貧?巨?それは…

「…で。私を納得させられる理論を展開してくれるか?」

まずはいきなりだが状況説明をさせてもらおう。
俺は風呂上がりにワイバーンのいる自室へと帰ったと思ったら、
マイフォルダの貧乳ワイバーンを妄想している文章を見られていた。
そして、やけに良い笑顔で正座を迫られたかと思った瞬間、
俺は既にすっと自然に正座をしていた…。
まぁ、あれだな、自然の摂理?キレたワイバーンマジ怖いね。

「何、怒ってなんかいないぞ?
私はただ、お前がどうして私が貧乳だった場合の妄想をしていたのか、
その説明を求めているだけだぞ?」
アッハイ、そうですね、怒ってないよね、分かってるよそんなこと。
…の割にはなんで体が震えるんだろう、正座のせいだねきっとそう。
「そうだ、だからさっさと…せ・つ・め・い、してくれ?」
ごめん訂正、やっぱ怒ってるね。
「うん?」
いや、うん、ちょっとまともに話すよ。

まずは、お前の体について、だね。
男の俺よりも長身で胸はペッタンコなんて程遠い、所謂巨乳だ。
「ああ、そうだな。」
じゃあ、お前が巨乳であることの良さを言うよ。
「ほう。」
一言で言うと、暖かいからだ。
「…なに?」
いや、うん、そんなに怒った顔しないで、本当怖いから。
俺が言った暖かさは、お前自身の暖かさが溜められてるってこと。
溜められてるっていうのは、まぁ、おっぱい。
おっぱいに感じる暖かさの事ととってもらって構わない。
顔を埋めたり、触れた瞬間に感じるあの暖かさね。
「ほぅ。」
で、それだけでもすっごく良いんだが、
それが、お前の、巨乳が好きな理由にはならない、わかるな?
「ああ、それだけならば、私よりも大きな胸はあるからな。」
うん。
で、俺がここでなんで、お前の、って言ったかそれはな、
お前がワイバーンである事の大きな特徴、その翼だ。
その翼で俺を抱き込んでくれた時にその理由は発現するんだ。
「これか?しかし、不便なことも多々あるぞ?
お前の肩をしっかりと指先まで感じてやれない。」
ああ、だけど翼全体で俺を包み込んではくれるだろう?
「ん、ああ。」
そこだ、それこそが俺が、お前の、と強調した理由だよ。
何故なら、お前の翼も暖かいからだ。
「…それが、どうした?」
お前の翼も暖かい、そしてお前の大きな胸も暖かい。
そして俺は、それら全てに包まれることができる!
「なるほど…読めてきたぞ、私を感じられるからか!」
ふふん、そのとおり!
俺を抱きしめてくるお前の体の大部分、
翼や…まぁ足も入るかな、その暖かさを背中で感じつつ、
がら空きの顔面や前側はお前の巨乳に包み込まれる!
これ以上の贅沢なんかありはしないだろうってくらいのものだ!
「確かにな!私がお前に抱きとめられている時のあの感触を思うと、
その説明にも納得がいく。」
そうそう、それで

「だが、しかし!」

…はい、なんです?
「それは、お前が私を貧乳にして妄想していた理由にはならないな?
むしろ、そうする必要性を失わせていると、そう考えるが。」
Exactly(そのとおりでございます)。
しかし、しかしだね…ちょっと考えてもみたかったんだよ、
何事もものは試し、って言うだろ?
「ほう…で、試すだけの価値はあったのか?」
うぅん…まぁこれについては、
お前が貧乳であるっていう仮定の話になっちゃうんだけど。
結論から言えば、あったと言えばあった、かな。
「ふむ、それで?もう少し詳しく。」
ああ。
まず、貧乳は何がいいか、それは胸が無いということ。
「…矛盾しているぞ?」
ああいや、毎度説明不足でごめんね。
無いってのは、顔をそこに当てたときクッションがないってことでしょ?
「ああ、だが、それは好まないのではないのか?」
いやぁまあそうだけど…でもね、考えてみるといいこともあるんだよ。
「言ってみろ?」
それは胸に顔を埋めたとき、
お前の心臓により近い位置に耳を置けるってことだ。
もうちょっとカッコつけた言い方をすると、
お前の音を更に近くで聞くことができるってこと。
「同じ意味に聞こえるが…まぁいいだろう。
要は、私を極々近くに感じられる、そういうことだな?」
うん、そうなるな。
「しかし、それではパンチが弱くはないか?」
そう、そうなんだよ、で、もうちょっと考えたんだけど…ね?
「…何を思いついたんだ?」
うん、仕草や言葉だけで意志を汲み取ってくれてありがとう、
結構心にじわーってきたよ、今。
「良いから、続き。」
うん、じゃあ言うぞ。
お前がもし貧乳だったとしたら、かっこいい!
「…はぁ?」
いや、そんな馬鹿を見る目で見なくってもいいじゃないか…
「事実馬鹿だろう。」
…もういい、でかっこいいってことなんだけど。
俺が君を好きになった理由に、かっこいいっていうのもあるんだよ。
男にとってドラゴン
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