女王の襲来と鬼畜王の増殖

※魔王城・ディナールーム※
※リーゼ視点※


「地獄だ、おれが地獄を見る羽目になるんだ」ブルブルブルブルブル


先程の修羅の威圧から一転、弱腰になる柴様。

「メシャス、女王様を説得してくれないかしら」
「了解しましたパール様…出来る限り説得してみます…」

メシャスさんは女王様の所へ

「ジャイアントアント部隊、デビルバグ部隊、緊急出動よ」

パール様の命に従い、悪魔虫と蟻の部隊が出動しますが、何故かアトラさんの姿が見当たりません


「ただいま戻りました」


と、首を傾げているとメシャスさんが戻ってきました。

「ど、どうだった?」

柴様が願うようにメシャスさんに尋ねますが、メシャスさんは無言で首を横にふるだけ。

「   」
「柴様!?」

言葉を失い倒れそうになった柴様を、わたしは咄嗟に支えます。

『こちらエアリー、クノイチ及びアルプのセシャル
amp;ランスの防衛ラインも突破』
「エアリーちゃん、他に誰かいる?」
『はい、勇者らしき男性が一名に魔物娘が三名、リリムが五名、照合の結果、第二十王女ビューティ様、第二十一王女クリア様』
「驚いたわ、クリアちゃんはともかく、ビューティちゃんもいるなんて」
『それと……アンジェラ様です!第十九王女アンジェラ様もいます!』
「何ですって?」

「アンジェラ」の名前を耳にした瞬間、パール様の顔が険しくなります。
あれはわたし達花嫁達を調教するときの表情……

『ジャイアントアントとデビルバグの軍勢も倒されました!』

「ベル様、一刻も早い避難を」

メシャスさんがベルフィード様に手を伸ばそうとしたと同時に

「じゃまするのじゃー!」ドッカーン!

ディナールームの扉が吹っ飛ばされ、甲冑騎士の神輿が姿を現します。

「少し眠るのじゃ!」

ベルフィード様の顔面に魔力塊が命中、眠るように昏倒

「とう!」

その魔力塊を放った主が、神輿から飛び降ります。

「あれが……メシャスさんが言っていた女王さ――」



ゾクッ



わたしはその可愛らしい容姿に一瞬心を奪われそうになりました。同じ魔物娘、いえ同じ女性であるのにも関わらず。
これが老若男女人魔問わず、全ての者を惹きつけるリリムの美貌なのでしょうか?


『起きてください…朝ですよ…』

一方、メシャスさんは眠りについたベル様を目覚めさせようとしますが、一切反応がありません。

「あたしの吹き込みで目覚めないなんて…相当強力な魔術だわ…」


「柴よ。久しぶりじゃな、元気にしておったか?」

女王様は親戚と再会したかのように気軽に挨拶するのに対し

「お、オヒサシブリデスネー」

柴様は逆らってはいけない上司とばったり会ったかのように震えています。

女王様の掌からカップが現れ

「飲むのじゃ」

カップの中身を柴様に飲ませます。

「媚薬の雨水とタケリダケ、そして分身薬じゃ」

「うぐぐ……」
「柴様!しっかり」
「に、にげろ」
「えっ」トンッ

まるでわたしを庇うように、突き飛ばします。

「あ、 あ、 あ、」
「柴様――  !!!!」

わたしは声にならない悲鳴をあげます。

まるで肉の塊が分裂するかのように、柴様の身体から次々と分身体が生み出されたからです。

一体、二体、三体、四体、五体、六体、七体、八体、九体、十体

一見、分身薬による分裂に見えなくもありません。ただそれは分身薬服用時とは違い

十一、十二、十三、十四、十五、十六、十七、十八、十九、二十……

こうしてわたしが数えている間にも柴様が増殖していきます。

「フゥー」「ハァー」「ヒー」「ウー」「グヘ」「アー」「ゲヘッ」「ウヒ」

分身体は皆、目が血走り、息を荒立て、下品に鼻の穴をヒクヒクさせ

「嫁だぁ!」「嫁の匂いがする!」「俺の嫁」「嫁」「よめ」「ヨメ」「女家」「yome」「Y・O・M・E」「嫁ェ!」

飢えた野獣のように男性器を勃起


「嫁ならあそこにおるぞ」

と、女王様がワイト達を

「それとあそこにも」

そして、わたし達を指すと

「うおおおおおおおおおお!」

柴様達は雄叫びを上げながら、七人のワイトとポワイちゃん、周囲の嫁達に襲いかかります。


「なめるなぁ!」
「襲うのは後だと言ってるでしょ!」

火鼠のヒーネとレンシュンマオのシュンシュンが徒手で柴様二人に一撃を入れますが、片手であっさりと止められ

「あれ?」
「効かない」

二人の柴様はヒーネとシュンシュンを押し倒します。


「ちょっと気持ちいいけど、我慢してね?」
「少し眠っていてください」

九尾の妖孤のゆうこ様が魔力を連発
九尾の稲荷のリイナ様は巨大な魔力塊を柴様の顔に目掛けて正確に放ちますが

「あああああ」バシバシバ
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