サンドウィッチロック・魔女の大鍋

★荒野・魔界豚トンスケ★
★ダイヤ視点★


「お嬢様、正月の初詣は楽しかったですね」
「何よ煌羅、いきなり半月以上前の事を言いだすなんて」
「蛇神神社での初詣。ラミア属が一直線に並んでいたのは圧巻でした」
「確かに初詣どころか、その日のうちに神社に到着する保証は皆無だったわね」
「そこでクロ魔女さんが私達を箒に乗せてくれました」

「はーい、クロ魔女ことバイコーンのクロです」

「別の移動手段を得た私達は、蛇神神社に到着。無事蛇神様の前で初詣を済ませました」
「クロさん、ありがとう」
「いいよいいよ、あそこの神主さんは母さんの古い友人だからね」

「私達は、お礼としてクロ魔女さんの手伝いをする事にしました」
「だからあたしは今度の集まりに物資運搬を頼んだのよね?」
「はい、クロ魔女さんの妹、マンティコアのティーダさんお手製のまかいもを運んでいるのです」
「ホント助かるわ、あたし一人じゃ運ぶ量に限界があったからさ」
「いえいえお気遣いなく」
「こちらこそ」

「ところでクロさん、あとどれぐらいで到着する?」
「もうすぐ到着するわ。ダイヤちゃん楽しみにしててね」



「白くて、熱くて、粘り気のあるアレを、たっぷり食べさせてア・ゲ・ル」



「へ?白くて熱くて粘り気?それって……」
「さ、もうすぐ到着よ。あそこ見える巨大岩」



「サンドウィッチロックよ」


★サンドウィッチロック頂上★


「へぇー結構人や魔物が集まってるわね」
「それは今日は大事なイベントだもの。特に未婚の魔物娘は張り切るわよ」
「クロさん、どうして未婚の魔物娘が張り切るの?」
「それはね……」

「クロ、ダイヤちゃん、久しぶりやんね〜」

大きな帽子を被った魔女がクロさんと私の名前を呼んだ。

顔が隠れるくらいの帽子……もしかして

「クリアさん?」
「ダイヤちゃん、クリアと知り合いなの?」
「クロ、ウチの姉とダイヤちゃんの兄が夫婦、つまり従姉妹の関係やんね」
「そうなんだ」

「クロさんもクリアさんと知り合いですか?」
「こういう集まりによく顔を合わせるうちに、魔女の格好をしたバイコーンと魔女の格好をしたリリム、似た者同士気が合ってね。ところでクリア、栗恵は?」
「栗恵ならキッチンで夫とレームと共に仕込みをしてるやんね」
「じゃあ立ち話するのもなんだからキッチンに行きましょう」
「クロさん、栗恵って?」
「一言で言えば、バイコーンの発明家かしら」


★仮設キッチン★


「あっあっ、レームの人工マンコ最高!」
「そや、その調子で立ちバックで犯すんやで〜」

変な訛りに白衣,丸眼鏡のバイコーンが黄色い筒で声を拡声させ、料理の仕込みをするゴーレム夫妻を応援していた。

「刺激を与えれば与えるほど、レームの中にある白くて熱くて粘り気のあるアレが美味しくなるんやで〜およ?」

バイコーンが私達に気付いた。

「お〜久しぶりやなクロ、元気にしとったか?」
「栗恵、久しぶり。新製品の開発上手く行ってる?」
「おう、例の魔物誘引装置は完成間近や」
「次の二角獣会が楽しみね」
「ん?隣のバイコーンは誰なん?」
「栗恵にも紹介するわ、バイコーンのダイヤちゃんと従者の煌羅よ」
「初めまして栗恵さん。ダイヤです」
「キキーモラの煌羅です。まかいもを持ってきました」
「ウチはバイコーン発明家の栗恵やで〜煌羅はんが担いでいる袋って全部ティーダはんのまかいもなん?」
「はい、キッチンには野菜が肉がありますね」
「そや、まといの野菜にとろけの野菜,魔界獣に魔界魚、白くて熱くて粘り気のあるアレの副菜やで」

クロ,クリア,栗恵がニヤニヤする。

「早く食べたいな、白くて熱くて粘り気のあるアレ」

「白くて熱くて粘り気のある……涎が出るやんね」


「それならもう出来たはずや、レーム」
「ハイ、マスターのピストンのおかげデ、出来ましタ」
「いっぱい出してや」
「ハイ、解錠ルーン起動」

レームのお腹が開く。

中から出てきたそれは


白くて

熱くて

粘り気のあるーー



お餅



「お餅?」
「そうよ、餅米だから白く」

「つきたてやから熱くて」

「食べれば粘り気のあるお餅やで」



……

………

「そ、そうよね、お餅よね。白くて熱くて粘り気のあるモノと言ったらお餅よね。アハハ……」



私は気を取り直して、クロさんと一緒に材料を岩の中心にある池へ投げ込む。

「まるで大鍋ね」
「別名魔女の大鍋。岩の中は熱が籠もりやすく、鍋料理には最適なの」
「いい匂い、美味しそう」
「あとは出汁が到着するのを待つだけよ」
「出汁?これだけでも充分美味しそうなのに」
「出汁が取れればもっと美味しくなるわ。特に私達バイコーンにとってはご馳走にーー」



『そこにいる魔物
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