第零章 出会いについて、少しだけ詳しく

 五十の質問に入る前に、まずは定番中の定番を。

 愛する奥様との出会いについて、少しだけ詳しく答えていただきました。

 穏やかな出会い、物心ついた時からの出会い、そして豪快な嵐の如き出会い。

 愛のかたちは、色々。出会いのかたちもまた、色々。


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・妖狐を妻に持つ男性
 僕が十四歳の時、近所に人間と妖狐のご夫婦が引っ越して来ました。
 お二人には九歳になる娘さんがいて……何を隠そう、その子が現在の妻なんです。

 僕には五歳下に妹、七歳下に弟がおりまして。
 弟妹たちとすぐに仲良くなった彼女は、僕の家にもしょっちゅう遊びに来ていました。
 で、「お兄ちゃんも一緒に遊ぼうよ!」と誘われて、仕方なく相手をしてあげているうちに、だんだんと彼女のペースに巻き込まれていったんですね。

 そして、彼女の十一歳の誕生日に、僕は美味しくいただかれてしまいました。
 もちろん、性的な意味で。

「お誕生日にはプレゼントも何も持たずに、お兄ちゃん一人で、私のお家に来てね!」

 と言われて、『何か頼みたい用事でもあるのかな?』なんて思いながらノコノコと出かけて行ったら、そりゃもう豪快に飛びつかれて、脱がされて、イヤんバカんですよ。

 本当、何が恐ろしいって、それが彼女のご両親公認の計画的犯行だったことですね。
 ベッドにはピンクのシーツがかけられてるし、部屋には性欲を高める東方秘伝のお香が焚かれてるし、ご両親は「それじゃ、頑張りなさいね!」と言い残して隣村の温泉旅館へ【次女懐妊に向けた野心的小旅行】へ出かけちゃってるし……もう、大変でした。

 けれどもまぁ、相当に無茶苦茶な形だったとはいえ、生涯を共に歩む女性と結ばれたのだから、自分は十分に幸せ者ですよね。
 時の流れと共に、一本から四本に増えた彼女の尻尾を眺めながら、今はしみじみとそう思っています。



・ネコマタを妻に持つ男性
 ある日の夜、仕事場から疲れて帰宅すると、玄関先に一匹の三毛猫が座っていました。

「あら。これはまた、どちらの美人さんで?」
「うるる、ニャ〜ん♪」
「首輪は……着いてないですね。さすらいの美人さんですか?」
「うるるん♪ フニャ、にゃ〜ん♪」

 語りかけた僕に、三毛猫はタイミングの良い鳴き声で応えてくれました。
 僕は昔から動物が好きなのですが、中でも猫が大好きなんです。
 なので、何となく嬉しくなって、こう言ってみました。

「碌なお構いも出来ないですけど、晩ご飯でも食べていきます?」
「ふにゃ〜ん♪ ウルル〜ん♪」

 ピンと尻尾を立てて立ち上がり、嬉しそうに目を細めた三毛猫を見て、僕も思わず笑顔になってしまいました。

 そうして、その日から僕と三毛猫の『晩ご飯デート』が始まりました。
 僕が帰宅すると、三毛猫はきちんと玄関先に座って待っているんです。
 そして、挨拶の言葉を交わして家の中へ招き、自分のご飯と三毛猫のご飯を作って、一緒に食べます。
 その後しばらくまったりした後、大抵は僕がお風呂に入っている間に、開けておいた窓から帰って行って、また翌日の夜になると……ということの繰り返しが、ひと月ほど続きました。
 あまり撫でさせてくれませんでしたし、いつも素っ気なく帰ってしまうのですが、「気ままワガママ、大いに結構。それでこそ、猫!」と思い、大して気にもしていませんでした。

 で、『その日』の夜。
 いつものように三毛猫が帰った後、寝支度を整え、深い眠りに入っていると、「お〜い。ちょっくら起きておくれよぅ」という声がして、誰かに肩を揺すられたんです。

「んぁ?」
「やぁやぁ、愛する君よ。観察二ヶ月、接近ひと月。吟味の結果、あなたこそアタイの夫になるべき人ということになりました。これから末永ぁ〜く、よろしくお願いいたしますにゃ〜ン♪」
「んぁ〜……はい、どうも……んっ!?」

 そこにいたのは、ジパングのキモノ風の衣服に身を包んだ、つり目の可愛い女の子でした。
 僕は驚いて飛び起きようとしたのですが、その女の子は寝具の上から僕をがっちりと捕まえておりまして……そのまま、スリスリスリスリと激しく頬擦りをされてしまいました。
 その時になってようやく僕は、彼女の猫耳と三毛猫柄の手足や肉球、二股の尻尾の存在に気が付いたんです。

「あ……君は、ネコマタ? ジパングの?」
「いやぁ〜ん、さすがは旦那様! 猫に対する素晴らしい知識と愛情! ますます好きになっちゃいますにゃ〜♪」

 と、そこから雨あられとキスをされ、甘噛みをされ、服を脱がされ、以下省略。
 みなさんも、不意に可愛いメス猫が現れた時は、警戒……は、しなくてもいいですね。
 純粋な思いでその子へ親切にしてあげ
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