堕ちた姉弟

「うええええん」
小さい男の子が泣いている。
「泣くなリアンお父さんとお母さんは死んでしまったが私がいる。
お前にはつらい思いは絶対させない」
姉さん?
「本当?」
ああこれは
「本当だ」
僕の記憶
「じゃあお姉ちゃんは僕とずっと一緒にいてくれる?」
僕の姉さんの記憶
「当たり前だ」
そう言って抱きしめてくれた
僕の愛しい姉さんの記憶。

「おかえりなさいメリアお姉ちゃん」
記憶の中の姉さんはいつも凛々しかった。そして優しかった。
「ただいまリアン」
僕のことを第一に考えているたった一人の肉親
「お姉ちゃんご飯ができているよ。今日はお姉ちゃんの大好きなはちみつ料理だよ」
そんな姉さんを僕は愛していた。いや今も愛している。
「ありがとうリアン。リアンがいて私は幸せよ」

ある日姉さんに剣術を教えてもらおうとしたことがある。
「姉さん僕にも剣の振り方教えて」
「なぜ剣の振り方など知りたいんだ?」
「僕も大きくなったら姉さんと同じ魔物狩人になるんだ」
そう言うと姉さんは
「駄目だ。いいかリアン魔物狩人にはなるな」
とすごく悲しそうな顔をしていた。
「どうして?」
「お前にはしっかりと勉強し立派な大人になって欲しいんだ。だから魔物狩人にならない
でくれ」
「・・・うん分かった」
「よしいい子だ」
そうやって姉さんは頭を撫でてくれた。


「お姉ちゃん。はいこれ遠征でお腹が空いたら食べてね。あとこれ」
「これは?」
「お守りだよお姉ちゃん。お姉ちゃんのことを思って作ったんだ」
「ありがとうリアン。寂しい思いをさせることになってすまないな」
「いいんだお姉ちゃん。お姉ちゃんは絶対に帰ってくるんでしょ。それにこの遠征が終わ
ったら
お姉ちゃんとずっと一緒に入れるんでしょ」
「・・・本当にありがとう。リアン。私にはもったいない弟だ」
「そんなことないよお姉ちゃん。僕はお姉ちゃんの弟に生まれてすごく幸せだよ」
「いいわね〜姉弟愛って。私もリアンちゃんみたいな弟が欲しかったわ〜」
「茶化すな。それでは行ってくる。土産でも楽しみにして待っててくれ」
「いってらっしゃい〜」


懐かしい夢を見た。僕がまだ幼くて働けなかった時の夢だ。
あのあと姉さんは遠征に出かけそして帰って来なかった。後で聞いた話だがあの遠征はほ
とんど死にに行くようなものだったという。
そうまでしてでもお金が必要だった。貧しさから抜け出すには。
周りの人は姉さんはもう死んだと言う。だが姉さんは死んでない、死んでるはずがない。
そう思い、僕も姉さんと同じ魔物狩人になった。
姉さんを探すために旅に出よう。そう決心した。だがそのためには襲いかかる魔物たちか
ら身を守る必要がある。
またお金も必要だ。その二つを満たせるから魔物狩人になった。
僕も姉さんと同じ血をひいているからか姉さんと並ぶもしくはそれ以上とも称させる魔物
狩人にまでなれた。
だけどもそれは同時に姉さんに対しての裏切りを意味していた。姉さんは僕に魔物狩人に
なるなと常々言っていた。
幼い僕にはその意味がわからなかったけども姉さんと同じ魔物狩人になって分かった。
姉さんは僕に危険な職についてほしくなかったのだ。魔物に殺されたというならまだマシ、
人によっては魔物に食われて死体もないだとか
奴隷にされたという話まである、職に。
だがこの職についたお陰で姉さんがどれだけ僕のことを愛してくれてたかまた実感するこ
とができた。
姉さんはそこまでの危険を冒してまで僕を養ってくれたのだ。そんな姉さんが死んだなん
て僕は信じられない。
もし教会の奴らが言うように神がいるというならばあそこまで慈悲深い姉さんを死なせは
しないはずだ。
「よし」
そう思っているうちに旅立ちの準備が終わった。いよいよ明日から姉さんを探す旅に出る
ことができる。
「姉さん待っててね」
そうつぶやき僕は明日に備えてベッドで眠った。
姉さんのお陰で住むことができたこの家とはしばらく会えなくなる。
そう思うと寂しくなったが、姉さんがいない生活はもっと寂しいのだと自分に言い聞かせ
ながら僕の意識は闇に沈んだ。



「本当ですか!?」
「本当だとも。確か4年前大規模な賞金稼ぎの集団がきてなあ。誰も行ったきり帰ってこない森に向かって
全員戻って来なかったんだよ」
姉さんの足取りを追ってはや半年やっと姉さんの手がかりをつかめた。
「その森はどこですか」
「お前さん行くつもりか?いい家族愛だがやめといたほうがいい。お前も死ぬだけだその集団みたいに」
「姉さんは死んでなんかない!!」
そう僕は怒鳴りつけた。宿屋の主人は呆れたような顔をしている
「失礼しました。声を張り上げて」
「まあ森に行って死んでも自業自得だからな。俺を恨まないでくれよ」
そう言って主人は森への行き方を教えて
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