「ん・・・」
さわやかとは言えないが横になっていたベッドから起き上がる。
かなり明るくなっているが窓からまだ光が差していない所を見るとそれなりには明朝のようだ。
「ん・・すぅ・・ふ・・ん・・」
ミルナは昨夜の位置からあまり動かずに眠っている。
寝相は良いようで、改めて眺めるが穏やかで可愛らしい寝顔だ。
つい頬をツンツンとつついてみたくもなるが流石にそれは子供じみていると思ったのでやめておく。
気持ちよさそうに眠っている彼女については自然に起きるのを待つことにして俺はとりあえず朝食を作ることにした。
少し早いとも思ったが作っているうちに良い時間帯になるだろう。
何を作ろうかと、冷蔵庫を開けるとたくさん入っていた。
・・いや、何がってミルクが。
ホルスタウロスについては詳しく知らないが好きなのだろうか。
「・・後で調べてみるか。
それか本人から直接聞いてみるのもいいかもな。」
気を取り直して朝食作りを再開する。
その他はパンやらあったが、まぁ普通だった。
それから少しして、朝食が出来上がる。
上手とは言えないかもしれないが、適当なものは作れた。
そもそもミルク自体がとても美味なのでパンは焼くだけでも十分。
そう思ったのでパンには何も塗らなかった。
そうこうしているうちに窓からは光が入ってきている。
どうやら思った通りの時間帯になってくれたようだ。
一人で食べるか、とも思ったが少し寂しくも思ったのでミルナを起こすことにした。
「・・お〜い、朝ご飯出来たぞ?」
「ん〜・・あ、ありがとうございます〜。
なんだか、お父さんみたいですね〜。」
寝惚け眼で置き上がる彼女。
ふらついたので大丈夫か、と思ったがまぁ大丈夫そうだった。
「お父さん・・?ああ、ミルナを娘って考えりゃそうもなるかな。
そうそう、パンには何も塗らなかったが、良いか?」
「あ、はい大丈夫ですよ。
何にも塗らないで食べるのもおいしいですからねぇ・・」
ふわあっとした顔になって、笑う彼女。
その雰囲気に包まれるが、こんな雰囲気ならば悪くない。
「んくっ・・はぁ・・!
ふふっ・・御馳走様でしたぁ・・おいしかったですね、グロゥさん。」
「ああ・・ところで・・」
あのミルクは・・と、ここで言葉に詰まる。
ホルスタウロスは・・牛だ。牛は乳を搾るためのものもある。そして、彼女は胸がとっても大きくて・・!!?
そこまで行っていやな予感が頭をかすめる。
もしそうだったならば、俺は色々と耐えきれる気がしない・・!!
「・・?どうしました・・?」
「あ、ああいや、なんでもない。じゃあ、エメラルダに行ってくる!!」
彼女の疑問を無理やり振り切り、走り出す。
・・あれの答えは・・いつか聞けば良いだろう。
エメラルダに着いて、ナナキの所に向かう。
「・・あら、来たわね。
何だか息が上がってるように見えるけど大丈夫かしら?」
「・・ああ、大丈夫だ、問題無い。ところで、仕事は入っているか?」
「ええ・・でも三種類あるのよ。」
そう言って、三つの依頼書を持ってきた。
「一つは、ワーシープの刈り取った毛皮運びね。
なんでも、刈り取った瞬間からワーシープが発情して仕事になんないんだって。」
魔物の性質上から来る仕事か、色々ありそうだ。
「ほほ〜・・そう言う仕事か。
そっちはなかなかに和やかそうだな、他には何があるんだ?」
「え〜と、リザードマン、ケンタウロスの訓練に付き合えってものね。
・・ま、あなたに受ける勇気があるなら・・だけど?」
挑発するような視線。
これは・・俺がデキると分かってる訳か。
「考えさせてくれ・・。」
「あらら、残念。
じゃあ・・ギルドの違反を取り締まってほしいっていうのは?」
「・・随分と、信頼されてるんだな、そんな大事そうな仕事なんて。」
「いえね・・?新人が行った方が警戒されずに済むのよ。」
「なるほど・・分かる話だ。」
これらが・・仕事か、思いのほか、シビアなのもあるな。
「さぁ・・どうするの?」
「さて・・どうしようかな・・」
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