不純の賢牛と白濁のバレンタインデー

※魔王城・ハーレム部屋・会議室※
※ハクター視点※


「ありがとうございます、先生のおかげで柴さまが喜ぶ美味しいチョコが作れます」
「頑張ってね」


チョコレートの材料を一式抱えたサキュバスがわたしに一礼をして会議室を後にしたわ

「次の方」
「はい」

水のように透き通った返事をするのは下半身が雪のように白い蛇の魔物――白蛇

「私の魔力入りのチョコをあの方に渡したいのです。私にとって大切な唯一無二の一人の夫に」

白蛇らしいリクエストね、少し考えたわたしは

「そうね、外はカリッと中は熔けるような食感、自分だけに好意を抱く効能を持つレシピを教えるわ」
「ありがとうございます。ハクター先生」
「ただし、貴女の夫は他の嫁のチョコも食べるから、効果はそう長くは持続しないと思ってください」
「構いません、ほんの一時の間でも私に執着してくれさえすれば…」
「もしそのほんの一時すら無いときは?」
「……その時はハクター先生が教えてくれたあの方の弱みを持ち出しますわ…くすくす」

白蛇は不適な笑みで答える

まるで炎のように燃え盛る執念に、白蛇って図鑑に記載されている通り水属性よね?決して炎属性じゃないよね?とつい疑問を抱いてしまう

「ハクター先生が教えてくれた夫の弱点…パール様を始めハートの女王様やデルエラ様といったごく一部の者しか知らないあの方の弱み…まるで焼き印のように私の脳裏に焼き付いていますわ…くすくす」

いくら同じ夫を持つハーレムとはいえ、執念深い彼女に夫の弱みを共有させたのを一瞬だけ後悔するけど、わたしは白澤、魔物を虜にする手段を学び、それを教える種族、例え相手は誰でも

「いいわ、教えてあげる」
「ありがとうございます」

レシピを学んだ白蛇はテーブルにある材料をせっせと持ち出し一礼をして会議室を後にする


「ふぅ、一段落ついたわね」


ようやく妻達全員の相談が片付き、一息ついたわたしは腕を伸ばしてストレッチをする
背伸びの度にピチピチの服からピンと張った胸がぷるんと揺れる



「ちょっと、押さないでくださいまし」
「仕方ないだろ、他にハクター先生を頼ってる嫁がいたらどうするつもりだ」
「よく聴こえないです…」
「ふわぁ〜とりあえずノックしたら?」



扉越しから可愛らしい四色の声色が耳に入る
今年もあの娘達が相談に来たようね

「今は誰もいないから入ってもいいわよ」

わたしは彼女たちを呼ぶと扉が開いて――



「きやっ!」
「うおっ!」
「ひゃう!」



バランスを崩して倒れこんだ三人の魔女が現れる

正確には四人だけど


「ふわぁ〜慌てて扉を開けるからだよ」


唯一転倒を免れた四人目が入室

黒き空に星屑を散りばめたようなキラキラした輝きを持つ可愛らしいクリッとした大きな瞳
どんな闇夜でも月明かりのように照らすような艶やかな黒髪
それを何も手をつけずボサボサにしている黄色のフードを纏った魔女――アリサちゃんが楽々と入室


「うう…アカリちゃん重いです」


黒き空に星屑を散りばめたようなキラキラした輝きを持つ可愛らしいクリッとした大きな瞳
どんな闇夜でも月明かりのように照らすような艶やかな黒髪
それをポニーテールに纏めた緑色のフードを纏った魔女――アキラちゃんが涙目で姉妹達の下敷きになっている


「悪い…って重いは失礼だろ!」


黒き空に星屑を散りばめたようなキラキラした輝きを持つ可愛らしいクリッとした大きな瞳
どんな闇夜でも月明かりのように照らすような艶やかな黒髪
それをツインテールに纏めた赤色のフードを纏った魔女――アカリちゃんが重いことに腹を立てている


「ハクター先生、ちょっとお尋ねしたいことがありますの」


黒き空に星屑を散りばめたようなキラキラした輝きを持つ可愛らしいクリッとした大きな瞳
どんな闇夜でも月明かりのように照らすような艶やかな黒髪
それをお嬢様結いで纏め、癖毛一つないロングに整えている青色のフードを纏った魔女――アオイちゃんはニコニコ笑顔で私に尋ねる


服の色と髪型を除けば何かもかも瓜二つ
いや、瓜四つという造語を作ってしまう程、同じ顔に同じ容姿をした彼女達は四つ子の魔女

十歳の頃にジパングで拾われ、バフォメットのフォーバ様に魔女の素質を見初められ魔女となり、紆余曲折あって今やハーレムの魔女達の先陣をきる四姉妹

「「「「今年もバレンタインデーで、お兄様(兄貴)(兄)(兄さん)へ贈るのチョコの作り方を教えてください」」」」

四人同時にわたしに頼み込む


「いいわよ、今年も最高のチョコレシピを教えてあげる」

料理を相手に伝える方法は、レシピを渡したり、直接チョコを作るところ見せるのが一般的だけど、わたしの場合は

「なでなで」
「なでなで」
「なでな
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