薄暗い森を上機嫌で闊歩する。一度攻略してしまえば、もう怖くもなんともない。全ては杯中の蛇影だったのだ。
突然、脇にそびえ立つ枯れ木が私を覗きこむ様にぐにゃりと歪む。私はすかさず手を挙げた。

「ごきげんようお嬢さん。」

木の影からひょっこりと緑髪の美女が顔を出す。ドリアードである。

「あら〜、こんにちは〜」

樹木の貴婦人はのんびりした調子で挨拶を返すと、枝を自分の手のように動かし道を開けてくれた。
会釈をして彼女の脇を通り、森の奥へと進む。
私が前回道に迷ったのはこういうわけなのである。
鎧をまとった男を警戒した森の魔物娘達は、木や草花で道を塞いで惑わしていたにすぎなかったのである。
だが、今の私は招かれた客人。彼女たちも悪戯をするつもりはないらしい。
あっという間にロロラがいる開けた草原にたどり着く。
辺りを見回して姿を探すと、土を掘り返した場所に屈みこんでいる彼女を見つけた。

「ロロラ殿!」

声を張り上げて呼びかける。ロロラはこちらに気付いて、身体を起きして笑顔で振り向いた。

「ゴルトさん。ご機嫌よう」

もう何度も、巡回という建前で彼女の元へ足を運んでいる。
理由は彼女に会いたいから、それもあるのだが、それだけではない。

「今日も何か植えているのですか?」
「はい、今日は果実の種を植えていたところなんですよ」
「ほう、では私もお手伝いさせて頂いてよろしいかな?」
「もちろんです。はい、ではスコップと手袋を」

そう、私はこうして何度も訪ねては、彼女に農耕について学んでいたのだ。
ロロラが畑を耕しているのを横で見ている内、私はいつの間にか彼女を手伝う事になっていた。
初めは土いじりなど騎士のやることではない、と思っていたのだが、自分の植えた種が芽を出し、きれいな花を咲かせた時、今まで感じたことのない程心が震えて感動した。
日々、己の修練に時間を費やして来た私にとって園芸は新鮮で、作物を育てるこの魅力にどっぷりとはまってしまった。
おまけにこの草原の土は栄養が豊富に含まれているらしく、種を植えて二、三日で花を咲かせるので、成果が目に見えて分かるのがとても嬉しい。ロロラは土地に蓄積された魔力のおかげ、と言っているが、私には魔力も魔力が野菜や果物にどう影響するのかもよくわからない。
実はロロラの野菜を育てる腕が良いからではないか、と言うのが私個人の見解だ。

「おや、こんな所に大きなミミズが……」
「あ、それはミミズじゃないんですよ」
「え、これ野菜なんですか!?」

ピンク色でヌタヌタと身体に粘液を纏わりつかせている束になったツタ状の、どう見てもミミズみたいなそれに触る。

「めっちゃネバネバしてますよ……」
「そのネバネバが身体にいいんですよぉ。媚薬にも使われる位で……、あ、ゴルトさんに飲んでもらったお薬もその子からつくったんですよぉ」
「ええ!?これだったんですか!?」

ピンクの触手にたすけられるとは……、いかにもうら若き女性に絡みついては如何わしい事をしそうな外見だが、野菜も見た目によらないのかもしれない。私は手を合わせて触手に軽くお辞儀をした。
このようにロロラは普通の野菜以外にも、魔界を植物を幾つか栽培しているようで、それらについて一つ一つ丁寧に解説してくれるのでとても勉強になる。

「あ、こっちには美味しそうな果実が」

大木に絡みついた蔦に成った果実を一つもぎる。赤いくて厚い果皮をめくると、水分を多量に含んだ半透明の果肉が姿を見せる。
食欲をそそるその香りに思わず喉を鳴らしてしまう。

「あ、それとっても美味しいんですよぉ。ただ、たっぷり魔力を含んでいるので、食べると魔物になっちゃいますけど」

無言で果実を元の場所に無理やり括りつけた。美味しい代わりに人間やめなきゃならないとか、魔界の食べ物は代償が大き過ぎる。

ドクン

急に胸が大きく高鳴る。血液が下半身に集まっていき、私のペニスはギンギンにいきり立っている。
また始まったのか……。

「うっく……」

鼓動も大きくなり、苦しささえ感じる。

「ゴルトさん……?あ……」

異変に気づいたロロラは顔をほんのりと染めた、しかし。

「また、大きくなっちゃったんですね。今日も、しますか?」

衣服越しから熱く滾ったペニスを撫でられ、性欲を掻き立てられた私は、ただ頷くばかりだった。



ロロラはズボンを脱がし、ペニスを露わにさせる。非情に手慣れたものである。
ここに来る度にしてもらっているのだから、当然といえば当然であるが。

「あの、今日は、どうやってしますか?」

ロロラが控えめに訪ねてくる。
是非あなたと繋がりたい。そう言いたいのだが、善意で性欲処理をしてくれる相手にそこまで頼むことなど私は出来なかった。こんな岩みたいな顔の男に抱かれたい女
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