Q,お兄さんの彼女になれたらどうしますか?
竜胆
「う、嬉しいけど・・・、そんこと・・・。とりあえず、私だけの兄貴にしたい・・・」
雫
「勿論、私以外の女に触れられないようにします!!」
翡翠
「私に乗せてお空を飛んだ後に、ベッドでイチャイチャしたい!!」
兄
「・・・ノーコメントで・・・」
〜雫の誕生日〜
梅雨が降るこの季節は、雫がこの世に生を受けた日でもある。
今日は雫の誕生日。
鬱陶しいほどに雨が降る中、産声を上げた雫は今、俺と同じ傘の下で寄り添いながら歩いていた。
なんでこんな状況になったかというと、数日前に雫から『私の誕生日は一緒にお出かけしてください』と言われたからだ。
そんなんでいいのかと正直思ったが、本人がそれでいいなら、深く言うのは止めておこうと思い、こうして付き合っているのである。
まぁ、本人は俺とデートしている感覚でいるのだろうけどな。
でなければ、こんなに嬉しそうに俺の腕にしがみついて来ることなんてないだろう。
ちなみに、竜胆と翡翠は家で留守番してもらっている。
雫と出かけることに渋っていたが、雫の誕生日と分かると納得してくれた。
流石、姉妹といったところだろう。
そんな訳で俺と雫は雨の中、川の土手の上を散歩している。
「なぁ、本当にここでいいのか?」
「はい。ここは私のお気に入りの場所ですから」
こんな何もない場所のどこがいいのだろうか…?
しかも、家の近所である。
「お兄様。そろそろ後ろを向いてくれますか?」
「ん?後ろ?」
しばらく歩いていると、雫がいきなりそんなことを言ってきた。
「!!」
何かと思って雫の言うとおりに後ろを向いた瞬間、俺は息をのんでしまった。
そこは、曇天の薄暗い空が大きく現れた。
後ろを向いただけなのだが、先ほどまで見ていた景色とは一転した不思議な感覚を覚える景色が俺の目に飛び込んできた。
「いかがですか?とてもいい景色でしょ」
「…ああ、なんか言葉にできないかも…」
「ふふ、私も初めてここを見つけたとき、そんな感じがしました。ここから景色を見ていると、地面に足が付いていないような感覚がします」
「ああ、なんかふわふわした感じだ」
ここで、この景色を見ていると360°空の中にいるような感じがする。
後ろには住宅地があるのが嘘のように感じてしまう。
「晴れていればもっといい景色なんですが、私は雨の景色も嫌いじゃないです」
「そうなんだ」
「はい。それに、今この瞬間もすごく大好きです」
そういうと、雫は俺の横から前に抱きついてきた。
「こうして、お兄様と同じ空間で二人っきりなんですから…」
「おいおい、まだ甘えたいのか?」
「はい。今日は私の生まれた特別な日です。だから、今日はいっぱい甘えるんです」
「はははっ。それなら仕方ないか」
「えへへ、仕方ないんです」
嬉しそうな笑みを浮かべた雫は、そのまま俺の顔に自分の顔を近づけてきた。
「だから…」
そして、そのまま目を閉じて近づいてきた。
「それはダメだ」
雫の思惑に気づいた俺は傘の先で雫の額を小突いた。
『コツンッ』といい音がするのと同時に雫が涙目でこっちを見上げてきた。
「うぅ〜。どうしてだめなんですか?」
「兄妹なんだから駄目に決まってんだろ」
「でも、魔物娘にそんなの関係ないですよ?」
「そうだね。俺の知り合いにも兄妹で結婚したやついるしな」
「じゃあ、お兄様は何でだめなんですか?はっ!!もしかして、もう他の女に…」
雫の瞳孔が少し開いた。
これはすごい嫉妬しているな。
「それなら、お前たちがすぐに気付くだろ。安心しろ。お前たちが独り立ちするまでは誰とも一緒にならないから」
「…本当ですか?」
「お前は、もう少し兄を信じろ。それとも、雫の兄は信用できない人間か?」
「そんなことありません!!」
「なら、疑うな」
「…はい…」
「全く、これで我慢してくれ」
そういうと、俺は雫のおでこにキスをしてあげた。
「!!」
俺の不意打ち気味のキスで顔を真っ赤にして、キスされた所を両手で押さえる雫。
「さ、そろそろ帰ろうか。雨に打たれすぎて流石に寒くなってきた」
一応この傘は一人用だから、雫がぬれないように俺が少し体の半分を雨に当たる感じで入っているのだ。
すでに、雨に打たれているところはずぶ濡れで肌が透けて見えてしまっている。
「は、はい!でも、お兄様。ひとつ約束してください」
「ん?なんだ?」
「もし、私が大人になるまでに相手を見つけなかったら、お兄様が私をもらってください」
「いやだね」
「何でですか!!」
「今のままだと、分が悪
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