※不思議の国・タマゴの里※
※シャンプ視点※
今日はホワイトデー、いわば第二のバレンタインデー。
里ではいつも通りお茶会が開かれているけど、今日はホワイトデーらしくマッドハッターとその夫達がホワイトチョコを全身にかけて舐めまわしたりしているわ。
「今日こそは絶対に男をゲットしてみせる」
「この日のために徹夜して買ったのよ」
カウとベレは別の意味で燃えているようね。
「戻ってきたぞシャンプ」
と、あたしの夫が仕事から戻ってきた。
「ホワイトデーの荷物運びの仕事を済ませたぞ」
「お疲れ様リンス。ここしばらくは荷物の運搬ばっかりだったでしょ」
なーに、これくらい平気さと、あたしの夫は高らかに自慢する。
「いいな、シャンプさんは」
「当然のように夫婦で会話してさ」
カウとベレが羨ましそうに見ている。
「そうでもないわよ。アホなところが玉に瑕よ」
あたしのその言葉にリンスはええっ!と驚きの反応を見せる。
「玉に傷!?アホだと金玉をケガするのか!?」
あたしは、はぁーとため息をつきながら、股間を押さえて震えているリンスを宥める。
「玉は金玉じゃなくて宝石よ。それにリンスは立派なインキュバスだから、ちょっとのケガも直ぐに治るわ」
「ほっ、良かった。金玉にダメージを受けるとすごく痛いんだよな〜」
「リンスさんって、思った以上のアホね」
「流石のマーチヘアもあそこまで曲解はしない……と思う」
囁くカウとベレ。
あたしは、わかったでしょ?と言う。
「夫婦で暮らすというのは、淫らにエッチをする訳じゃないの。時には愛する人のフォローで一苦労することもあるのよ」
「それでも羨ましいな。恋愛が成就できて」
「カウ、だからこそ今年はこのプレゼントに決めたのよ」
「プレゼントって何だ?」
「リンスさん、いい質問ね」
「これよ」
カウとベレが取り出したのは、卵型の瓶。
それぞれハート型とスペード型の栓がされた瓶の中には黄金の液体がゆらりと揺れている
「ガンダルヴァの香気から作られた香水よ。徹夜で並んで買った限定五十二個の品よ」
「嗅げば適当な女を犯す獣へと変える香水『金の卵』とは違って、ごく自然に男をゲットできるわ」
カウとベレはにやけた笑みを浮かべながら、香水を見つめている。
「二人とも想い人が見つかるといいわね」
あたしは微笑みながら二人に言う。
「えへへへへ、来訪者の仲良し男性コンビを見かけたら」
「ふひひひひ、この香水で男二人の性欲を掻き立ててぇ」
あたしの激励をスルーして、自分たちの世界に入り込んでいるようね。
「あの二人、ニヤニヤしてちょっと気持ち悪いぞ」
「しーっ、リンス、黙って見守るのはマッドハッター及びその夫として当然のマナーよ」
「わかった、男は黙って見守る」
「二人とも、待っていても男は寄ってこないわよ。外に出て来訪者を探しに行ったら」
「そうね、こっちからアプローチしなくちゃね」
「さり気なく接して、隙を見て処女を捧げるわ」
帰ってくる頃には四人でお出迎えしてねと、カウは里を離れ
カウ&ベレ、ホワイトデー結婚おめでとうパーティーの準備をお願いねと、ベレは言い残して里を飛び出したわ。
「二人ともいつもより張り切ってるな〜」
「今日はホワイトデーだからね。バレンタインデーでのチョコのお返しとして相手が求める物を渡す日よ」
「でも、あの二人は夫を探してるんだろ?」
「ただ、不思議の国ではお返し関係なしに想い人にプレゼントを渡したり、彼氏をゲットするためのプレゼントを用意するけどね」
「はい、あーん」
「あーん、ぱくっ、チョコおいし〜」
「じゃあ、お返しに僕にも熱いホワイトチョコを頂戴」
「上の口と下の口、どっちでも食べれるようにしてやる」
「里の住人の大半が全身にホワイトチョコをかけて、互いに食べあっている」
「当然、ホワイトチョコと一緒に精液をいただくけどね」
「もっと白く染めてあげ……あれ?」
キノコ型のタンクのチューブを握るが、ホワイトチョコは一切出ない。
「白いのがなくなったぞ」
「大変、補充用のタンクがあと一つしか無いわ」
「えっ、そうなの?もっと白に染まりたかったのにな」
「弱ったな、まぁ別に無くても困らないけど、あるかないかで言えばあったほうがいいけど」
表情や仕草には出していないが、マッドハッター達は内心慌てふためいているようだ。
「じゃあ、あたしとリンスが補充してきます」
「隣町に行って分けてもらうのか?」
「隣町もホワイトデーで忙しいから、直接原料を採取しに行くわよ」
「行くってどこへ?」
「お菓子が連なる火山地帯、菓山地帯よ」
※タマゴの里南側※
「そういえば、昨日は朝から晩までお菓子や玩具、宝石類とかプレ
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