無事に危険な森を抜けたあなたの前には、大きな洞窟が口を開けています。
いかにも危険な魔物が潜んでいそうですが、このまま森を歩き回るよりはマシと考え、仕方なく足を踏み入れました。
内部はヒカリゴケでうすぼんやりと明るく。岩肌からは時折水晶のような透明な鉱石が露出していました。
幻想的な風景に思わず見とれて足下をおろそかにしていたあなたは、塗れた地面で滑って足を挫いてしまいした。出血もしています。
サバイバルではこのように怪我をした場合、迅速で正確な手当が要求されます。
放っておけば傷口から雑菌が入り、命を失う危険性もあるのです。
とはいえ、傷薬など勿論持っていないあなたはどうすることも出来ません。
このまま動けずに飢え死にしてしまうのだろうか、不安が脳裏をよぎります。
「あの、大丈夫ですか……?」
ふと、岩影から弱々しい声が聞こえてきます。
ズルリ、ズルリと引きずるような音を立てて現れたのは、目の部分を仮面で隠した少女。その下半身は、巨大な蛇のようです。
バジリスク。
蛇型の魔物であるラミアの亜種で、その瞳で直接視たものを毒で苦しめる邪眼をもっています。
どうやら先程からあなたの事を物陰から見ていて、怪我をしたところでいても立ってもいられず姿を現したようです。
「出血、それに軽い捻挫ですか……そこに座って下さい。薬草を塗ります」
言われるがまま岩に腰掛けると、バジリスクは手際よく処置を施しました。
薬は少々染みますが、先程よりはだいぶマシです。
あなたは彼女に感謝の言葉を告げます。
「いえ、そんな大した事じゃ……あ、お腹すいてませんか?干し肉しかありませんけど」
ちょうどお腹が空いているのを思い出し、ありがたく頂くことにしました。
食事をしつつ、あなたはこれまでのいきさつを話します。
「まぁ、それは大変ですね……付いてきて下さい。人がいるところまで案内いたします」
バジリスクはゆったりとした速度で洞窟を進む。あなたはその後を追うように歩き出しました。
道中、あなたとバジリスクは言葉も交わさず歩き続けます。
バジリスクは時折こちらを振り向きますが、それでもあなたの視線に気づくと、ふいと慌てて前をむき直す。
いやぁ歯がゆい、歯がゆいですね。
一般的な魔物娘であれば、怪我をしたあなたを見た瞬間に襲いかかるのでしょうが、彼女のように優しく介抱し、手を出してこない魔物娘もごく少数いるようです。ことバジリスクに関しては、このようなケースが多く見られるとか。
それは彼女達の貞操観念が強いわけではなく、自分に対するコンプレックスによるもの。
自分みたいな怪物に好かれたら困るだろう。こんな私が誰かを愛し、愛されるはずなどない。
そんな心の闇が彼女達の根底にあるのです。
つまりは彼女たちの優しさからきている訳なのですが、助けて貰ったあなたはどうにかして、彼女の心を開きたい。
きっと、そう考えているのでしょうね?
今回は彼女のような奥手な魔物娘を相手にしたときの対処法をお教えいたします。
STEP1 とにかく距離を縮めよう!
わざと派手にすっころび、怪我が完全に直っていない事をアピールしましょう。心配したバジリスクは、おそらくあなたと急激に接近します。
そしてさりげなく彼女の肩をかして貰います。
見た目は麗しい彼女達ですが、筋力に関しては成人男性にもひけをとりません。第一にあなたは怪我をしているのですから、遠慮は無用です。
肩を借りた際、バジリスクの顔が間近にあると思いますので、撫でつけられた髪、色素の薄い唇、魔物娘特有の甘い香りなど、彼女の身体的特徴をよく観察しておくようにしましょう。
STEP2 耳元でそっとささやこう!
ささやく言葉はなんでもかまいません。あなたがバジリスクを見て思ったままの感想を、耳元に息を吹きかけるようにつぶやいて下さい。
普段から仮面を付けているバジリスクは視力以外の五感で周囲を関知します。
そのため急激な刺激には弱く、敏感な耳を刺激させられた彼女達はたちまち腰が抜け、その場にへなへなと倒れ込んでしまいます。
補足いたしますと、彼女達の触覚は人の肌のような部分で周囲の空気を把握するため、まるで性感帯のごとく敏感になっています。
その他の五感につきましても、男性の汗をなめたり、男性器の匂いを間近で嗅いだりするだけで容易く発情してしまうようです。
その性質から「ラミア種のムッツリスケベ代表」の称号を欲しいままにしているのは、有識者の間では有名なはなしです。
STEP3 レッツ、ペロペロ!
一度へたりこんでバジリスクは、しばらくの間は抵抗が出来なくなります。
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