猛りの茸と猛攻の子供夫婦

※不思議の国・トリックストリート・ザントライユ城※
※シャンプ視点※


「へぇーリコちゃん達は白百合の花園に行ったことがあるんだ」

「それがさ、リコが園内に入ろうとしたら結界が邪魔して入れなかったんだ」
「う〜思い出すだけで恥ずかしいよ〜」

「くすくす、リコちゃんなら納得ですね」
「も〜ロザリーちゃんまで」

ロザリーちゃんのパーティーは子供達の会話で盛り上がっている。

「盛り上がるなんて羨ましいですわ!」

「ところでタマゴの里って、男の人も女の人もみんなマッドハッターの格好をしてるって本当?」
「本当だ、女はみんなマッドハッターだから、男も妻と同じ帽子と服を着る風習が出来たらしいぜ」

「夫婦そろってペアルックだなんて羨ましいですわ!」

「ただ男も女も燕尾服を着てるから雌雄の区別がつかないも同然でさ、来訪者の中には相手の性別を勘違いしてる奴も少なくないんだぜ?」

「性別の垣根を越えるなんて羨ましいですわ!」

「あんた、すごいバランス感覚だな」
「うふ、唐傘おばけは優れたバランス感覚を持っていて、足を固定した状態でも歩くことが出来るの。さ・ら・に」

パラカは高く飛び上がり

「こうやって浮くことも出来るのよ」
「おおー」

空中浮遊をする

「すごーい」
「同じダ〜」

ハングハンガーで宙ぶらりんとなっているゾンビ少女も大喜び。

「うふ、そろそろ下ろしてあげるわね」

パラカがゾンビ少女をハンガーの拘束から解く作業にはいる。

「きーあんな楽しそうに浮くなんて羨ましいですわ!」
「キャスプちゃん、わたし達も浮遊しているよ?」
「はっ!そうでしたわ!」

ゴースト少女のツッコミでキャスプちゃんは我に返る。

「あのキャスプっていうゴースト、事ある毎に羨ましいと言ってるぞ?」
「リンス、あれはウィル・オ・ウィスプよ。ゴースト属の亜種で執念深い性格で嫉妬しやすいの」
「へぇーゴーストが玉に跨った仮装をしているのかと思ったぞ」
「あれは玉じゃなくて檻よ」

「ところでロザリーちゃんはパーティーが終わった後、どこへ行くの?」
「お兄様と共にヨツンバウェイにある簡閲SAに向かいます」

「これですわね?」

キャスプちゃんが刑示板(たぶれっと型)を出し、中継映像を見せる。



『見てください、簡閲SAに多くの討伐隊が集まっております!』


「こんなにカップルが集まるなんて、羨ましいですわ!」


『早速彼らにインタビューをしてみましょう!』

『この国はおかしな人だらけ〜グー』
『さっきは、オークに跨った男が食い入るように俺達を追い掛け回したんだ!』

『俺の恋人を“ばいく”呼ばわりしてさ』
『やん、恋人だなんて照れちゃう〜』

『オークに跨って、ばいく呼ばわり……風祭翔のことですね!』
『知っているのか?』
『もちろんですよ、ヨツンバウェイの有名人で、なぜか女性や魔物娘をばいくと認識していて僕の後ろにいる嫁もカメラ付のばいくだと思われましたから!』

『そう言えばそいつが会話を交わすのはなぜか男だけだったよな』
『アタイの声をテレパシーだとか言って狼狽えてばかりでさ、チェシャ猫の力でオークとイチャラブさせてやろうと思ったのに』

『でもよく逃げ切れましたね!』
『ぼく達を追い回すことに夢中になってたのか、跨がってたオークが巨大な花に衝突したのさ』
『その隙に我々は逃走に性交成功したのだ』
『プロのライダーらしからぬ凡ミスですね!余程浮かれモードだったのでしょう!おっと周囲の討伐隊が性交を始めたようでガシャン……アッ-!』

ここで中継が途切れる。

「カメラ担当の妻がリポーターを押し倒しましたわ!」
「キャスプちゃん、周囲の交わりを見てたら自分もシたくなるのは当然だよ」

「ふん、奴等も交わることの愉しさに気づいたことは認めてやろう」
「これなら安心して城を出ることが出来ますわ」

「ロザリーちゃん、しろからでていくのー?」
「いかないデ」

ゾンビの少女達がロザリーちゃんに詰め寄る。

「泣かないでください。ちゃんとここに戻ってきますから」

「いつもどってくるー?」
「またあえるよネ?」

「それは…」

ロザリーちゃんは言葉を詰まらせるが


「うふ、大丈夫よ」


パラカが太鼓判を押す。

「この国と向こうの世界の時間の流れは都合よくできているの」

「じかんのながれー?」
「なにソレ?」

「不思議の国に数ヶ月も滞在して帰還したら向こうの時間はほんの数分しか経っていなかったり、それから十年経って、十年後の不思議の国を見てみたいなと望みながら不思議の国へ行けば、一秒の誤差なく十年の時が経っているわ」

つまりみんなが望めばロザリーちゃんはここに戻ってくるわよ、と最後にパラカは子供達にも解るよう告げ
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