〜帰宅〜
「ただいま〜」
仕事が終わり、マンションの自宅の部屋の扉を開ける。
今日一日の疲れをとるように首を鳴らす。
いやはや、会議が思いの外長引いてしまった。
あの案になんでこんな時間を取られるとはな・・・。
上司共も頭が固くて大変だよ・・・。
とそんな感じで仕事の愚痴を言っていると、家の奥の方からドタドタと駆ける足音が聞こえてきた。
今日も来たか・・・。
「兄ちゃんお帰り〜!!」
「遅い!今までどこにいたんだ!!」
「お兄様、お帰りなさい」
と、三者三様の出迎えの言葉と共に3人の妹達が飛び込んできた。
「ただいま。仕事が遅くなっただけだよ」
とそういうと、三女の翡翠(ヒスイ)が俺の肩に乗ってきた。
「兄ちゃん!兄ちゃん!!今日は10`の重りを持って飛べたんだぞ!!」
「おお、それは凄いな。前は5`だったのに凄い進歩だな」
「えへへ〜。いつか兄ちゃんを乗せて飛ぶんだからこれ位朝飯前さ!!」
俺の肩の上で、嬉しそうに表情を緩めるこいつはワイバーン。
人懐っこい性格で可愛い奴である。
そんな翡翠の話を聞いていると、前方から殺気のような物凄い視線を感じた。
そちらを見てみると、長女の竜胆(リンドウ)がこちらを睨んでいた。
「仕事が遅くなった?そんな事言って、本当は女の人と一緒にいたんでしょ!!」
「仕事仲間っていう意味でなら正解だけど、恋人や愛人って意味ならはずれかな」
「やっぱりそうなんじゃない!!」
「あはは、安心しな。3人が大人になるまでは誰かと一緒にならないから」
「むぅ・・・」
竜胆の頭を撫でてあげると、頬を膨らませながら落ち着いたこいつはドラゴン。
プライドが高く、厳しい性格だが、寂しがり屋でもある可愛い奴である。
そんな感じで竜胆を宥めていると、俺の手から鞄がとられた。
取られた方を見てみると次女の雫(シズク)が俺の鞄を持って笑みを浮かべていた。
「お兄様。今日もお疲れ様です」
「鞄は自分で持っていくからいいよ」
「いいんですよ。私が好きでやっていますから」
「そうか?」
「はい。それに、お兄様はお疲れのようですからすぐにお風呂にお入りください」
「ありがとう」
「はい。早く入って他のメスの匂いをとってください」
「・・・・・・」
思わず引いてしまうほど黒い笑みを浮かべているこいつは龍。
翡翠や竜胆の制御をしてくれるしっかり者だが、俺のことになるとたまに黒くなる事がある可愛い奴である。
結論をいうと三人とも可愛い妹である。
帰宅するといつもこうした歓迎がある。
3人の笑顔を見ると1日の疲れも取れてしまう。
俺の自慢の妹達である。
〜食事〜
個性的な姉妹たちはいつでも賑やかだ。
それは食事の時も同じである。
「兄ちゃん!兄ちゃん!!これ、美味いぞ!!」
「うん。分かったから、唐揚げの刺さったフォークをこっちに向けないでね」
少しでも気に入った料理があると、俺の方に向けてくる翡翠。
因みに唐揚げが大好物。
「兄貴!ちょっと醤油とって〜!!」
「ごめんね。今手が離せないからちょっと我慢しててね」
「むぅ・・・、早く取ってよ!!」
食事以外でもそうだが、俺が思い通りにならないと、途端に機嫌が悪くなる竜胆。
みっともないから、机を箸を握り締めた拳で叩くのは止めなさい。
皿が跳ねているし、また机を買い換えないといけない時はお小遣いカットするからな。
「はい、お兄様あ〜ん
#9829;」
「いや、自分で食べるからいいよ」
「そんな!私からでは食べられないという事ですね!お兄様は私達を捨ててどっか他の雌豚のところに行ってしまうのですね・・・」
「・・・いただきます・・・」
竜胆とは別方向で、俺が思い通りにならないと責めてくる雫。
お願いだから精神攻撃は止めてくれ。
色々ときついんだよ。
可愛い妹達に囲まれてはいるが、こうも責められるとちと辛いな。
賑やかだけど、たまには静かに食べたいな・・・。
〜姉妹喧嘩〜
俺の姉妹たちはとても仲が良い。
でも、そんな姉妹達でも喧嘩をする時もある。
「何よ!!お姉ちゃん達のバカ!!」
「馬鹿はあんたよ!!竜のくせに誇りも何もない雌蜥蜴め!!」
「竜胆お姉さま!それは貴女のことですよ!!いつもお兄様に突っかかって!!そろそろ私も許しませんよ!!」
どうやら、喧嘩の原因が段々と俺がらみになってきたな・・・。
想ってくれるのは嬉しいんだけど、後処理の事を考えると気分が重くなる・・・。
この3人、俺のことになると絶対に引かないからな・・・。
「兄ちゃんは私がいつか背中に乗せて飛ぶんだ!!そして、そのまま貰ってもらうんだい!!」
「
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