…リディアとこの洞窟まで逃げてきて、どれくらいになるだろうか。
今ではいつ日が沈んで、いつ上ってきているのかすらよくわからない。もう、気にもならない。
「…カイル、起きて」
今日もまた、リディアの声で目を覚ます。
目の前にいるリディアは、血にまみれていた。
「…誰か、来たのか」
おおかた何があったのか理解はしているけど、一応リディアに問う。
「うん、勇者様だって。くすくす」
リディアは小さく笑い出す。
「…くすくすくすくすくすくす。うふふ、うふふふふふふふふふ。勇者。うふっ。勇者。勇者。勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者勇者ゆうしゃゆうしゃゆうしゃゆうしゃゆうしゃゆうしゃゆうしゃ…………あはっ、あははははははははははははははははははははははははははっ!」
含み笑いが、狂ったような哄笑に変わる。
「勇者!勇者様!何も、なぁんにも知らない、可哀想な勇者様!なんでもないのに祭り上げられて、人を襲いもしない魔物を殺してまわって!でもどうせ最後には捨てられる。無責任な連中に捨てられる!可哀想、本当に可哀想!…だからね、だから、殺してあげたの。可哀想だから、私が殺してあげるの!だって私は魔物だもの。教会の人が言ってたよ、魔物は人を殺すって。だからその通りにするの。その通りに、捨てられて苦しむ前に、殺してあげたの!だから、勇者、ころし、ゆう、ゆうしゃ、かわいそう、だから、ころし、ゆうしゃ、こ、ころし…あはははははははははははははは!」
…やっぱり、リディアはまた人を殺してきたらしい。もうこれで何回目だろうか。始めのうちはショックだったけど、最近はもう麻痺してしまったのか、何も感じない。
「ねえ、どうして!?どうして拒絶するの!?私が魔物になって、なにをしたの!?私ずっといい子にしてたのに!誰が襲って来ても殺したりしなかった!誰かわかってくれると思ってたから!きっと、いつか受け入れてくれると思ってたから!」
リディアの言葉は、いつのまにか嘆きの言葉に変わっている。
「だけど誰も、だあれもわかってくれなかった!私のことを勇者って言ってくれた人、みんな私を捨てちゃった!ずっと、みんなのために戦ってきたのに!ああ、勇者、勇者、ゆうしゃ、ゆうしゃ!ああああああああああああああああああああああああ!ああ、あ、あ、…」
この世の全てに絶望したような叫び。
その絶叫が、突然止まる。
「…カイル。カイルは、私を捨てなかった。私を受け入れてくれた。ああ、カイル。大好きなカイル。私のせいで閉じ込められたって、本当にごめんね。でも大丈夫。これからは、ずうっと私が守ってあげるからね。無責任な連中からも、踊らされてる勇者からも、私が、私だけが守ってあげるから。ああ、素敵な、素敵なカイル、んっ、大好き。大好き、はあぁ」
少しだけ落ち着いた様子で、リディアが僕に語りかける。…もっとも、今度は別の意味で興奮してきたらしく、頬は赤く染まって、内股をだらだらと愛液がつたっていく。
「ん、ふう、あっ、…ねえ、しよ?
カイルが欲しいの。カイルが足りないの。さみしい。さみしいから、もっと欲しいの」
リディアが、裸のままの僕に跨るような姿勢になる。
…魔物になって以来、リディアは魔物にしても異常なほどの性欲を抱えるようになった。僕への極端な依存心が原因なんだろうけど、よくわからない。大抵こんなふうに僕の名前を呼んだだけで興奮しだして、そのたびに僕と交わろうとする。いままで散々交わってきたからか、今のリディアはもう完全なサキュバスになってしまっているし、僕ももう人間じゃなくなっている。
もっとも、今の僕も凄く興奮しやすいし、息子もとうに臨戦態勢に入っている。
僕のモノの先っぽが、とうとうリディアのそこに触れる。
「あんっ、じゃあ、いくよ…んあっ!」
「ううっ…」
リディアが一気に腰を落とすと同時に、ぐじゅりと音を立てて僕のモノが中へ収まっていく。
突然襲ってきた快感に、つい声をあげてしまう。
…と、それから間髪を入れず、リディアが体を上下させる。
「…あんっ!あっ、あっ!ああぁ、なか、なかで、あああ!
ねえ、気持ちいい?カイルも気持ちいい?」
「…く、うう…はぁ、はぁ…」
「あはっ、気持ちいいんだね!んんんっ!」
声も出せない僕を、リディアが激しく責める。
だんだん与えられる刺激が許容量の限界に近づいてくる。
「んあっ!なか、なかでふるえてる!ふりゅえてるよぉ!出そう?でそうなんだね?ああ、出して!はやく、早くだして、私をいっぱいにして!」
リディアも感づいたのか、さらに動きを速める。
…ああ、もう限界だ。
「…う、ああ、出る!」
「!!!!!!!!あ、ああああああ!きたぁ、カイルのがきたぁ!ああぁ、あつい。
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