魔導院のダメ魔術教師

 
 魔導院の魔術教師である僕は彼女に恋をしてしまった。


 ミミル・ミルティエ


 しかし、彼女は天才魔法少女である。(正式には“天才魔術師”なのだが、僕は勝手に魔法少女と呼んでいる)教えることはもう何も無く。時々、魔導院でその姿を見ては、色々と妄想をした。

 そもそも、ここはレスカティエ教国、魔術の最高機関の神聖なる学舎、とっくに僕の魔法技術を追い越して、何度か授業で意地悪な質問をされて、散々な目にあった。
 最初は、生意気な生徒だと思っていたが、彼女は天才すぎた。あっという間に他の生徒を追い越したと思っていたら、今ではレスカティエの勇者の一人で最強の魔法少女である。


 僕は過去に数回だけ教えた頃を思い出す。

「あーあ、先生そんなことも知らないの?」

 覚めた目で自分よりも年下の少女にバカにされる。

「もういいや、先生いらない」

 他の生徒が唖然とする中、彼女が教室を出ていく。


 そんな態度をとられたら普通の教師はものすごく怒るだろう。
 しかし、僕はいつの間にかミミルちゃんのその態度で興奮するおかしな人間になっていた。

 もうすでに遠い存在になってしまったミミルちゃん、可愛らしい服で着飾って、ものすごい魔法で大人たちを驚かせる彼女。僕の中にはほんとに少ししか彼女との思い出は無い。

 しかもバカにされた。というどうしょうもない記憶しかない、一人でその時のことを思い出しては自慰に耽っていた。
 それだけ彼女のことが好きになってしまっていた。

 ああ、ミミルちゃん!
 ミミルちゃん!!



 こんなことがバレたら極刑だ。
 レスカティエの魔導院の教師たるものが、一生徒にゾッコンなどとバレてはいけない。
 しかし、それがより僕の興奮を誘った。絶対手を出してはならない存在の彼女。

 はぁはぁ……ミミルさまっ、いつの間にか様付けになっていた。

 あのちっちゃい足で踏まれたい。また、あの時みたいにバカにされたい。
 狂っていた。わかってる。でも手が止まらない。ペニスが痛いくらいに勃起して、何度も欲望をぶちまける。



「先生?」
 授業中なのに妄想してしまったあの小さい手でバカにされながら何度も寸止めされたい、あの冷たい目で愚かな僕を……

「先生、大丈夫ですか?」
「ああ、ごめん。次のページだな」
 その日の授業をなんとか終わらせて、家へと帰った。

 日に日にひどくなっていく妄想。
 







 そんな僕の弱味につけこまれたのだろう。たまたま違う村で行われた魔法の講師として呼ばれたその帰り道、僕は魔物に襲われてしまった。
 魔物は、なんと僕のこれまでのミミルへの想いを知っていた。
 しかも相手はあのリリムだ。出会った時、僕の人生は終わったのだ。

「あの、魔導院の教師が聞いて呆れちゃうわ。バッカじゃないの!?」
 リリムは散々僕のことを見下してきた。これまでの自分の行為を振り替えってみてもそれは当然だ。

「ああ、そうさ。僕はあの天才魔法少女に歪んだ愛情を持ってしまった。どうせ、そのうち我慢できなくなって同じ年頃の生徒を襲っていただろう」
「やだわ。とんでもない人間がいたものね」
 すっかり呆れた様子のリリム。
「頼む。このままじゃ、俺は本当におかしく、いやすでにもうダメだ。いっそ〇してくれ」
「断るわ。魔物は決して人間を〇さない、例えあんたみたいな、どうしようもない人間だったとしてもね」
 僕は目の前が真っ白になった。
 そんなバカな…、魔物は人を襲って残虐に〇すって教えられてたのに……。
「あーあ、説明するのも面倒だわ。とにかくあんたは〇さない」
 魔法で拘束された体が自由になる。
「自由になさい。何かに利用できると思って捕らえたけど、こんな役立たずの愚か者だったなんて、わざわざ私が出向くまでもなかった。というか去れ。不愉快だ!」
 冷たい目で睨みつけるリリム。
 魔物にまで見放された。

 もうおしまいだ。
 僕はレスカティエに帰ることも出来ず、ここで朽ちよう。それでいい。
 誰も傷つかないし。これでいいんだ。
 横になって空を見る。ああ、綺麗だ。

 最高の最期。
 
 目を閉じる。魔物じゃなくてもこのままここにいれば夜には野生動物に襲われて食われるだろう。

 その時、空が見えなくなった。
 ああ、もう腹を空かせた……あれ?


「……バカね。わたしもどうかしてるわ」
 ぎゅっと抱き締められる感触。去ったはずのリリムが僕を抱き締めていた。
「な、な、どうして!」
 返事の代わりにリリムは更に僕を抱き締める力を強くする。
「ほっとけないじゃない。例え救い用のないクズで最低な人間でも、自ら命を捨てるなんて真似はさせないわ」
 魔物は絶対悪と教えられてきた。それなのになんだこの状況は、
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