ん・・朝か。
さて、とりあえず起きるとするk
「我が婿よ!
朝の挨拶、すなわち、おはようという言葉を
つつしんで贈らせてもらおう!」
・・やはり寝るか。
布団に戻ろうとする。
その肩を、がしっと掴まれた。
「待て待て婿よ!
そんなに起き抜けに私の顔を見るのが嫌だったか!?」
「・・いや別に。」
「嘘を言うなルダ、お前がそう言うときは
大概私に不満があるときであろう!」
「・・いや、ただ眠かっただけだ。」
「・・本当か?では、一緒に・・」
・・勝手にしろよ。
俺の名前はルダ、元傭兵で、それとは関係ないが背は高い方。
傭兵の所に元とつくのは
さっきからうるさいこいつのせいでほぼ廃業状態だからだ。
そのうるさいこいつは
俺の・・まぁ・・居候、というか恋人?の
ジャバウォックで、名前をレヴィという。
性格は、とにかくうるさい、面倒、構って欲しくてたまらない。
・・後は、淫乱、とかか。
姿だけなら間違いなく疑い無く美人なんだがな・・。
「ふふん、では早速お前を抱きしめてぇ・・」
そう言って俺の肩の上から手を回そうとするレヴィ。
正直暑苦しいので俺はそれを払いのけた。
「・・おい、抱きつくな暑い。」
ぶっきらぼうに言い放つ。
「良いではないか、私とお前は愛を紡いだそんな」
だが、こいつは気にした様子もなくそう言う。
頼むから、恥ずかしいことを真顔で言うのは止めろ。
・・やっぱり起きるか。
そう思って俺は身を起こしベッドから立ち上がる。
そんな俺を寂しそうな目で見るレヴィ。
・・お前な、仮にもドラゴン族だろうがよ。
「あ!?お、おい、もう起きてしまうのか?」
「ん、ああ・・いつまでも寝てるってのもダメだろ。」
「そうか・・まぁ、お前がそう言うなら仕方ないよな。
では、私も起きるとしよう!
お前とはいつだって一緒に居たいのでな!」
そう言って同じく立ち上がるレヴィ。
だから、何でそうお前は・・まぁ良い、いつものことだしな。
時が過ぎ、昼。
俺は床に座り拳にはめる用の武具を磨いていた。
もはや一ヶ月に一度使うかどうかという感じのものだが、
オーガの使用にも耐えるらしいサイクロプス印の逸品でもある。
というか、磨かないとレヴィがうるさい。
少し前までは命を預けていた物だから、
なんだかんだで俺が落ち着かんというのもあるが。
埃をあらかた払い終わり、ふうと一息をつく。
俺がこれを磨いている間ずっとレヴィは近くにいた。
うざったくちょっかいをかけてくるでもなく、
ただただ俺の隣に座り込み、俺とこれを見ている。
いつもの事ではあったのだが、
何となく気になって今日は訊いてみた。
「・・なぁ、こんなの見てて楽しいのか?」
するとこいつはきょとんとした顔で首を傾げた後、
笑顔になりこう言った。
「うむ、楽しいぞ!
逸品が見事になっていくのもあるが、
何よりお前の真剣な顔を見ることができるからな!」
それは曇りや偽りのない言葉。
何だってこいつは、バカ正直にそんなことを言えるのか。
「・・そうかよ。」
そんなことをされては、
そう言ってそっぽを向く他無くなってしまう。
・・こういうのは傭兵時代には無縁だったのだ。
だから・・っ、ああもう!
軽く頭を振って考えを中断する。
自分がどうして戸惑っているかなんて知っている。
知っては、いるのだが。
・・こいつ程とは言わずとも、もっと俺が口が上手かったなら。
そう思わずにはいられない。
「・・ルダ。」
そんな俺に、隣から優しい声音で声がかけられた。
なんだ、と言ってそちらを見る。
ポム。
いきなり、頭に手を乗せられた。
・・子供扱いか?そういうガラではないのだが。
と、軽く怒りを込めて視線を送る。
「クク、気にするな・・これは私がしたかっただけだ。」
が、やはりこいつは意に介さない。
頭に乗せられた手は、
ゴツゴツした鱗に覆われてはいるが温かくて、心地良い。
少なくとも、払いのける気にはなれなかった。
せめてもの抵抗で視線を逸らす・・すると。
「・・そうだ、ルダ、お前はそれで良い。
お前はそのままで良いのだ、私に合わせる必要はない。」
そんなことを言われた。
・・図星だった、憎らしいほどに。
「・・誰が、お前に合わせるって言うんだ?」
何とかそう言い返す。
・・顔が、熱い。
頭に乗せられた手のせいだろう。
「ふふ、お前以外に誰が居る?と、そうではなくてだな。
お前はそのままで良いという話だ。
でなくば私が愛をお前に囁き続けられぬでな。
それに、ぶっきらぼうながらも、
私の事を考えてくれるところも好きなのだぞ、私は。」
・・チッ。
思わず舌打ちする。
どうしてこいつは、俺に対してこんなにも素直なのだ。
せめて、憎まれ口の一つでも言ってくれれば。
そうすれば、手慣れた対応の仕方が出来るのに。
なのに
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