とある場所にある、とあるバフォメットが住む城。
そこは今教団の軍勢の襲撃を受ける直前、という状況にあった。
城の一室では、バフォメットとサバトの魔女たちが集まり、この件についての会議を開いていた。
「……と、このように強い大型の教団の軍勢は以前として勢力を保ったまま、この城へ向かってまっすぐ北上してきています。
中心勢力は主に若い男性兵士およそ500。
およそ1時間ほどでこの城に到達する見込みです」
壁に貼られた城周辺の地図を差しながら魔女が淡々と話している。
それをバフォメットと魔女たちは席につき、黙って報告を受けている。
「なんで報告が天気予報っぽいの?」
「さあ?」
黙ってない魔女もいるようだが。
「……クックックックッ」
会議室のテーブルに両肘をつき、両手を顔の前で組むいかにもなポーズでいかにもな笑い声を出しているのが我らがバフォメット。見た目は完全に悪役である。
「そうか……来たか……
ついに来たか奴らが……
クックックッ……まさに『アレ』を使う絶好のチャンスではないか……」
いきなりテーブルをバンッと思い切り叩くと、勢いよく立ち上がった。そして力強く拳を握りしめ、魔女たちに命じる。
「よし、皆の者!『アレ』を使うぞ!
奴らに目にもの見せてくれる!
早速準備にとりかかれ!」
「はーい」
バフォメットの命を受けた魔女たちは、やや投げやりな返事を返した。
その数分後、城を中心にゴゴゴゴ……と地響きが起きた。
進軍中の教団の軍勢は地震か?と身構えたが、こんなタイミング良く起きた物がただの地震なわけがない。
その地響きは、バフォメットの城の敷地内にある、結構高い塔が縦に真っ二つに割れていく音だったのだ。
教団の軍勢は城を目視出来るくらいの距離まで近づいていた。よってそれをバッチリと目撃出来た。
何事かと、どよめく教団の方々。
しかし、この程度の異変はまだまだ軽いジャブ。
地響きを鳴らし真っ二つに割れた塔。その中から何やらとてつもなく巨大な物体が姿を見せたのだ。
その物体を見た彼らは皆一様に言葉を失った。それは彼らの理解の範疇を軽々と飛び超える代物だったからだ。
そんな彼らの様子を見たバフォメットはほくそ笑む。
「クックックッ……驚いてる驚いてる……
いいぞ、そうでなくてはわざわざ作った甲斐がないからの」
バフォメットと、数人の魔女は、城の屋上へと出てきていた。
割れた塔から姿を現したそれを眺め、バフォメットは鼻息を荒くする。
「膨大な量の土!
製作にかけた我らサバトのたゆまぬ努力!
そして身を挺して精を注ぎ続けた彼女の夫の愛!
それらが絶妙にブレンドされて生まれた新型ゴーレム、それがこの!」
テンションが最高潮に達したバフォメットが、拳を突き上げ、高らかに叫ぶ!
「超銀河重機動A級オービタル汎用決戦バーサル衛人・ロティーナFXじゃああぁぁぁぁーーーーーーーーーー!」
バフォメットの叫びに合わせて、雷鳴が轟く。雨も降っていないのに。
割れた塔から現れた物体の正体は、巨大なゴーレムだったのだ。
バフォメットが作った物なので、そのゴーレムが幼女の姿なのは言うまでもない。
「さあ行け!
超銀河重機動……
えーっと……あれ?」
「忘れたんですか?」
「自分で付けたのに」
「やかましい!
とにかく、ロティーナ、行くのじゃ! 奴らを追い払え!」
「了解」
バフォメットの命令で、ゴーレムが動き出した。
ズシンズシンと大地を鳴らして歩く。
意外にも動き自体は軽快な物だった。
サイズと音と地響きさえ無視すれば、お日様のもとでお散歩中の女の子、に見える、かも。
「カァァァーーーーーーット!
何じゃその風情のない歩き方は!
もっと重量感あふれる歩き方をせんか!」
「重くないもん」
バフォメットが妙なこだわりを見せるが、そこはやはりいくら巨大といえど女の子。重いという言葉には敏感なのです。
そんなやりとりを見ながら魔女たちは、趣味を押し付けるのって良くないよね、と囁き合う。
どこか間の抜けたやりとりのサバト側。しかし教団側はそんな能天気ではいられない。
自分たちより何10倍もの大きさのある幼女がズシンズシンと地響きを鳴らして近づいてくるのだ。
圧倒的な迫力、そして威圧感。その恐怖たるや想像を絶する物であろう。
サイズフェティッシュ来たコレ! なんて喜んでられません。
明らかにビビり上がっている教団の方々。しかし、彼らとてここままで遠足に来たのではない。邪悪な魔物共と戦いに来たのだ。
「ええい、怯むなーーーーーーーー!」
「おおおぉぉぉぉぉーーーーーーーー!」
無理矢理にでも気持ちを奮い立たせ、勇敢に
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