Μ初太視点Μ
「本当にマドラの家なのか?」
「はい、あそこでシーツを運ぶメイドさんも、木箱を運ぶ下男も見覚えがあります――あっ」
階段奥の扉から高級そうなドレスを着た女性が出てくる
「どうしよう、隠れなきゃ」
慌てふためるマドラ
「こっちだ」
俺は咄嗟にマドラを連れて適当な扉へ入る。
ガチャリ
ΜΜΜ
扉を開けると洋式トイレだった。
「あれ?俺の家のトイレ?」
二人が隠れるには狭すぎたので、折り返すと
ガチャリ
ΜΜΜ
「デカいテーブル?」
「わたし達家族が食事するための場所です」
「何故俺とマドラの家がごっちゃになってる?」
「まるで俺とマドラの記憶が一つになったような……」
「聞いたことがあります。郷愁の霧は夫婦や繋がりの深い恋人同士が巻き込まれた場合、二人の郷愁が一つになってしまうと…」
「まさか、この場所は……」
「わたしと初太、二人の記憶が合わさった幻覚なんです」
※不思議の国・城下町※
※満知子視点※
「おお〜あのチェシャ猫の姉ちゃん、ビキニの谷間が半端ねぇ」
「マッドハッターのハイレグ姿もムチムチだ〜」
「褌姿のジャバウォックもイイネ!」
「参ったわ、へーくんが城下町の住人に釘付けよ」
「仕方ないだろ、水着姿で町中を歩いてたら思わずそっちに目がいくだろ?」
「確かにそうだけど、アタシは給油所が気になるわね」
「男が四つん這いのマーチヘアに燃料を注入するのが気になるのか」
「そうそう、マーチヘアの給油口にノズルが入り、ハイオク満タン入ります……って違う違う、隣、隣、マーチヘアがばいくにガソリンを注入してるでしょ」
「あれはドーマウスの紅茶ですの」
「ガソリンじゃないの?」
「原型のままのばいくは高濃度のドーマウスの紅茶を燃料代わりにしてますの」
「ラピッドタウンのばいくやすくーたーと言えば魔力に反応して動くタイプが主流だからね」
魔物娘ばいくには夫の精
原型のばいくには紅茶
似ているようで違う二つの給油に気を取られていたら
ドンッ!
誰かとぶつかった。
「すみません、余所見しちゃって…え゛?」
目の前にいたのは
「サンタさん?」
「メリークリスマス!」
サンタさんは笑いながら、袋からプレゼント箱を取りだし
「サンタからのプレゼントだよ」
アタシに手渡す。
「君にもプレゼントだ」
それからサンタさんは意気揚々とキジコさんにプレゼント箱を渡す。
「サンタさん、いつもありがとうですの」
「君にも」
「君にも」
「君にもだ」
へーくん、コルヌさん、チェルにもプレゼントを渡す。
「良いクリスマスを♪」
サンタさんはスキップしながら他の住民にもプレゼントを渡す。
「あのサンタさんは毎日奥様と一緒にプレゼントを配ってますの」
「魔界魚の燻製ですニャ」
「ボクは捕縛用のロープだ」
「プレゼントにはお菓子やオモチャが入ってますの」
「いいサンタね」
「中には子供化や大人化する煙に、身体から食品が生えるガス、開けると中の媚薬が破裂したり、寄生スライムが飛び出して性的に弄られるトラップレゼントがありますの」
「嫌なサンタね…」
「オレのは何かな〜何かな〜」パカッ「……何も入ってないぞ?」
「空っぽの場合もありますの」
「ショボーン」
「参ったわ、サンタの格好をした人がいるとはね…」
「サンタさん以外にもいますの」
「明けましておめでとうございます」
「今年も宜しくお願いします」
振袖を着たチェシャ猫が同じく振袖を着たマーチヘアに新年の挨拶をしている。
「彼女達は毎日振袖を着て、毎日新年の挨拶をしてますの」
「正月気分が抜けてねーのか」
それからキジコさんとへーくんは、場違いの風習をする住民を観察する。
「鬼は外〜」パラパラ
「福は内〜」ポイポイ
「あのジャバウォックの子供達は、毎日豆まきをしてますの」
「いつも節分してんだなー」
「結婚おめでとう〜」
「二人ともお幸せに〜」
「教会型の家に住むドーマウスの新婚夫妻は毎日結婚式を開いていますの」
「毎日が結婚記念日なのかー」
「参ったわ、不思議の国の住人は変わり者が多いと再認識させられるわね」
「そうですニャ、ここは国の中心部ニャので、それがより顕著にニャってますニャ」
「気にしたら負けかもね」
そんな中、道端でマーチヘアに犯されている討伐隊を見かけた。
「あはははー童貞ニンジン美味しいー美味しいー」
「うわぁぁ、そんなに激しく動いたら」
「出して出してー初めての種付けしてー」
「あうっ!」
「出ちゃったねー嬉しいなー赤ちゃん出来るくらい出してねー」
そんな二人の前に初老の男が立つと、両手に持った紙を読
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