※タマゴの里・雑貨屋※
※ルーメ視点※
「ルーメ、配達依頼のメールだ」
始まりはお得意先からの依頼だった。
「相手は?」
「ラピッドタウンにある飛脚運送・魔術課のウィリアさんだ」
「了解、お姉ちゃん」
頭のヘルメット(キノコ)を被り直し、メートと共に白のプレートを付けたスクーターに騎乗、エンジンを入れる(持ち主の精や魔力に反応して動くので鍵入らず)。
朝の日差しが里中を照らしだす。
空は雲一つなく、こんな天気のいい日は、晴天記念のお茶会を開いて、メートの精液をミルク代わりに紅茶を飲みたい。
「お二人さんツーリング?相変わらず仲いいね」
「ひゅーひゅー」
そんな浸りも黄色い喚声によって打ち砕かれる。
「カウとベレもラピッドタウン?」
メートは黄色い喚声の彼女達に聞く。
「転送装置で競技場にいくの」
「今日は野球の開幕戦よ」
「二人で夫を手に入れるわよ」
「討伐隊とやらが来訪してる今がチャンス」
「そうかそうか、夫探し頑張って」プーッ!「わっ、いきなりクラクションを鳴らすなよ、ルーメ」
「喧しい、先に行くから!」ブロロロロ…
「待ってよ、ルーメ」ブロロロロ〜
「喧嘩しちゃだめよー」
「婦警さんにタイーホされても知らないよー?」
※ラピッドタウン※
ラピッドタウンの空はタマゴの里とは打って変わって、桃色に染まっている。
「どうだオレのニンジンの味は!」
「アンッ♪イヤン♪ニンジンキモチイイッ!」
「ああーん、それってつまりエッチがしたいのね」
「うんうん、早くやりたいヤリタイ」
「じゃあアソコのベンチでシましょう」
芝生の上で交わったり、交わりの会話へと直結したマーチヘアをはじめ
「ハァハァ、ドーマウスハァハァ」
「ふぇ〜息苦しくなるくらいドキドキしてくるなんてキモチいいでしゅ〜」
興奮状態での交わりに恍艶感を浮かべるドーマウス
「アハハ〜精液ビュッビュデテル〜キモチイイ〜」
「ああ〜」
「清掃員サンカラモラッタ媚薬ヲ飲マセテミヨ〜」
「ごきゅごきゅ……うっ」
「精液ドバドバ〜シアワゼェェ」
芝生の上でレッドスライムが仰向けの夫に硝子瓶の媚薬を飲ませながら精を糧に余剰部分を増やす。
マーチヘアに限らず、様々な魔物娘達がベンチや芝生の上で交わりを行う空の色は発情期を象徴していた。
「おっと」キキーッ
道路の人盛りに気付き、ブレーキをかける。
人盛りのお目当ては、ラピッドタウンでのお仕事。
「仕事と言えば飛脚運送、目指せ職場結婚」
「アタシ、お菓子のカフェのウェイトレス、気に入った客を持ち帰り」
「私は婦警さん、ミニスカ制服で男を誘惑しちゃうぞ」
「なら俺は消防士だ、媚薬やお菓子で発情しきったチンポを俺のマンコでチン火してやるぜ」
「あたしは地下牢の看守にします、もしかしたらビーストさんに会えるかもしれません」
「あの〜面接ってどうやって受ければ」
「簡単よ、刑歴書に魔力を込めて提出すればいいのよ」
「ホントだ、羊皮紙を握っただけで、名前が刻まれたわ、魔宝石みたい」
「わっちは保育園の保母さん」「ぼくはオモチャ屋の店員」「わたくしは写真集のモデル」
「最近求職者が多いな」
「討伐体一万人来訪してるのよ、報酬が男性のキノコならみんな張り切るわよ」
住人達が刑歴書を片手に各面接会場へと向かう。
道路を遮っていた人盛りが消える。
ただ一人を除いて
「ルーメ、あのアリスは……」
ただ一人のアリスがあたし達に気付いたようだ。
薄汚れた作業着、髪を白のバンダナに纏め、両手にはモップとバケツという萌え要素ゼロの格好。
「何だ・・君たちか・・」
「おはようございます、シ」ギロッ「……清掃員さん、刑示板の前に立って何を見てるのですか?」
「相変わらず清掃員の仕事は人気無いなって・・」
「報酬無し、ただ不思議の国中を延々と掃除する仕事ですからね」
「福利厚生として不思議の国中を回れる権利があるのに・・」
「あまり意味ないですよね」
「衣食住の保証はするのに・・」
清掃員はスライムゼリーの入った瓶をチラ見せ
メートと会話をしていた彼女に、あたしは漸く口を開く。
「申し訳ありません。ウィリアさんから配達の依頼がありますので」
「ウィリアの依頼か・・すまなかった・・自分は気長に清掃に励むよ・・」
清掃員はモップを持ち、道路の清掃を行う。
「頑張ってくださいね、清掃員さん」ブロロロロ!
「ルーメ、さっきの態度はマッドハッターらしく無かったよ?」
「……仕方ないわよ、彼女はフェイさまの宿敵なのよ」
「……ルーメ」
「何」
「ウィリアさんの前では冷静にね」
「……わかってるわよ」
※飛脚運送裏口※
コンコン「ルーメです、ウィリアさんはいますか?
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