嫁自慢

 嫁自慢?いいだろう、心して聞いておけ。
 我が嫁たるワイバーンは素晴らしさの塊だ、俺の口から語るには到底足りぬ数々を持つが、まあいい。
 その最たるは、などとまあ最たるを決めることこそおこがましいが、竜だ。
 なに?竜とは女の美にあらざると?ふ、甘いわ愚物が、これなるは魔物娘、なれば魔物を愛するもまた彼女を好くに同じよ。
 では聞くがいい、そして瞼の裏に映し見よ、かの竜の美を。
 天より注ぐ日を纏い夜に溢れる闇すら飲み込むは滑らかなる珠玉の鱗。
 なれど身を切るかの如し鋭角を、触れてなお甘美と心得よ。
 それは雄大にして豪壮たる竜の形を取りてこそ更に……ええい面倒くさい!
 
 この際はっきり教えてやろう!ワイバーンの愛らしさの最たるものはその幅広さだ。
 まあ無論!
 飛行に適した鋭角的かつ両腕が翼という男のロマンをこれでもかと言うほどに備え付けた体つきは考えるだけで恍惚の淵に沈むものだがここでは省く!いやすでに説明したから省いてはオランがな!エロさだけと思うたか、ばーかばーか!
 ……さて。
 これは何も種族全体に限った話ではないぞ、時に怒り時に笑い時に甘え時に怠ける、その全てが愛おしいと言っている。
 肩に体重をかけ、甘く耳に囁く淫魔のような振る舞いをすると思えば、他の時にはベッドに寝そべり気怠げな顔で尻尾を振る。
 分かるか!?これはな!素直なのだとても!怠いときは怠い、エロいときはエロい!感じた全てをありのままに表す!


 …………さてと。
 こんなものはワイバーンの全体像に過ぎん。
 では明かそう。
 しなやかに織り込まれた絹のような鱗を持つ、ワイバーン。
 細くもしまりのある太さを備えた腰つき、切れ長の蒼い瞳、思うだけでも記憶の中から精を搾り取ろうとしてくるサキュバス顔負けの淫猥さだ。
 だが全体的に華奢なフォルムながらも力が強く、一度捕らえられれば逃げることはできん。
 そう、そこがいいのだ。
 必死にもがけばどうにか逃げられる状況のどこに、屈服する魅力がある!
 どうにか逃れてしまえるその状況でわざと逃げないという選択など、これでは犯されるのではなく、犯させることだ。
 いや、それがいいというときもあるし油断から繋がる無限のじゅっぽっぽもそれはそれでいいものだが。


 話を戻す。
 力一杯死ぬほどの抵抗をしたところで彼女は絶対に離さない。
 それどころか余裕綽々の顔で、さながらもう終わり?とでも言いたげな優越の瞳を投げかけてくる。
 そうまでされればなんとしても逃げてやりたくなるだろう?ならない?なれ、俺はなる、だから逃がれようとするわけだが彼女はそれを封殺圧殺する。
 そしてそれも!正面からだ!
 後ろ手を掴み上げるなどという技術的な面ではなく、細腕の翼でありながら、全力の抵抗を事も無げに抑え込んで押し倒してくる。
 分かるか?この幸せが!この至高の被虐が!
 全力で抵抗したというのに正面からそれを覆され、そしてのし掛かられるこの、この、まあ、これだよ!これ!そう!理解しろ、そうだそれだ。
 ともあれ俺を押し倒し乗った彼女は、その長く流麗な足を絡めて翼を被せてくる。
 さて……分かっただろうか?
 いまのところだけで二つもWP(ワイバーン・ポイント)がある。
 そうだ、足と翼だ。
 特に、といってもどちらもWPとしては素晴らしく優劣の付けがたい所か必要不可欠なんだが。
 あ?どっちかに絞れだと。
 戯けが!
 太股を大胆に見せながらも鱗で包むことで見えたり見えなかったりするチラリズムを確立しておきながら、消したり現したりすることで故意に不意に見せることで思わぬ大ダメージを被る足と!
 抱きつく、しがみつく、抑え込む、支える、抱き抱える、覆う等々触れ合いにレパートリーを増やす萌え方面の武器かと思わせつつ、その一方で飛行する優美と展開する雄壮を演出する魅惑の燃えをも演出してみせる翼!
 どちらかに優劣なんぞつけられる訳なかろうが!
 え?だったらどっちも愛せばいいじゃん?
 お前は間違っちゃいない、俺と握手だ。
 

 時に、だが。
 絵からは読みとれない美というものを、分かるだろうか。
 普段隠れているものこそ美しい、まあ要するにスカートの中のパンツかな、たぶん。
 何が言いたいか?
 うむ。
 単刀直入に行こう、それは背中だ。
 分かるかな?想像できるかな?ラララ言えるかな?
 桃のようなフリフリのお尻から始まり、鱗混じりの翼の付け根を抱く引き締まった筋肉の群れ。
 健康的かつむしゃぶりつきたくなるほどの天性の肉体といって差し支えのないコンプリーテッド・フォルムだ。

 ……だがそれだけでいいのかね?
 それでは人形と同じではないかね!?
 君は見たか!もしくは思ったか!
 背中から彼女を見ている時に
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