「綺麗な水のあるところ、ですかぁ?」
「そう、何処か近くにないかな?」
アマタ達はイビィーの所へ訪れ、水源の場所を聞きに来ていた。水が必要不可欠な植物ならば、水のある場所も詳しいのではないか、というユキオの提案があったからだった。
水はサバイバルにおいて最も重要な物だ。
極端な話だが、水さえあれば数日は生きながらえる。
「それなら、ここからしばらく歩くと泉がありますぅ」
「本当か!ありがとうイビィー!」
「いえいえ〜。あ、それとぉこれも持って行ってください〜」
イビィーが触手を使って、たくさんの果物を持ってきた。
「うわぁ、すっごいおいしそう……」
男一同が涎を垂らして見つめるが、クッキーは低く唸ってイビィーを睨む。
「ひい!だ、大丈夫です!媚薬効果のある果物は除きましたからぁ!探すの大変だったんですよぉ」
「媚薬効果って……」
アマタとユキオはため息を付く。自生している食物はむやみに食べない方が良さそうだと悟った。
「これも食べれるのか?」
ハルヒコが果物の一つを手に取る。ひょうたんと椰子の実を足して二で割ったような見た目だ。
「それは食べられません〜。水筒の変わりに使ってください〜」
よく見ると先端部分には線のような物がついている。引き抜くと中身が空洞な事が分かった。
「何から何まで、本当にありがとう」
アマタ達は深く感謝した。イビィーが友好的な魔物であったのは彼らにとって幸運だった。
「だからいいんですってばぁ〜。そ・れ・よ・り〜」
イビィーがハルヒコに近づき、そっと耳打ちした。
「また、私の中に精液を注いでくださいね
hearts;」
ハルヒコは快諾した。
嬉しい荷物が増えたため、アマタとクッキーは拠点に持って帰り、水汲みはハルヒコとユキオが行くことになった。
イビィーに見送られ、二人は歩いていった。
泉までの道のりは獣道のようになっていて、とても楽に歩くことが出来た。
二人は泉までたどり着いた。こんこんと湧き出る水が、静かに輝いていた。ハルヒコが泉に近づいて、一すくい口に運ぶ。
「うまい!」
飲用できる水で良かったと二人は安心し、水筒に水を組み始めた。
その時。
シャキン、シャキンと大きなハサミを鳴らしたような音が響く。
二人は視線を上げて、周囲を探る。
「お兄ちゃん、あれ!」
ユキオが指さした方向、二人のいる場所から泉をはさんだ向こう側に、一人と一匹。凛とした少女が、巨大な沢蟹に跨がっていた。
しかし、二人はすぐに気付いた。彼女は一対にして一人、下半身のカニを持った魔物娘『キャンサー』だということを。
彼女は蟹の鋏を動かし、シャキンと音を立てる。先程聞いた音の正体は威嚇行動だったのだ。
二人が視線を注ぐなが、キャンサーがより一層強く鋏を鳴らす。その無表情からは読みとれないが
、おそらく初めて見た人間のオスに対して、かなり緊張しているはずだ。
このままでは、二人はただではすまないだろう。
「ユキオ、お前はこのまま水汲みをして、すぐにテントに帰るんだ」
キャンサーを驚かせないよう、ハルヒコがそっとユキオに話す。
「あのカニ美少女は俺が食い止める……!」
「そんな、危ないよ!」
思わず声を上げたユキオ。キャンサーも警戒を解かず、じっと二人を見つめる。
「大丈夫だ。俺は皆のリーダーだぜ?そう簡単にやられはしないさ。必ず皆の元に戻ってくる」
ハルヒコは雲行きが怪しくなるような台詞をはきつつ、ユキオをキャンサーから遠ざけるようにした。
「じゃあ、よろしく頼むぜ」
ハルヒコは、カニ娘にゆっくりと近づいた。
キャンサーは依然警戒を解かず、ハルヒコに向かって鋏を構える。
「そう怒らないでくれよ、俺は敵じゃないぜ」
自分は無力であると証明するため、ハルヒコは上着を脱いでみせた。さらに靴とズボンを脱ぎ、ジャポジャポと泉の中へ歩き出す。水位はハルヒコの膝下ほどしかなかった。
気が付けば、パンツ一丁のハルヒコがキャンサーの目の前に仁王立ちしていた。
「俺、ハルヒコってんだ。君の名前はなんて言うの?」
「……シオネ」
ボソリとキャンサー、シオネは言った。
「シオネか、いい名前だな。話は変わるけど、俺たちここの水が欲しいだけなんだ。終わったらすぐ行くから、ちょっと待っててくれないかな?」
と、ハルヒコは紳士的に交渉するが、そんな彼に目もくれず、シオネはハルヒコの股間を凝視していた。
「どうかした?俺のパンツが気になる?」
「……からだ、洗ってない?」
そういわれて、ハルヒコは自分の匂いをかぐ。
たしかに、この島に来てからハルヒコ達は風呂に入ったりしていない。全身汗っぽくて少し気持ち悪いと薄々思っていた所だ。
「洗って……あげよう
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