わたしの考える異世界転生は幼女に拾われて幼女に征服されて制服される淫らで背徳的な日々を(以下略

 俺の名前はわからない。
 ただ、わかっているのは俺が自分の元居た世界とは違う世界に行ってしまったらしいこと。
 記憶の隅に『異世界転生』等の知識があったので、ファンタジー的なことはわかった。しかし、実際自分の身にこのような不可思議な現象がおきたこと、断片的に思い出す記憶。
 
 幸か不幸か俺は、とある人外の少女の元で世話になっている。
 彼女から様々な説明を受け、ここは魔物や人間とが共にいる。まさに剣と魔法のファンタジーの世界であった。
 しかし、そのような物騒な世界といえば決してそうでは無く。まず、魔物は人間をむやみに傷つけない、どちらかと言うと人間側の信じる『主神』という勢力が一方的に魔物を憎み、争いが起きているという現状らしい。
 らしいというのは、倒れていた俺を保護してくれ、衣食住を与えてくれた魔物からの知識なので、どの程度事実なのかはわからない。

 でも、ひとつ言えるのは、俺がまだ魔物達に囲まれながらも生きているという事実。
 ただ、魔物達が時より色っぽい目で俺を見てくるのはよくわからない。そもそもその事を聞こうとしたらいつも話題を反らされてしまうのだ。


「うむ、という訳で今日はここまでの説明じゃ。人間よ」
 で、俺がここに転生されてお世話になっている少女、と言っても異形である。山羊の角、手と足は動物の毛のようなものに覆われ、何度か触れる機会があったが、とてもふわふわで触り心地が良かった。
「人間よ。そんなにわしの体が変わっておるかの?」
 少女と言っても彼女はこの世界において大変に偉い存在らしい。彼女の元には多くの部下が居た。
 というか少女しか居なかった。時より魔王軍の他の幹部の魔物をみるが、……かなり露出が多い。胸もそうだし、顔も美人だし、確かに最初見た時は悲鳴をあげてしまったが、下半身が馬や蛇のようでも、上半身は正に美女そのもの。
「おい、人間、また貴様は他のきょにゅーの娘に鼻をのばしておるのか、愚か者め!」
 怒られてしまった。彼女はバフォメットという種族とのことだ。名前はイリス、もっと長い名前らしいが俺はイリスと呼んでいる。
 年齢を聞いたら持っている大きな鎌で叩かれた。痛くはなかったが、イリスは大変怒っていた。
「幼女に年齢を聞くとは、人間よ。無礼なのじゃ!」
 イリスは怒り心頭の様子だったが。

 ちっこい。
 すごくちっこいのだ。
 俺の腰くらいしかない身長。幼女なのに、やたら露出の多い服装なのだが、胸とかも小さい。それなのにデッカイ武器を軽々と持っているし、何より、むちゃくちゃ強い。
 一向に魔法を信じない俺をみたイリスはぷくっと頬を膨らませたかと思うと。
「小僧め、みておれ、これがわしの10のちからじゃぞ!!」

 山がひとつ吹き飛んだ。
 
「ふふん、どうじゃ!」
 無い胸をそらせて偉そう(実際偉い)にいうイリス様、俺は驚きと共に、それからというもの“イリス様”と呼ぶようにした。というかあれで10だったら100の力を出したら国がひとつ消えそうだ。

「むむ、わしはそんなことはしないぞ。それにあの山だってちゃんと魔物や人間が居ないのを確認してから破壊したのじゃ!」
 そして、ものすごく優しい人、いや、魔物だった。

「人間よ。その……、だいぶこの世界には慣れたかの?」
「はい、イリス様の教育のおかげです。最初は失礼なことばかり口走ってしまって申し訳ございませんでした」
 ニコリとほほ笑むイリス様、というか、あの破壊や他の魔物(魔女というらしい)に指示をしている姿を見た後でも、やはりコスプレをした幼女にしか見えない。
 本人に言ったらまた叩かれるから言わないけど。
「よいよい、さて、名前がないのは不便じゃな、という訳で今日よりお主は、お兄様と呼ばせてもらうぞ」
 なぜか不敵な笑みのイリス様、というかこんな強い妹がいたら、兄の尊厳とか。
「え? 兄さまですか、そんな、なんか恐れおおいっす」
「だめじゃ、決定じゃ」
 だから鎌はやめて、ほんと怖いよこの幼女。
「わ、わかりましたので、殴らないでください」
「痛くないから問題ないのじゃ」
「いえ、なんかそれでコツンとやられると、頭がぽわぽわして変な気分になるんです」
 そうなのだ。痛くはないけど、目の前のイリス様がとっても愛らしく見えてしまう。
 ちょっと待て、相手はちっこい幼女だぞ。確かにすごいけど、俺はそもそもそんな趣味はないはずだ。前居た世界では確か、巨乳でどちらかと言うと、メガネを掛けた女教師とか、爆乳の委員長ヒロインとか、超乳の女戦士(腹筋が割れてる系)が好きだったはずだ。
 というか、なんでこんなどうしょうもないことばかりを覚えているんだろう?


「お兄様、どうやらもうちょっと教育が必要なようじゃの〜」
 え、まずい、思考を読まれた
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