※魔王城・ハーレム部屋※
※パンジ視点※
「あああぁあぁあぁぁ」
私は悲鳴をあげながら、飛び降ります
「ぁぁぁあぁぁあ」
びょーいん♪
両足を伸縮性のある魔力紐で縛っているので、床に激突することなく、伸縮の反動で落下した位置まで逆戻りします
ああっ、柴さま、今日もハーレムのために精と愛を注いでいるのですね
私は百を超える嫁の一人として、柴さまに愛すると誓ったバンシー
柴さまのハーレムの一員として、柴さまと交わり、時には遠くから柴さまとハーレム達が交わるのを見届けてきました
嬉しいときも、悲しいときも、さみしいときも、犯してるときも、眠るときも、調教されてるときも、暖かいご飯を食べてるときも、犯されてるときも、涙を流してきました
「あぁあぁぁぁあ」
今日は柴さまと交わっていないので、ヘル様とハートの女王様が面白いと喜んでくださる、私の特技『泣霊の跳躍(バンシー・ジャンプ)』の特訓
「あぁぁぁぁあ」
落下の勢いに悲鳴をあげながら涙を流します
「パンジ!」
そんな私の叫びを聞いたのか、柴さまが駆け付けてきました
「柴さま……ぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁあ」
もしかして、柴さまは私のために……
びょーいん♪
「パンジ、君の叫びが届いたよ。さあ、交わろう。魔物娘と人間同士、愛し合おう」
「愛し合う、うわぁぁぁん、嬉しいですぅぅぅぅ」
嬉しさのあまり柴さまの胸に飛び込もうとしますが
びょいーん♪
非情にも自らの魔力紐の弾力が私と柴さまを引き離します
「うわぁぁぁん、柴さまぁぁあ」
「ああっ、パンジが悲鳴をあげてながら跳躍を続けている。助けてあげたい。けど――」
「あああぁぁぁぁぁ」
びょーいん♪
「陰鬱だけど美しいパンジの叫び声が素敵すぎて助けるのを躊躇ってしまう自分がいる」
「ぁぁぁぁぁあああああ」
びょーいん♪
「せめて、パンジの涙を拭くためにこの白いハンカチをパンジに渡してあげよう」
「あああああぁぁぁぁぁぁ」
「パンジ、ハンカチだよ」
「柴さまありがとうございます――ぅぅぅぅぅ」
柴さまがくれた白いハンカチで涙を拭こうとしますが
びょいーん♪
「あ」
ヒラヒラ〜
戻る反動でハンカチを落としてしまいました
「ハンカチぃ、柴さまがくれた白いハンカチ、しあわせのおおおぉぉぉ」
「大丈夫だよ。こんなこともあろうかと、じゃじゃじゃーん」
柴さまの着物の下から白いハンカチが連なるようにしゅるしゅる出てきます
シュルシュルシュル……
幼女達を楽しませる手品師のように
ポロリ
「あ、男性器が露出しちゃった。てへぺろ」
ああっ、柴さまが私のためにあんなに沢山のハンカチを用意してくれるなんて、ポロリもあったのは元々ふんどしとして使用していたのですね。よってその白いハンカチは生の象徴である精の香りがする仕様、それを私用で使えるなんて
そう考えただけで――
「ふぇ、ふぇぇぇぇん」
思わず泣いてしまいます
でも
「ふぇぇぇ――あぁぁぁぁぁあぁぁあ」
びょいーん♪
まだ跳躍の最中なので、悲鳴でかき消されてしまいます
「パンジの涙をこの幸せの白いハンカチで直接拭いてあげよう」
「はい、柴さま――ああああああ」
「オーライ、オーライ」
柴さまが私が落下するであろう場所に合わせて立ち位置を調整しようと後ろに一歩下がり
つるっ
床にばら蒔いたハンカチに足をとられ
ごんっ
転倒した拍子で頭をうちました
ぱさっ
手に持っていたハンカチが下腹部に落ちます
……
びょいーん♪
……柴さま?
びょいーん♪
柴さま?
びょいーん♪
柴さま
びょいーん……
「きゃあああ、柴さまぁぁぁぁぁぁ」
どうしようどうしよう柴さまが起き上がらない
そうだ、私はバンシー、バンシーの特徴は死期を予見し涙を流す、現在はヘル様の眷属になることで、私の声は死者を甦らせる力を持つようになりました
よし、まずはバンシーレーダーで死期の予感を察知して
びょいーん♪
バンシーレーダーで察知して
びょいーん♪
察知して
びょいーん♪
……
びょいーん♪
涙が、出ない!?
びょいーん♪
どういうこと、柴さまに対する死期の予感、ゼロ、零、ぜろ、0、0、Zero、ぜーろー、死期の予感は『零』です!
バンシーとしてあらゆる死期の予感に涙した私が、柴さまを見ても全く死期の予感がしない
「いゃあああああ、しっかりしててぇぇぇぇぇ」
そんな私の叫びが届いたのか
奇跡が起きたのです
むくっ
柴さまが起き上がりました
びーん
正確には柴さまの下半身に落ちたハンカチが
これは、男の人
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