※不思議の国・ヨツンバウェイ・迷信SA付近※
※リコ視点※
シャンプさん達の着替え(プラス交わり)も終わり、わたし達は寄生スライムばすで簡閲SAへと向かいます。
「つまりヨツンバウェイにはさーびすえりあは全部で四つあるのか」
「うふ、さっき訪れた『透明SA』の他に、妊婦のための施設が充実している『産院SA』,人数等の統計を行う『簡閲SA』,不思議の国中に知らせや喘ぎ声を発信する仕掛けが多い『迷信SA』があるの」
シスコンさんは白バイ警官から検問を受けながらパラカさんからサービスエリアの話を聞きます。
「討伐隊及びその妻であることを確認、通っていいよ」
魔界豚に乗るジャバウォックの家族が隣り合わせになり
「ママー、あの娘お口にきばがはえてるよー?」
ジャバウォックの娘がロザリーちゃんを指します。
「我が妹は誇り高きヴァンパイアだ!牙が生えて何が悪い!」
「大丈夫ですお兄様、色物扱いには馴れてますから」
「色物扱いって何だ?ロザリーの髪が金色のことを言ってるのか?」
「リンス、ロザリーちゃんに失礼よ」
「だいたいあってますね」
「よっしゃあ!」
見事的中したリンスさんはガッツポーズ。
「わたくしはおばあさまの金髪を受け継いでいるのです、ザントライユ一族の髪の色を――」
※
それからロザリーちゃんの口から語られたザントライユ一族の話は、正直わたしも全て頭に入っていません。
わたしでさえも想像がつかない悲劇でしたから…
「そんなある日、おばあさまがベルフィード様の知人に酷いことをしようとしたのです。それがベルフィード様の怒りに触れて――」
「一族ごとおばあさまを処刑しようとしました」
「そんな……まさかロザリーちゃんも処刑……ううん、そんなわけないよね。だってロザリーちゃんはまだ子供だから」
「わたくしもお母様と一緒に処刑されそうになりましたよ」
ロザリーちゃんはあっさりと答えます。
「幸運にもハートの女王の介入で処刑は免れましたけどね」
そして女王の気まぐれでわたくし達一族は一部を除いて吸血鬼の城毎不思議の国へ転送されました、とロザリーちゃんは話に区切りをつけます。
「結果的に助かりましたが、その時のわたくしはこわくて、ただ泣くことしか出来なくて」
「そうだったのですか…ロザリーちゃんもこわかったのですね」
「リコちゃん?」
「わたしも似たようなものです」
「リコ…無理して言わなくても」
コーンは不安そうにわたしを見つめますが、わたしは大丈夫、と言って
「わたしは、両親を教団によって処刑されました」
「中立領で暗躍する魔物を浄化するという名目で、母はわたしを産んだ後にサキュバスになったらしくて、インキュバス化していた父と一緒に…まだ人間でかつ改心の余地のある子供だったわたしは処刑されず貴族の家に引き取られましたが、継母から暴力を受けて、主人から毎晩のように性欲処理をさせられました」
「両親を処刑した教団やひどい扱いをした貴族への復讐は考えなかったのか?」
と、シスコンさんは尋ねますが
「リコは優しいんだよ」
わたしの代わりにコーンが答えます。
「両親を処刑されても、虐待を受けても、その相手を怨めないほど優しくて――だからオレはそんなリコを守る女になるって決めたんだ。いや、ただ守るだけじゃない、リコを悲しませることはしない!」
「それにもうわたしは大丈夫です。この国に来て、おかーさん、おとーさん、コックねーさんにジェフにーさん、コルヌねーさん。そして、コーンがいたから…」
最後にわたしは、インキュバス化の影響で少しずつですが傷跡も消えていますと補足します。
「リコちゃんもこの国に来ることで本当の意味で救われたのですね。わたくしと同じように」
と、今度はロザリーちゃんが不思議の国に来たときのことを語り始めました。
両親や家族の皆が不思議の国の狂気を充てられ、次々と狂うように交わり始め、ロザリーちゃんも戸惑っていたことを…
「そんな時、優しく手を差し伸べてくれたのはお兄様です」
自分のことが出た途端、シスコンさんはニヤニヤします。
「後にカミラも、お兄様と同じように優しく手を差し伸べてくれました」
カミラさんのことが出た途端、シスコンさんはムスッとします。
「もしあの時、手を差し伸べる順番が逆でしたら、わたくしはカミラに心を奪われたのかもしれません」
「ふん!あの吸血鬼に我が妹は渡さん!」
「ですが「たら」や「れば」は考えません。運命というのはある日突然やってくるものです。それが恐怖や出会いでも。目の前の運命を受け入れて前に進むのです」
「強いな、それでこそ我が妹だ」
シスコンさんに微笑むロザリーちゃん。
二人は最
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