どんよりとした雲が空を覆う中、山岳突破を目指すあなた。
険しい道の途中、不自然におかれた鉄製の箱を発見しました。
魔界にはこのように突拍子もないところに宝箱がおかれていたりします。
理由はいまだ解明されておらず、魔物娘達すら首を傾げるとか。
ちなみに宝箱に扮する魔物“ミミック”もいるが、あなたが盗賊でなくとも見分ける方法があります。
あなたが全裸になり、自慰行為を初めても箱が開かなければそれはミミックではない。仮にミミックがいたとしても、据え膳食わない腰抜けなので極めて無害です。
中身がミミックでないことを確認したあなたは、鍵のかかっていない箱をゆっくりと開けた。
中には魔界の銀貨が数枚と、少しくすんだ銀色の首飾り。
いいものを拾った、とあなたは喜んでそれをつけてみようとするでしょう。
はやまってはいけません。このように落とし物のアイテムの中には、誰かの悪戯により“呪われた”品がほとんどであり、身につけたら最後、聖職者などに解呪をしてもらわない限り外れません。
極めつけにこの首飾りは「魔封じのネックレス」
着用したものは一切の魔法を行使できなくなるという、嫌がらせのために作られたような代物。使い道がないことはないのですが。
とにかく、あなたに鑑定の技能が備わっていない限り、むやみに拾ったアイテムを使用するのはオススメしない。
無闇にリスクを冒さないのもサバイバルの鉄則です。
捨て置くわけにもいかず、拾ったものをポケットに押し込んで再び山登りを再開すると、天気はどんどん悪化していき、ごろごろと不穏な音を響かせます。
危機を察知したあなたが岩影に身を寄せようとした瞬間、まばゆい閃光と共に一撃の稲妻が。
「うおおおおおおおっ!!」
獅子の怒号が爆炎のブレスとなって飛び、雷を雲ごと打ち払いました。
助かったと安心してはいけません。雷よりも危険な魔物が現れただけです。
いくら魔物といえど、これほどの芸当をなせる者はそういません。
閃光によってくらんだ目が落ち着き、あなたの助けてくれた魔物の姿を見ることができました。
ある種神秘的ともいえる雰囲気をまとう少女。彼女の各部位には獣の意匠が宿り、異形でありながらも芸術的といえる調和を見せています。
雄獅子のたてがみのような毛並み、竜の爪と翼、羚羊類の蹄、そして尾は蛇のように蠢いている。
その名はキマイラ。太古に魔術師によって生み出された、複数の魔物の合成体。
外見同様凶暴な性格を持つ、危険な魔物の一種です。
「酔狂な男だな。このような何もない場所に足を踏み入れるとは、命が惜しくないと見える」
あなたが命を失いかけていれば、彼女達は迷わず助けれくれるでしょう。しかし、それは善意によるものであるとはかぎりません。
「さて、助けた見返りだ。その身に宿す精を少しばかり頂くとしようか。命知らずの人間ならば、私のような魔物娘に蹂躙される覚悟も持ち合わせている、だろう? もっとも、お前の意志などみじんもくみ取る気はないがな」
こと戦闘において、キマイラは優秀な種族です。
山羊の健脚は地形を問わずその力を発揮し、竜の爪は鋼鉄の鎧を紙のように引き裂きます。
覚悟を決めるまもなく、突進を繰り出したキマイラ。
危機的状況に本能を覚醒させたあなたがとった行動は。
ポケットの首飾りを取り出し、迫り来るキマイラに突きつけたのです。
「ぐ!?ぐ、あああああああ……」
途端、苦しそうな声をあげ、動きを止めるキマイラ。
首飾りに活路を見いだしたあなたは、素早く彼女の首にそれをかけてやります。
実はキマイラという魔物にとって、魔力とはとても重要な要素なのです。
いくつもの魔獣の力を合わせ持って生まれるパワーは、自然界に存在する魔物にはたどり着けぬ極地。
古代の魔術師はキマイラを作る際、膨大な魔力を与えることによってその均衡を保たせました。
魔力を失った彼女は己の力をコントロールする術をなくし、強制的にスリープ状態に陥ります。
この状態は彼女達が暴走し、バラバラになる事をおそれた魔術師が予め設定したといわれています。
名称の通り眠るわけではなく、性格が主たる魔獣のものだけになり、大変おとなしくなるというもの。
この状態は魔封じを食らったとき以外にも、エネルギーが枯渇した際にも発動するそうです。
彼女達は魔力の源である精を手に入れるべく、主と認めた男性、もしくは目の前の独り身の男性に対し甘え、性行為を要求します。
面白いことに、この状態でも甘え方は主人格ごとに大きく異なります。
今回は、もっとも代表的とも言われる配合ベース。「獅子」「竜」「山羊」「蛇」の各種甘え方について記していきます。
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