「お疲れ様でしたー」
「はぁいお疲れ様ー。気を付けて帰ってねー」
「はいー」
園長に一礼してから、扉を閉める。
今日も無事に仕事を終えた。
「ふいー」
保育園に勤め始めて半年。
初めのころは元気すぎる子どもたちに手を焼いたものだが、やっとこさ子どもの相手をするのも馴れて、心身ともに余裕が出てきた。
が、余裕が出てくると、むくむくとわいてくるものがある。
「……今日も可愛かったな……」
子どもたちの姿を思い出して、でへりと笑みがこぼれる。
だってほら、ちっちゃな子どもが後ろについてくるんですよ?
「せんせーあそぼー♪」
とか言ってしがみついてきたり、
お昼寝の時間には、
「せんせーいっしょにねよー」
「せんせーはわたしといっしょにねるのー!」
とか、
「せんせーすきー♪」
って抱きついてきたりとか!!
もうワタクシ股間のグングニルが エ レ ク チ オ ン ! !
ええそうですとも。
ロリコンですとも。
俺はロリコンですとも。
Yes! I’m just ガチロリ!!
幼女と戯れるために保育士になったんだもの。
女の子可愛いよハァハァ。
しかしだ。
俺は幼女には触らない(性的な意味で)。
幼女とは眺めて愛でるもの!! お手を触れてはなりませぬ!!
それが紳士協定と言うものである!!
イエスロリータ! ノータッチ!
ワタクシロリータコンプレックスですけれども、ペドフィリアではなくてよ。
我こそは紳士である。
数多の先人や同志たちを見習い、決して手は出さない。
俺が、俺たちが紳士だ!
ふぅ。
大きく息を吐いて、ついつい白熱した紳士の思考を冷ます。
最近は寒くなって来たし、さっさと帰ろう。
自転車を漕ぎ漕ぎしつつ、夕飯はどうしようか考える。
ほかほかな弁当屋さんで買って帰るかぁ。
道の端にあった大きな何かを回避して、
「――――ぅぉおおおっ!?」
急ブレーキ。
なんだいまの。
地面を蹴ってバックして、さっき避けた大きな何かをよくよく見る。
それはまるで子どものような。
「おいいいいいい!?」
慌てて自転車から飛び降りて、それに駆け寄る。
間違いなく子ども。しかも幼じげふんげふん十歳くらいの小さな女の子だった。
「ちょ、ちょちょちょ!? 大丈夫!? 大丈夫かもしもしー!?」
えええとこういうときはどうするんだっけそうだほっぺたをぺちぺち叩いて起きてるかどうかを確認するんだっけぺちぺちうわぁほっぺたぷにぷにで柔らかくてきもちいいいい
「じゃなくて!!」
意識をしっかり持て他でもない自分が!!
道端で幼女が倒れてるとかギャルゲかラブコメでしか見たことが無いようなシチュエーションでテンションが舞い上がっている。
「落ち着け俺よ。クールになるのだ。Be Kool」
深呼吸。吸って、吐いて、ひっひっふー。
「も、もしもーし、大丈夫かー?」
落ち着いて、少女のほっぺたをぺちぺちと叩く。
「……うぅん……」
小さなうめき声。可愛い声だなぁ。じゃなくて。
いかんマジで落ち着け。
起きてる様子はない。頭を打っているのかもしれない。
こういうときは……
1.自分の部屋に連れていく
2.とりあえず人気の無い所に連れていく
3.今のうちに色々と触っておく
うーん、1かな。
「いやいやいやいや! 救急車だから!?」
さっきから思考がおかしい。
これは良くない。早々に救急車を呼んで任せてしまった方が良い感じ。
ちょっと残念だけれども!
ポケットから携帯電話を取り出して119をプッ――
「んん〜〜〜」
――シュするよりも先に女の子が体を起こした。
「あ、わ、大丈夫?」
「んー……眠いー……」
ぐしぐしと眼を擦りながらゆらゆらと揺れている女の子。眠いって、君ねぇ。
「だからって道の真ん中で寝るもんじゃないと思うけど」
「うー……ふあぁぁぁ……」
不満そうに唸って、大きく欠伸。そこで俺と眼があって女の子はぱちりと眼を開いた。
そして、くりっと小さく首を傾げて、
「お兄ちゃん、だぁれ?」
「げふぅ」
クリティカルヒット!!
心の臓を打ち抜かれたような衝撃が全身をかけぬけた!
やばい。可愛い。かわゆい。死んでしまう。萌え死してしまう。
全身から溢れ出そうになった何かを必死に押さえつつ、精神よ落ち着け!!
いやぁやばかった。非常にやばかった。
かわういようじょがにぱっと笑って小首を傾げて「お兄ちゃん」て。
殺す気か!!
なんとか平静を取り繕って笑顔を向けた。
「ええと、通りすがりのおにーさんなんだけど……。お名前は?」
「フィリアっていいます!」
フィリア
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