Μ郷愁の霧Μ
Μマドラ視点Μ
「そんな…」
初太の両親が事故で亡くなったという事実にわたしは驚きを隠せません
わたしの目に写る幼い初太の涙は両親がいない寂しさだと思うと胸が苦しくなります
わたしが初太を支えてあげたい
でも幻影である以上、見ることは出来ても触れることはできません
もし支えてくれる人がいるのなら
「忘れないで」
初太の記憶にいるせんせーと呼ばれる女性だけなのです
「どんな時も初太くんの両親は、初太くんの心の中で見守っている」
「せんせー…」
せんせーは幼い初太を優しく抱きしめながら慰め
「とっておきのおまじないを教えてあげる」
自分の手をそっと胸に当てます
「おまじない?」
「胸に手を当てて心の声を聴くの、寂しいと思った時のおまじない」
「心の声…ですか」
「マドラ?」
「ちょっと昔のことを思い出しまして、この娘と会話しようとしていた頃の事を――」
わたしは頭のキノコを脱ぎ、優しく撫でます
「マッドハッターって帽子と会話出来るのか?」
「会話というより寄生体の本能に従う、寄生体と感覚を共有するそうです。わたしもマッドハッター仲間と一緒にそれを実行していた頃がありました。ただ…」
「ただ?」
「わたしはこの娘の声を聞くことが出来ませんでした」
赤と青のリボンを巻いたシルクハットを撫でながら。
Μ不思議の国・不思議美術館・映写室Μ
Μ満知子視点Μ
『会話、ですか?』
今のアタシ達はコルヌさんの過去を鑑賞中
映像の中のまどっちが教師に問いかける
『そう、君達が被っている帽子は寄生体であることはわかっていると思う』
寄生という言葉に生徒達が反応したわ
『その帽子も一つの命、帽子の声を聞くように、寄生体としての本能を受け入れることでマッドハッターになれる。しかし今の君達は帽子に寄生されていながらも、未だに人間としての思考が残っているマッドハッターの卵。これからこの白百合の花園でのレッスンを経て、立派なマッドハッターを目指してほしい』
「しらゆりのはなぞの?」
「不思議の国の東側にある教育施設のことだよ」
へーくんが刑示板(たぶれっと型)のワンダーペディアを見ながら説明する
「リリラウネの花が多く自生している場所に建てられた学園で、立派な淑女になるための教育制度があり、花嫁修業の一貫として自分の娘をそこに入園させる母親が多いそうだ」
「正に学校ね」
「特にマッドハッターの入園が多く、寄生したてのマッドハッターが静かな狂人になるための第一歩として定評とのこと」
「だからまどっちもいるのね」
「また白百合の花園は男子禁制であり、入口には男を通さない結界が張られている。園内には男を強制送還させる仕掛けが施されており、一定量の精を感知すると強制的に外へ転送される」
「参ったわ、初太がいたら放置されるとこだったね。男だから入園出来ないし」
「いやそうでもないぞ。園外にある宿泊施設で売ってる『性寒天』を食えば、男は一時的に魔物娘になって入園が可能になるようだ」
『君達全員身も心もマッドハッターになれたら卒園となるが、もしここが気に入ったのであれば、この花園で美少女達との百合ライフを過ごすと良いだろう』
百合、女の子同士の恋愛ね…
これからまどっちはエリンを含めた四人のマッドハッターの卵達との恋愛ドラマを繰り広げるのかな?
男子禁制だし、女の子同士ならそんな感情が芽生えても不思議じゃない
特にスポーツ選手のユニフォームを着た少女がそのケがありそうね
スキンシップー♪とかいっちゃってシャワー中のまどっちの胸を揉んだりとかしてさ
まどっちも思わず可愛い声をあげて顔を真っ赤にしちゃって、でも不思議と嫌じゃなくて
『すみません、あたしには親友(男)がいるので卒園したら即出ていきますから』
男いるのかよ!
『それに百合に興味ないので』
百合タグつかないのかよ!
『そうか、正直に言ってくれて先生は嬉しいよ。魔物娘になれば、男性と交わるのは当然のことだから』
「あのスポーツ少女、即決で拒否したわね…」
「ショロさんはリュフという恋び…いえ親友と一緒に不思議の国に来たそうです」
「なんで親友?恋人の隠語?」
「ショロさんにとって夫はあくまでも親友だと思ってうたそうでして…でも不思議の国に来ることで自分の気持ちに素直になれたそうです」
素直ね…アタシと似たようなものか、前の世界ではへーくんとは一線を越えることが出来なかったけど、不思議の国に来て魔物になることで踏み出すことが出来たのよね
あの時の頭が快楽に染まりながら、へーくんの言葉一つ一つがエロに繋がっていく快感は、思い出すだけでもアソコが濡れて――
『ふざけるな!』
「ひゃうっ!ごめ
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