〜時には鬼に〜
俺の3人の妹達は兄の贔屓目を抜きにしても可愛い自慢の妹達である。
あのバカ親父も「アイドルで売り出せば大儲け出来るかも!!」って言っていたので殴っておいた。
チョキで。
そんな彼女達だが、成長させるためには時には心を鬼にして接さなければならないときもある。
これは彼女達のため、仕方が無いことなのだ。
「兄貴!!私が悪かった!!これから素直になるから許して!!」
「その台詞何度目だ?」
俺の右手で抱えられている竜胆は、バタバタと暴れながら謝ってきた。
俺は何度同じ謝罪を聞けばいいのだろうか。
というか、ドラゴンなのにまだ怖いのかい・・・。
「お兄様!!お願いです!!それだけは!!それだけは許してください!!」
「ダメだ。許さない」
竜胆の反対側で必死に抜け出そうと暴れる雫。
だが、これだけは許すわけには行かない。
かわいそうだが、これだけはやらないといけないのだ。
「いーやーだー!!兄ちゃんこの縄ほどいてよ!!」
「ほどいたら飛んで逃げるからダメ」
俺の背中で縄で縛られた翡翠が暴れる。
翡翠は必ずやらないといけないんだから、特に逃がすわけには行かない。
端から見れば、俺が悪人に見えるけど、この際仕方が無い。
この3人の自主性に任せていたらいつまでたってもやらないんだ。
なら、無理矢理にでもやるしかないのだ。
「ほら、着いたぞ!!それじゃあ、お願いします」
「「「はーい」」」
「「「いやーーー!!!」」」
目的地に着いた俺は、そこにいた3人の白衣を着た魔物娘達に3人を預けると、そのまま待合室のソファーに座った。
「全く、予防注射だけでなんでこんなに大騒ぎしないといけないんだよ・・・」
ここは俺達のかかりつけの病院。
なので、あの3人を押さえつけるのはお手の物である。
下手をしたら、俺より上手いかもしれない。
学校の方から『予防接種をして下さい』と連絡を貰ったので、こうしてやってきたのである。
俺もそうだが、あの3人は注射が大嫌いで、あの手この手で行くのを渋っていたので今回、病院に事前に予約を入れた後、強行に出たのである。
その後、三姉妹の悲鳴を聞きながら待っていると、泣きながら戻ってきた。
しばらくの間、機嫌が悪かったが、いつもの事だったので、病院の先生方に挨拶をして家に帰ったのだった。
〜ピクニック〜
今日は俺達4人でピクニックに出かけた。
ピクニックと言っても市内にある県立の公園で行っている。
公園と言っても、遊具は一切無いため、広場といった方がいいだろう。
そんな公園ではあるが、山の中腹辺りがあるので、街が一望出来るし、夜には夜景も見れるスポットなのである。
そんな場所でピクニックをしているわけだが、三姉妹は着く前からテンションが高く着いた途端に爆発した。
「兄ちゃん!兄ちゃん!!バッタいたよ〜!!」
そういって、捕まえたバッタを俺に見せてきた。
潰さないように手で包んでいるけど、これ以上興奮したら潰すな・・・。
「そうかそうか。それじゃあ、かわいそうだから逃がしてあげなさい」
「は〜い!!」
そういうと、翡翠は手を開いて捕まえていたバッタを逃がしてあげた。
「兄貴!!覚悟!!」
「うわっ!!こら、竜胆!!いきなりこっちにボール投げないの!!」
「へへっ!油断している方が悪いんだよ!!」
一切悪びれずにこちらにゴムボールを投げつける竜胆。
帰ったらお仕置きといきたいが、あんなに楽しみにしていたんだし、今回は多めに見てあげよう・・・。
「お兄様。大丈夫ですか?」
「ああ、なんとかな」
「それなら良かったです。飲み物でも飲みますか?」
「それじゃあ、頂こうかな」
さっきから、雫が俺の隣に座ってニコニコしているが、何が楽しいのだろうか・・・。
あんなに楽しみにしていたんだし、もっと遊んでもいいのだがな・・・。
でも、本人のしたいようにさせるのが、一番だよな。
こうしているのが良いのなら、このままにしておくか。
そんな妹達を観察していると、昼飯の時間になった。
この周りには、店がないから事前に作っておいた弁当をとりだした。
「竜胆!!翡翠!!そろそろ弁当にするから戻ってこ〜い!!」
すると、遊んでいた二人がこちらに戻ってきた。
翡翠は身体中泥だらけにしている。
それほど、楽しく遊んでいたようだ。
皆で、弁当を食べさせる前にしっかりと手をウェットティッシュで拭いてからお昼を食べることにした。
お昼もおかずの取り合いになったので、俺が仲裁に入って平等に分け与えることで、ケンカを止めた。
こ
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