ある朝のこと。
日課となっている、朝稽古の最中いきなり父親に呼び出された。
私の住んでいる家は、海岸沿いに建っている(自分で言うのもなんだが)立派な屋敷だ。
朝日はもう、茜色から白く輝いている。私は潮の香りに包まれるなか、屋敷に入って行った。
「失礼します。」
そう言って、私は父の部屋に入った。
父は痩せこけた顔でベッドに横になっていた。
「ルシィラよ、お前に伝えなければならないことがある。」
そう言う父の言葉は、どこか疲れ切っていた。
原因は、間違いなく私にあるのだろう。
先日、私は久々に母と一緒にお風呂に入った。そこで、母がふざけて抱きついてきたので、肘鉄をかましたら母の首が取れてしまったのだ。
といっても、母が死ぬことはない。なぜなら、私と母はデュラハンなのだから。
その日の夜、私は耳栓をして床に着いた。
そして、その結果が目の前の父という訳である。シーツから見える上半身は服を着ているが、シーツの下で見えない下半身は素っ裸の可能性も否定できない。今日はまだ逢っていない母は、きっと肌がツヤツヤし妙にスッキリした顔つきでいることだろう。
「唐突だが、お前は呪われている。」
「本当に唐突ですね。」
開口一番に何を言い出すのだ、この父親は。
「むろん、理由が無い訳ではない。これは、私の一族が引き継いできたものなのだから。」
そう言って、父は自らの一族の話を聞かせ始めた。
父の先祖というのは、人跡未踏の地の奥に向かい、未発見の遺跡から宝を探し当てるトレジャーハンターというヤツだったらしい。
「その先祖はあるとき、“この世のものならぬ魔剣”の噂を聞き。それを求めて旅に出たのだ。だが、結局その魔剣を先祖は見つけることができなかったのだ。」
その先祖が死の床に入ろうかというとき、よっぽど魔剣を見つけることができなかったのが悔しかったらしく、家族の見守る中とんでもないことをやらかしたらしい。
「その先祖は、死ぬ間際まで魔剣の事だけを考えていた。そして、自分の子供や孫、はたまたその子孫が見つけるべきモノと思っていたようだ。実際、死ぬ間際まで、一族が魔剣を見つけるようにと念を押していたらしい。」
「すごい執念ですね〜。」
そんな話を、私は他人事のように聞いていた。
だが、父の次の一言で他人事ではならなくなった。
「その思いが、どこをどう間違ったのか、“一族の長男は魔剣を見つけなければならない”という“死に際の呪い”になったのだ。」
「はい?」
「そして、魔剣を見つけることができなかった場合は、呪いによって悲惨な死を遂げる事になる。」
死に際の呪いというのは、たしか死に瀕したものが、すさまじい怨念でもって、自らの魂を代償にかける恐るべき呪いのはずだ。本来なら、自分を殺した一族とか、自らの国を滅ぼした敵国の土地とかにかかるものだ。その呪いは通常の方法では、まず解くことができず、呪い1つ1つにそれを解くための特殊な条件がかせられる。
しかし、ご先祖様よ、そこまでこだわるか・・・。
「そんな呪われた一族の長男には、悲惨な死が近づくと首の後ろの部分に“呪いの印”が出るのだ。それは、いわゆるタイムリミットを現すもので、その印が出てから1年後にその者は悲惨な死に方をする。」
だが、“長男”にかかる呪いなら私には関係ないだろう。私は“長女”なのだから。
「デュラハンと結婚して、息子が産まれくる事は無いだろうから、一族の呪いともこれでオサラバできると思っていたのだが、甘かったようだ。」
「???」
「どうやら、呪いの方はかなりしぶとかったらしく、“長女”のお前に呪いの印が出た。」
「はあぁぁあああぁぁぁ」
「昨日、イメルがお前と風呂に入ったさいに、呪いの印を見つけたのだ。」
イメルというのは、母の名前だ。そうか、昨日風呂で抱きついてきたのは、この印を確認するためだったのか。
おのれ呪いめ〜。てか、呪いをかけた先祖め〜、いつか呪っちゃる〜。
なんて、とっくの昔に死んだ人間を呪えるはずもない。
「今の話を聞いて分かったと思うが、私は次男で上に一人の兄がいたのだ。」
と、ここで父が自分の家族の話をしてきた。
「だが、兄は魔剣を見つけることができなかった。ある日、酒場で酒を飲んでいたら、回りの人間が兄から視線を外した一瞬の間に、兄は首から下の肉が全て骨から引き剥がされて血を撒き散らして死んでいたという。」
「うわあぁぁぁ・・・」
「でだ、私の父の兄、いわゆる伯父に当たる人物は、教会のミサに参加していたら、突然回りにいた普通の人達が突然伯父に襲いかかり、素手で伯父の体をバラバラに引き裂いたのだ。凶行に及んだ人達は、そのときの記憶がまったくなかったそうだ。」
「っう」
「さらに言
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