※ラピッドタウン※
※ルーメ視点※
ドドドドドド!
「みんな、路肩に避難して!」
マワリさんの咄嗟の指示で、道路上から離れるあたし達。
ドドドドドド!
魔界豚が通過
ピッ!『こちらチェイス、ヨツンバウェイで暴走豚を追跡中、犯人がラピッドタウンへとワープ、周辺の婦警は避難要請を願います』
無線音声と共に
白のバイクに乗ったサングラスのチェシャ猫
があたし達の横を通り過ぎる。
『そこの豚、スピード違反だゾ、直ちに停車したほうが身のためだゾ』
同じく白いバイクに乗ったマーチヘアが拡声器で警告。
「白いヘルメットに白いバイク、彼女達はまさか……」
「あの二人は、チェイスとマーポ、白バイ隊員よ」
「白バイ隊員って、普段はヨツンバウェイで交通違反の取り締まりをしてるはずよね、なぜここに?」
「さっき無線であった通り、ヨツンバウェイからワープスポットを用いてここまで逃げてきたのでしょう。だが追跡のプロである彼女達に任せればーー」
ピッ!『道路上に清掃員一名確認』
「避難していない住人がいるの?シャウト!」
チェックはドーベルマンに跨り、追跡をする。
目的は避難していない住人の救助。
「清掃員……まさか」
あたしは、清掃員が彼女だと判断
魔界豚とアイツが接触
もし、フェイさまだったらきっとーー
ブォン!ブロロロロロロロロ!
気付けば考えるより先にスクーターを動かした。
「ルーメ!?」
メートがあたしを呼ぶが、アクセル全開で走行
ドーベルマンと白バイ二台を追い越し、魔界豚を追う。
(いた)
彼女は道路上を清掃中
(間に合って)
魔界豚を追い越そうとするが間に合わない。
魔界豚と彼女の距離はどんどん縮まり
ダンッ!
空間に罅が入り
魔界豚が崩れ落ちる。
あたしはスクーターを急停止
「ハァハァ、何が、起こった……まるで見えない壁に衝突したみたいだ」
魔界豚に騎乗していた男は、突然の出来事に状況の整理が追い付かないでいる。
「ちゃんと前見て運転しないから・・」
接触を免れた彼女が、男に言う。
『追い詰めたゾ、タイーホするゾ』
白バイのうちの一台が追い付く
「ヤバイ、逃げろ」
男が豚を置いて、逃走。
「大丈夫ですか?」
チェックさんが彼女に無事を尋ねる
「大丈夫です・・」
「そう、良かった」
次にあたしを心配そうに見る。
「あたしのことはマワリさんに任せて、チェックさんは犯人を追ってください」
チェックさんは何も言わずに男を追う。捕らえられるのも時間の問題だろう。
それはあたしも同様。
もう一方の白バイは男を追うことなく、あたしの前に停車、サングラスを外す
端的に白バイから刑歴書をプリントアウトし
「スピード違反だ」
それをあたしに差し出す。
「ルーメ!」
「はぁはぁ……ルーメちゃん」
メートとマワリさんが息を切らしながら向かってくる。
「マワリさん、あたしに触手錠を」
あたしはマワリさんに両腕を差し出す
マワリさんは緑色の塊を、そっとあたしの手首に置くと
「うっ…」
緑の塊がバラけて、あたしの手首に絡み付く。
触手だけあって、ヌルヌルしてる。
「署で事情を聞かせてもらおう」
「はい……」
「君も一緒に来てもらおう」
「はい」
メートもあたしの夫として同行する。
あたしはスクーターの制限速度を越えて運転した
それによりスピード違反の現行犯でタイーホ
事情聴取としてラピッド署に向かうことになった。
アリスの清掃員は魔界豚を退かし、周辺の掃除を始めていた。
※ラピッド署・受付※
「ここまでよく大人しく連行してくれたゾ、偉いゾ」
「いや、こんな状態じゃ抵抗もへったくれも……」
「はーい、さっきも言いましたが答えなら牢屋でじっくり聞きますからね」
ドーベルマンが容疑者の頭をくわえて吊り上げる形で地下の階段を降り、チェックさんとマーポさんがそれに続く。
後でわかったことだが、男の名は自称猛獣使いΒ-1007容疑者、ラピッドタウン道路の制限速度時速四十キロを越えての運転及び無免許運転により、その場で現行犯タイーホされたそうだ。
だが今のあたしは彼のことを気にする余裕は無かった。
マワリさんとチェイスさん、そして夫のメートと共にあたしは地下の階段を降り、地下牢へと向かう。
※ラピッド署・地下牢※
「どの部屋がいいかしら」
「この部屋は回るベッドつきだゾ」
「うーん、ぼくとしてはポピュラーな拷問部屋のほうが……全部使用中か、残念」
チェックさんとマーポさんが部屋の写真がズラリと並んだパネルの前に立っている。
「何をしている?」
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