部屋に戻った私は、ベッドで寝ている少女を起こさないように、魔法のほのかな灯りのもと、修復された手帳を読み始めた。
・・・
今日、我々に特別な任務が与えられた。
その任務というのは、一人の少女と一冊の本を親魔物領に届けるというもの。
何故、わざわざ少女をそんな危険な場所へ届けねばならないのか。どうやら、上層のとって重要な案件らしく、詳しい内容までは教えてくれなかった。
だが、命令された以上、我々はやりとげなければならない。
○日目
メンバーの一人の姿が朝から見えない。
だが、我々は歩みを止めることは許されない。捜索は行わず、目的地に向かう事にする。
少女は相変わらず、本を肌身離さず抱えている。
○日目
また一人メンバーの姿が消えた。
もしかしたら、この任務は自分が思っている以上に危険で、重要な任務なのかもしれない。だとすれば、ますますやり遂げなければならない。
重要な任務と聞いていたので、休憩のときには必ず見張りを立てていたのだが。次から、見張りを2人に増やしたほうがよさそうだ。
○日目
また一人姿が消えた。
これで5人の人間が消えた事になる。
○日目
今日は、とある宿場町にて宿を取ることにした。
その日の夜。私は人の話し声で目が覚めた。
どうやら、少女の部屋からその話し声が聞こえて来るようだ。侵入者かもしれないので、私は警戒しながら少女の部屋にむかった。
少女の部屋にいってみると、少女が本を抱えたまま、ぶつぶつ独り言を言っていた。どことなく目の焦点が合っていないようなので、所謂夢遊病なのだろうか。
しかし、私が少女の部屋の前で話し声を聞いた時は、たしかに2人いたような気がしたのだが。
○日目
野宿の最中、またも少女の独り言を聞く。
なにか同じ事を繰り返し言っているようだ。
「いぐ・・・、・・・ぐな・・・・、ないあー・・・。」
言っていたのは、こんな感じだろうか?
○日目
今日は久しぶりに野宿ではなく、屋根のある宿に泊まる。
まだ、教会の力の届く反魔物領ではあるが、魔物達の潜む親魔物領に徐々に近づいてきている。
明日は、行商・流通の要所である、川にかかる大きな橋を渡る予定だ。
○日目
今日、ついに行方が分からなくなっていた一人を見つけることになった。
その日は、川にかかる橋を渡る予定だったのだが、先日の大雨で川の水が増水し、その影響で橋の一部が欠損。危険なため、橋を閉鎖しているとの事だ。
しかたなく、我々は元来た道を引き返して先日宿泊した宿へと戻り、別な道を探さねばならなくなったのだ。
宿に戻りしばらくして、念のため宿の周囲を警戒させていた者が大慌てで宿に戻ってきた。行方不明になっていた一人を見つけたと言うのだ。
その場所に行ってみると、たしかにその人物はいた。だだし、死体となってだが。
その者は、喉を切り裂かれて死んでいたが、その手足はありえない方向を向いていた。口の周りに、巨大な手の痕がある事から、口をふさがれた状態で手足の骨を折り、逃げられない状態で喉を切り裂かれて殺されたようだ。
が、喉を切り裂かれた割に周囲に血痕は無く、殺されたあと此処に遺棄されたのだろうか?
ともかく、我々の旅にはとんでもないものが付きまとっているは確かだ。
○日目
本来の道を大きく迂回する事になったが、別な橋を渡って川を越えることができた。
私は、生きてまた故郷の土を踏むことができるのであろうか。
(しばらく、空白のページが続く。)
○日目
今日もなお、少女は一人で何かを言っている。
「イアー!イアー!シュブ=ニグラート!イグナイー!イグナイー!ナイアーラトテップ!イアハー!」
その声は、我々の人数が少なくなるに従って大きく、遠慮が無くなっているように思える。
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
と、手帳はここで終わっていた。
肝心の、この街の直前の出来事が何も書かれていなかったが、あの騎士には書く余裕がまったくなかったのだろうか?
まあ、今日も遅いことだし、深く考えるのは明日にしよう。
そう結論つけると、急激な眠気が私を襲ってきた。私は、ベッドに上がり少女の隣に潜り込むと、2人でも十分拾いベッドのなか狭さを感じる事なく眠りに落ちて行っただった。
8月●日
朝になってみると、一人の魔女が慌ただしく何かの準備をしていた。
「何をやっているの?」
「あ、おはようございます。」
そう言うと、彼女は私に説明してきた。
「ちょっと、レスカティエに行ってくるようにバフォ様に言われまして。」
「レスカティエに?
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