Μ不思議の国・キョウシュウマウンテン第三階層Μ
Μ初太視点Μ
「マドラ本当にこの道であってるのか?」
「わからない、だけど今すぐ下山しないと」
「そんなに焦らなくても」
「焦るよ、郷愁の霧に飲みこまれたら、本当の意味で迷子になってしまうんだ」
「本当の意味で迷子?今でも十分迷ゴオッ!」
「初太大丈夫!?」
「いや、下り坂から平地になってバランスを崩しただけだ」
「平地、そうか、ぼくたちは下山したんだ」
下山出来た喜びに、マドラは安堵の表情を浮かべる。
「マドラ、あくまで下山しただけだろ、近くの村を探すぞ」
「そうだね、確かキョウシュウマウンテンから近くに集落が――」
下山した先には、妖艶な光景が広がっていた。
夫婦の果実が次々と成長し、受粉を繰り返していたのだ。
先程見た受粉の比ではない。
右を見ても左を見ても果実同士が交わり合う。
ときには複数の赤い果実が一つの青い果実を取り込もうとしており、まるで果実のハーレムを彷彿させていた。
そんな果実達の姿に、俺は魔物娘達が意中の男性を思うがままに交わっていると錯覚してしまう。
思わず息を飲むと、甘ったるい空気が体内に広がる。
ふと、隣にいるマドラがいとおしく思えてくる。
今すぐマドラを押し倒したい。
いや、押し倒されたい。
そして、あの果実達のようにマドラに取り込まれたい。
俺の種を受粉してほしい。
「夫婦の跡地」
マドラの一言が、俺を現実へと引き戻してくれた。
それに安堵から一転の絶望した表情も加えて。
「夫婦の跡地?」
我に帰った俺はオウム返しをする。
「かつてフェイトさん達が激しく交わった場所だそうです。ここで実る夫婦の果実は彼等の交わりで放たれた魔力の名残なのです」
「いやいや、一体どんな交わり方をしたら、こんなクレーターが出来――マドラ、口調が……」
「初太、わたしたちは山を下りたのではありません――」
「頂上まで登ってしまったのです」
Μパラサイ峠Μ
Μ満知子視点Μ
アタシ達を乗せたタクシーは自然豊かな山道を登る。
同じく山道を登る住人達、寄生スライム&スライムキャリア。
そして、何故か所々に設置された帽子。
「ここはどこ?何で帽子が設置されてるの?」
「ここがパラサイ峠だよ。マッドハッターの帽子の中に寄生スライムが潜んでいるんだ」
「道理で寄生スライムとスライムキャリアが多いわけだ、ウヒヒ」
「心なしかへーくんの目線はスライムキャリアだけに向いてる気がするけど?」
「見ろよ満知子、リリラウネ夫妻がタクシーに乗ろうとしてるぞ」
「おーい、アタシの話聞いてますか?」
「ほらほら、リリラウネの片割れが運賃として寄生スライムに寒天菓子を三つ渡してるぞ」
「だから話を逸らさ「乗車拒否?ふざけんな!」
反対側で怒鳴り声がした。
男性兵士が別の寄生スライムに抗議していた。
「何で宝石や金貨じゃダメなんだ!」
どうやら彼は金貨袋及び宝石の類を運賃に乗車しようとしているようだが、寄生スライムは首を横にふるばかり。
「せいしぃ、せいしぃが身体中にぃとろとろぉするぅ」
因みにスライムキャリアの方は、そんなことお構い無しに夫と交わっている。
「ニャ〜あれじゃダメですニャ」
「チェル、どうして?」
「パラサイ交通ではいくら金銭や宝石をつぎ込んでも乗車出来ニャいですニャ」
「へぇー、アタシ達の世界のタクシーは走行した分だけお金を支払うのが普通だったけど」
「スライムキャリア達の頭は常にエロありニャので、運賃は媚薬といった性行為に使える物が人数分必要ですニャ」
「頼むよ、何なら形見であるペンダントもやるから」
「あんな必死に頼んでるんだから乗せてやってもいいのに」
「もし強引に乗車する等して寄生スライムの機嫌を損ねれば、未婚の住人の下へ連れていかれるか、寄生されますニャ」
「ギャー、助けてくれー」
「あっ、スライムの中に取り込まれた」
「スライムが怒ったような表情をしてるぜ」
寄生スライムは、兵士をマッドハッター達が座るテーブルへ放り出す。
「いらっしゃ―い。パラサイ峠第69休憩所へようこそ」
「お茶をどうぞ」
「お菓子も召し上がれ」
お茶会の住人が次々と色とりどりのお菓子を差し出す中、マッドハッターの一人が兵士に寄り添い
「寄生スライムに無理矢理帽子を被らされた私にもやっと夫が出来るのね」
「いゃぁぁぁぁ!犯されるぅ!」
「パラサイ峠は休憩所が多く設置されてるから、近くのお茶会に強制的に出席されますニャ」
「すごく気持ちいいよぉぉぉ!」
「私の中を白い水分で潤してね」
「お幸せに〜」
アタシはマッドハッターの夫となった兵士に手を振る。
「しかし城下町
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