「ふあぁ・・あ?もう朝か・・うんん・・」
ベッドから俺、デュークは半分だけ体を起こし、欠伸をかく。
そしてゆっくりと伸びをして、窓から入ってくる日光を浴びる。
これが、俺の理想とする朝の起き方。
「デュー!おはよぉぉー!!」「げぅ!」
いつものように布団にダイブしてくるワーウルフのザギ。
うめき声を上げる俺と痛む体。
・・そしてこれが現実だ。
「なぁ、ザギ・・もう少し、それ何とかならないか?」
「ん?なるよ?でも、こうでもしないとデューは起きないじゃん?
あ、オマケまでキッチリもらうからね。」
俺の反論もどこ吹く風と、いつものオマケ、
すなわちキスのことだがそれまでしっかりともらっていくザギ。
ちなみに、ファーストキスも何気なくこの方法で奪われてたりする。
ロマンチックも何もない。
「っむ・・えへへ、私も一緒に入っちゃおうっと。」
寝ぼけている間に、いつのまにか彼女は頭から
布団の中に入り込んできていた。
ここまでも、いつも通りの流れである。
「・・お前な、起こしに来たんじゃなかったのか?
お前まで入ってきてどうするんだ。」
もぞもぞと体を動かしつつ抱きついてくるザギ。
またもや俺の意見はほぼ無視されていた。
「いいじゃん、デューの体は暖かくって気持ち良いんだもん。
恨むなら、私に好かれちゃった自分を恨むんだね。
はふぅ・・暖かくって良いなぁ・・。」
もはや完全にリラックスし脱力しているザギ。
起こしに来たんじゃなかったのかよ、と思うが
何だかんだで彼女を下から無意識に
抱きしめてしまっている自分に気付き、俺も俺だなと息を吐く。
そんな心持ちで行われたなんとなしの起床への前進は、
当然ながらザギの腕によってたやすく防がれた。
「むぅ〜やだよ〜このまんまでいようよ・・。
休みなんだし、いいでしょ?」
ふさふさの腕と頭を俺の胸に当て、
俺の体をベッドに押し付けてザギはそう言う。
確かに、ゆっくりこのまま寝ていていけないことはないし
何かしらの用事がある訳でもない。
「悪い訳じゃないが・・だからって
いつまでも寝とくっていうのもどうかと思うぞ。」
首筋に、寄ってくるザギの鼻先を感じつつ一応の反論を試みる。
するとザギは、こちらの顎の下から見上げつつ言ってきた。
「ん〜・・じゃあさ、何したい?
ご飯食べる?朝風呂入る?」
提示された二つの行動。
どちらとも朝の行動としては至極まともなものだ。
しかしそこにザギが一番したいことが入ってないのを
俺は知っている。
そして俺にそれを言わせようとしている事も。
「じゃあ、飯にしよう。
何するにしたって飯食わなきゃだろ?」
知っている・・が敢えて言わずに、ご飯を食べる方を選ぶ。
すると、ザギの表情がしょんぼりしたものになった。
「んぅ・・分かったよ。
じゃあ卵でも焼いて食べよっか・・あ、サラダもいる?」
それでもきちんと頷き布団から出てくれる辺りは
我が恋人ながら、できたワーウルフだ。
続けて布団から出て、微笑み頭を撫でながら答える。
「ああ、その辺りでいい。」
しばらくして、俺は程良く塩がかかった目玉焼きと、
適当に野菜を手でちぎり、ドレッシングをかけたもの。
それと米を一杯食べて朝食にした。
ザギもご飯を一回おかわりした以外は、俺と同じだ。
朝食後、使った皿を洗っていると、ザギがとことこと歩み寄ってきた。
「ねぇ、朝は駄目だったけどさ。
お昼寝ならいいでしょ?昼になったら一緒にお昼寝しよ?」
「ああ、別に構わないぞ。
何なら膝枕でもしてやろうか?」
目を輝かしながら言うザギに、半分だけ顔を向けて応じる。
すると余程嬉しかったのか、
俺の後ろから手を回して頬摺りしてきた。
「うん、絶対だからね!」
こういう、ザギの素直で甘えん坊なところが俺は好きだったりする。
その後も俺は背中に彼女の暖かい感触を感じながら、皿洗いを続けた。
皿洗いが終わると、俺もザギも居間に行く。
休みの日課を果たす為だ。
居間の、日当たりが良いところを探して、そこにあぐらで座る。
その後俺はザギに向き直り、自分の膝をポンポンと叩きただ一言「おいで」と言った。
その瞬間ザギは、まるで「待て」を解かれた犬の様に俺に突っ込んでくる。
勿論これは俺がしっかりと受け止められるのを、知っているからで(軽くぐらつくけど)
突っ込んだ後彼女は俺の腰に抱きつき頭を擦りつけた。
これが先程言った休日の日課だ。
いつぞやの彼女曰く
「デューには、いつも世話させてる分を、私にお詫びする義務と
私を撫で撫でする権利と義務があるんだよ?」
「私にはデューに甘える権利と、イチャイチャする権利があるんだよ。」
ということだ。
実際、彼女には色々(朝のようにやりすぎの事もあるが)
世話になっているし、
甘えてこられるのは俺としてはとても嬉しい事な
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