うちのメイドはちびぬれおなご あるいは 這いよれ!白蛇さん

 ざしゅっ、教団の騎士の剣が僕の体に振り下ろされる。
 「大丈夫かっ。」
 近くのデュラハンが近づいてくるが他の騎士が横合いから切りかかる。
その時、かすれゆく意識の中で思ってもみなかった光景を見た。
 「冒涜的なM24!」
 じゃがいも潰しのようなものが投げ込まれると、
爆発によって数人の騎士が吹き飛ばされていく。
 「何て事をしやがる、解っているのかこいつらは魔物なんだぞ。」
 「たしかに彼女達は人間じゃありません。だが、彼女達は人を愛することができます。そして、愛する者のために戦うことができるのです!信じる理由ならそれで十分です!」
 「…貴様は一体……」
 「通りすがりのヨグ子です。覚えておきなさい。変身!」
 そう言うとヨグ子と名乗った女性は見た事の無い鎧の様なものに身を包み
教団の騎士達と戦い始めた。そして僕の意識は闇へと落ちて行った。

 「ああ、夢か。」
 つい、昼食後にうとうとしてしまったらしい。最近この夢をよく見る。
 半年ほど前大陸に用事で出かけた時、親魔物国と反魔物国の戦争に
巻き込まれ大怪我をしてしまった。その時ヨグ子さんという女性が現れてみんなを助けてくれたらしい。らしいと言うのは意識を失ってしまったから。
重傷の僕のためにわざわざ自分の血を輸血してくれたとさえいう。でも気が付いた時にはもうヨグ子さんはいなかった。
 お礼ぐらいは言っておきたかったと思う。
 身体が治ってから、なぜか知らないはずのことが解ったり、牛乳を飲んでもお腹を壊さなくなったり、魚の内臓を食べるのが平気になったりしたが、この事とはきっと関係ないのだろう。

 とんとん。玄関の戸を叩く音がする。
 「宅急便。時間指定で。」
 最近、黒いネコマタが創めた運送サービスだ。
 玄関の戸を開けるとイグニスが立っていた。一般的なイグニスより少々胸が残念だったが。
 「骨まであったまりたい?」
 「うぉーっ、あっちぃーっ!って心を読まないでくれます。」
 「分かったからここに印鑑かサイン。」
 そう言って、伝票とダンボール箱を出してきた。アマゾネス通販のものだ。そこそこ重かった。
 「はい、これでいい?」
 伝票にサインをすると。
 「うん、毎度。」
 そう言って帰って行った。
 「よっこいしょ。」
 居間に箱を持ち込んでとりあえず開けてみようとする。
 「何も頼んだりしなかったはずだけど。」
 疑問を持ちながら開封していくと。
 「ボクと契約してご主人様になってよ。」
 ばたん。慌てて閉める。い、いまのは何だったんだ。白い淫獣ではなかったようだが。
 気を取り直して、今度はそっと用心しながら開けてみると
中には女の子が入っていた。
 背丈は魔女ぐらい、ネコマタがよく着ているような着物を着て、ヘッドドレスとエプロンをしている。いわゆる和風メイドの姿だ。霧雨にでも遇ったかのように少し濡れている。
 女の子は箱から出てくると。
 「こんにちは!こんばんは!コマンタレヴー!いつもニコニコあなたの隣に這い寄るスライム、ぬれおなごです。」
 なんとも怪しげな挨拶をした。
 「………」
 「あの…、聞こえてますよね…?」
 「う、うん聞こえているけど。そ、その挨拶は一体?」
 「這いよる混沌さんにこう挨拶するのがいいと教えてもらったんです。」

  ちびぬれおなごさんは改造ぬれおなごである。
 彼女を改造した這いよる混沌は異世界の邪神である。
 ちびぬれおなごさんはご主人様の幸福のために戦うのだ。

 「……な、なに今のナレーション。か、改造っていったい……」
 「三ヶ月ほど前の雨の日のことを憶えていますか。」
 「ちょうど大陸から帰ってきた日が雨だったね。久しぶりに故郷に帰って懐かしかった。ちょっと人恋しくなったのか、柄にもなく雨の中で濡れている女の人に傘を渡して家に帰って来たのを憶えているよ。」
 「あの時傘をもらったのが私です。」
 「え、でもあの女の人はもっと背の高い大人の女性だったけど。」
 「はい、あの時はまだ普通のぬれおなごでした。もっとも家事の下手なぬれおなごは普通じゃないかもしれませんが。ひと目惚れしてぜひ夫になってもらおうと思ったのですが、家事が下手なことを悩んでいたんです。そうしたら這いよる混沌が現れて、家事が上手くなりたくないか、ともちかけてきたんです。」
 「それって随分怪しい勧誘に思えるけど、普通断るんじゃ。」
 「ええ普通はそうかもしれません、でもあの時の私は思いつめていて承諾したんです。異世界の南極の氷の下から手に入れた、大昔の優秀なスライムの細胞を移植して、その能力を手に入れて愛する人に喜ばれたいが、上手くいくか解らないので、より親和性の高いぬれおなごの身体で試してみてデータを取りたい、ということでした。魔物娘として、愛
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