第九話

Α魔王城・臨時式場Α
Αアンジェラ視点Α



「ビューティちゃん消えちゃったー」
「ふにゅ?いつの間に」
「……ビューティちゃん」

「追い掛けるん?アンジェ姉」
「刑約が成立した以上解除は不可能。追うだけ野暮よ。それに私達にはやるべきことがあるわ」
「やるべきこと?」
「一つは新婚夫妻にエンゲージリングを授与すること、もう一つはーー」


「お義母様のハーレムの様子を見に行かないと」


「あ、そうだったやんね」
「はぁー気が重いなぁ……」
「エンゲージリングはウチが用意するから、アンジェ姉は、きちんとパール様に報告するやんね」
「ドロシー,バージャ、行くわよ」

「「はい、アンジェラ様」」


\


「成る程、パール様関係なら納得ですね」
「何故アンジェちゃんはあの格好をしてるの?という疑問が解決ね!」


Α魔王城廊下Α


「刑約完了。懐かしい響きでしたね。バージャ」
「そうだな、ドロシー」
「刑約書による柴様との情事、決して忘れることのない思い出」
「俺様にとっては最高の一時だったぜ」

「貴女達は淫歴史だろうけど、お義父様にとっては黒歴史なのよ。プレイの全てが不思議の国全体に生中継され、さらに録画映像が魔王城に掲示されて、お義父様がどれだけ後始末に苦労したか」
「アンジェラ様も興奮したのでは?」
「ええ、当時の私はとても刺激的でーーって何を言わせるのですか!」
「アンジェラ様も人の事が言えませんね」
「……とにかく刑約さえ終わればビューティ達は解放されるわ」



「ーー例えエネミス帝国に何が起ころうとも」



Β断食砂漠・エネミス帝国前Β
Βビューティ視点Β



「エネミス帝国との、友好条約を、結ぶ?」
「そうじゃビューティよ、話を聞けばこの国は資源不足に悩んでおるではないか。じゃから我が国との条約を結び、資源調達等のサポートをするのじゃ」

「いやいや、条約を結ぶって、エネミス帝国は反魔物国家で」
「オナニーよ「表向きは」じゃろ?」
「あ」
「裏は親魔物国家じゃから問題無いじゃろ」

「女王様、確かに、事実上の親魔物国家ですが、国民の大半が、それを知りません」
「ならば条約を結んだ後、公表すれば良かろう」
「そもそも、ピスコ様は、条約承認に、難色を示すかと」
「とにかく城へ行くのじゃ」
「スルー、した」

「キャっ、宙に浮いた?」

「余の魔術で、皆を宙に浮かせたのじゃ、このまま街中へ入るのじゃ」
「宙に浮いたら目立つだろ?」
「『透明の刑』により、周囲の者達は我々に気づかぬ」
「透明の刑?それのどこが極刑なんだ」
「オナニーごときがぐだぐだ言うでない。途中でまた発情の発作が起こしても知らぬぞ」
「今は鎮静状態なのか」
「その通りじゃ、城へと向かうのじゃ」
「ハイハイ、行きますよ」


Βエネミス帝国・市街地Β


「ふむ住民達は常に警戒態勢のようじゃ」
「表向きは、教団兵育成国家、だから」

「成る程、だから常識外れの訓練をするのじゃな」
「女王様〜どういうこと〜?」
「バブリーよ、あの雷が答えじゃ」

「立てってんだろ、オマエラ!」

バチィッ!

「ぎゃああっ!」

「キャあっ」
「わ〜」
「大丈夫か二人共!」
「ウォッカ、ゴメンちょっと驚いただけ」

「あの魔法使い〜兵士に雷を当ててる〜ひど〜い」
「あれはT-810教官の訓練だ」
「訓練〜?」
「雷に打たれても意識を保つようにする訓練で、気絶すれば目覚めるまで雷を浴びせられる」
「死なないの〜?」
「意外な事に、死傷者は一切出たことはない」

「雷の中を堂々と行進するのじゃ、中々のスリルじゃぞ」
『待ってよ女王様ァ悪いけど遠回りしてくれなィ?流れ弾ならぬゥ流れ雷に当たって気絶する展開は勘弁だよォ?』
「何じゃ、着ぐるみごときが余に意見するのか?」
『ビューティが気絶するのはァ夫であるオレとしては死活問題なのさァ』

「女王様、あたしからも、お願いする。不本意に、変身解除されるのには、嫌な思い出が多い」

『ほらほらァ可愛い妹の頼みが聞けないのかィ?うりィうりィ〜』

「姉上の旦那、妙に女王に突っ掛かってるぞ?」
「確カニ、今のカフェオレ君、何だか怖い」
「ややシリアスだ〜」
「おーい、下手に女王に逆らわないほうがイイゾ」

「……良かろう。ルート変更じゃ」

「「「「納得しただと!?」」」」

「急がば回れじゃ」


Β居住区Β


「ここは勇者や上の階級の兵士が住む居住区だ」


「ちょっと、しっかりしなさいよ!」
「ごめんなさい、隊長」

「あのツインテールの女性って隊長なんですか?何だか目線が怖い」
「Μ-103隊長の威圧感は、まるで人を固めてしまうのだ」
「勇者さま〜あの滝に打たれてる男女は〜?」


「うう、冷たく感じる……」
「殿
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