一ヶ月ぐらい前の事。父子家庭だった我が家に突如として大量の家族がやってきた。
父さんの“現地妻”達とその娘達。全員が魔物娘で、降ってわいた六名の美人姉妹達に俺は言葉を失った。
やがて両親組は再び海外へと旅立って行ったが、何を考えたか腹違いの姉妹達は我が家に定住してしまう事に。いやまぁ、家族が増えるのは良い事なんだけど、男一人は少し肩身が狭いよ!
美人だけど癖が強い魔物娘六姉妹に囲まれた俺こと九十九烈火の明日はどっちだ。
朝。俺は家族の誰よりも先におきだして、朝食の準備を始める。九十九家の家事担当は俺であり、姉妹達は全員家事下手だからである。
良いの、俺って料理とか大好きだから。というよりも、我が姉妹達は揃いも揃って優秀すぎるので、俺にも一つ位誇れるものがあったのは僥倖というべきか。
「という訳で、完成したのがこちらになります」
ミックスベジタブル入り炒り卵、ソーセージ、卵スープに白米。手軽に作れる我が家の定番レシピだ。
それでは、朝食作りに続く朝の重要任務にとり掛るとするか。
我が姉妹達は揃いも揃って寝起きが悪い。偶に起きていても身支度に手間取っている事が多い。
それを手伝うのが、俺の重要任務だ。
まず最初に長女であるアナスタシアお姉ちゃんの部屋に向かう。
「お姉ちゃん、朝だよー」
無反応。この場合の入室は許可されているので、俺は躊躇う事無く室内へと侵入。
アナスタシアお姉ちゃんはデュラハン種。その実力も然ることながら、趣味が刀剣収集というのだから一種のバトルマニアでなかろうか?
そんな事を口に出そうものなら、ボコボコにされちゃいそうだけど。
「お姉ちゃん、朝だよ。起きてって!」
「うぅん……」
手強い。……かと思われたが、瞼の辺りがひくひくと動いている。
貴様、狸寝入りしているな?
「お姉ちゃん、起きてってば。起きないと悪戯するよ?」
お姉ちゃんが更に固く目を瞑った。どういう事やねん。
しょうがないので悪戯決行。俺はお姉ちゃんの耳元に口を寄せると、ボソボソとお経を唱えてやる。
なるべく低く、静かに、それで居て情念を込めて……
「起きるから止めてくれ……!」
「はい、おはよう。お姉ちゃん」
ようやくお姉ちゃんが身を起こした。身を起こしたお姉ちゃんは、むぅ、と大層不満そうに頬を膨らませると、
「こら、お姉ちゃんになんて仕打ちをするんだ!結婚してやらないぞ!?」
「どういう脅しか知りませんけど、別に結婚しなくても良いです」
「そんなのお姉ちゃんが許さないぞ!」
自分が言い出した事なのにスゲェ怒られた。
アナスタシアお姉ちゃんは事あるごとに俺に求婚してくる。しかしお姉ちゃんは引く手あまたの人気者、何となく気遅れする。
というか俺、まだ高校生なので結婚できません。
「まったく烈火は頑固者だなぁ……だが、意志がぶれない事は良い事だぞ」
何をやっても褒められる。
「……とにかく起こしたからね。二度寝とかしないでよ、心配してないけど」
「ああ、二度寝しそうだ……弟よ、傍にいておくれ」
「今日の晩飯はピーマン尽くしで良いね?」
「そんなっ!? ……いや、これは烈火なりのSプレイ?私がドMである事を汲んでくれているのだな!?お姉ちゃんは嬉しいぞ!」
何をやっても褒められる……。
次は次女のミスト姉さんの部屋。声をかけて見るがやはり応答がないので、室内へ侵入。
姉さんの種族はサハギン。部屋内にはでっかい水槽が据えてあり、姉さんはその水槽内で就寝するのだ。
「姉さん、朝だよ!」
「…………!」
水槽をぺしぺし叩きながら声をかけると、姉さんは身じろぎをしつつ目を開けた。
やがて水槽の中から飛び出してくると、
「……!!」
「うひゃぁ!」
勢いよく俺へと抱きついてきた。
姉さんは抱きつき魔で、俺の姿を見ると直ぐに抱きついてくる。嫌ではないが、場所を選んで欲しいとも思う。
そんな事を考えている間にも、姉さんは俺の胸へと頭をぐりぐりと押し付けてきてた。くすぐったいし、柔らかいしで変な気分になっちゃうよ!
「姉さん、とりあえず着替えて。学校に遅刻しちゃうよ?」
「……もっと」
「通学路で腕を組んでも良いから、ね?」
「……着替える」
姉さんが渋々と言った様子ながらも離れてくれた。代償に俺の羞恥プレイが確定してし
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