・船
客船ギャラクシー号に不慮の事故が起きた。
このままでは沈没してしまうので、船員は客に海へ飛び込むよう指示しなければならなかった。
船員は、ドイツ人には「飛び込むのが規則です」と言って飛び込ませ、イタリア人には「飛び込むと女性にモテます」と言って飛び込ませ、日本人には「もうみなさん飛び込みました」と言って次々に海へ飛び込ませていった。
そして最後に残った魔物娘萌えの男に、船員は海面を指差して叫んだ。
「あっ、あそこにメロウがいますよ!」
それを聞いた男は迷わず海に飛び込んだ。
・船2
客船ファイアー号に不慮の事故が起きた。
このままでは沈没してしまうので、船員は客に海へ飛び込むよう指示しなければならなかった。
船員はぐずぐずして飛び込まない客を海に突き落としてまで、次々に客を飛び込ませていった。
そうして全ての客を海に飛び込ませた後、船長が船員に聞いた。
「客は全員海に飛び込んだか」
「はっ。
全員海に飛び込みました。
「そうか」
船長は船員の報告に真剣な顔で頷いていたが。
「……これでセイレーンたちは俺たちだけの物だ!
イヤッホー!」
急に船長達は喜びを爆発させ、子どものようにはしゃぎまわった。
実はこの船、事故など起きていなかった。
遠くの小島にセイレーンがいるのを発見した船長達は、客に嘘をついたのだ。
「船長!
もうすぐ小島に辿り着きます!
「おおっ!
微かに歌声も聴こえてきます!」
「よーし!
愛しのセイレーンたちを出迎える準備だ!
彼女達に失礼のないようにな!」
「イエッサー!」
船はセイレーンの歌が聴こえてくる小島へと進んでいった。
・船3
ある海賊が海軍に捕らえられ、船で護送されていた。
海賊は暗い船室に閉じ込められ、体をロープで縛られていた。
そのロープを海賊はどうにかして解こうとしたが、きつく縛られていてどうすることもできない。
あきらめかけたその時、船長が海賊のいる船室にやってきた。
「お前を解放する」
船長の言葉を聞いた海賊は自分の耳を疑った。
そして、なぜと船長に聞いた。
すると船長は海賊の疑問にこう答えた。
「岩場にマーメイドがいるのが見えたからだ。
お前のような悪党にいい思いをさせてたまるか」
・行列
行列を発見したジョジーは、並んでいた男に尋ねた。
「これは何の行列だい?」
「ハエラーメンのさ」
「ハエラーメン?
それは一体どんなラーメンなんだ?
まさかハエが入ってるんじゃないだろ?」
ジョジーの疑問にその男が答えた。
「ベルゼブブが入った風呂の残り湯を使ったラーメンだよ」
それを聞いたジョジーは行列の最後尾へ走っていった。
・浮気
予定していた用事が早く終わり、ミアは恋人のランドンの家へ向かっていた。
「ランドンったらびっくりするかしら。
でもきっと、喜んでくれるわよね」
そんなことを考えながらミアは歩いていき、ランドンの家の近くまで来た。
その時。
「あっ!」
ミアの目に信じられない光景が飛び込んできた。
ランドンが見知らぬ女性と腕を組んで家に入っていったのだ。
ミアはランドンの家族全員と面識がある。
兄弟や親ということはありえない。
「まあ、なんてこと!
ランドンが浮気をしていたなんて!」
ミアが急いでランドンの家に入ると、そこには玄関だというのに抱き合ってキスをしている二人の姿。
「ランドン!
これはどういうこと!」
「ミ、ミア!?」
ランドンは慌てて抱き合っていた女性から離れたが、時すでに遅かった。
すでに決定的シーンを目撃していたミアは激怒し、ランドンに詰め寄った。
「信じられない!
浮気してたなんて!
昨日、愛しているのは私だけって言ったのは嘘だったのね!」
「ち、違うぞミア!
彼女をよく見ろ!」
ランドンに言われて、ミアはその女性のことをよく見てみた。
するとさっきは気づかなかったが、その女性の頭には猫の耳、尻からは尻尾が生えていた。
ミアはこの姿をしている生物を知っていた。
「ワ、ワーキャット……?」
このミアの呟きを聞いたランドンがすかさず言った。
「僕は君に、『愛している”人”は君だけ』と言ったんだ。
だから僕は嘘を言っていない!」
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