるラルカちゃん、汗びっしょりで着ている服が、すっかり完全に透けてるし!!
「い、いや、実際こんなだし、ラルカちゃんの言う通りだよ!!」
ラルカちゃんの体から目を逸らすように自分の体をみる。というか見ちゃった、ちょっと膨らんだ胸、股の所は産毛すら生えてない。
まさに物語の中の妖精。
「あれー? お兄ちゃんどうしたの? お顔真っ赤だよ」
「うわわっ、なんでもないから、そのあんまり近寄らないで」
気になるのか尚も俺の傍でホバリングしてラルカちゃんが近寄る。うわ、顔もやっぱり可愛いし、こんなにちっこい存在なのに、なんだろ。この子がさっきまで俺の体でぽんぽん飛び跳ねたり、体のあちこちを触って遊んでいたと思うと変な気分になっ
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