放課後の暇@

キーンコーンカーンコーン
『ま、まもなく完全下校時間だ…んっ、生徒の諸君、速やかに帰路に着くように。愛し合うのも…家に帰ってから、はぁっ、存分に行いなさい…』

気になる事があったので、図書室で勉強も兼ねて本を読んでいると校内のスピーカーからキレのある声の中に艶やかな息が混じった放送が流れる

稀にこういう事があるのだがスピーカーの向こうで何が行われているかは知る由もない。

「もうそんな時間か…」

空が赤くなってきた所までは感付いていたが暗くなっていたのには気付かなかった
本を元に戻し、鞄を持って図書室からそのまま下駄箱へと向かう

「あっ」

と。

「げっ…」

今にもぐったりした男を肩に抱えお持ち帰りしようとしているウシオニを発見してしまった

「おい、何してる」

「え?いやいや。はっはっはっ。ほら、ね?魔物の性分だよ旦那」

そう言いつつ抱えていた男を壁にそっと優しく名残惜しそうに添えるコイツ

「また襲ったのか」

「だってほら…ねえ?」

「ねえ?じゃない、襲うにしても力付くはやめろと…」

「あー!あーあーあー!とにかく帰ろう!なっ!このままじゃ先生にしょっぴかれる」

「…そうだな、後日改めて生徒を気絶させた事をチクらせて貰うとするか」

「いやだからそれは…な?なぁ?どうにか理解しておくれよ…」

出来るなら最初から注意はしていないが。
…まあ通報は保留にしておこう、止められただけマシかな
友人が暴行強姦未遂の罪で逮捕なぞ…というかもう暴行は確定か。
靴をはき換え、足を進ませつつ話を続ける事にした

「はぁ…一応今回の犯行動機を聞いてやろうか」

「えーと…先程の放送に…その…ムラッ、と来まして…」

「ふんふん」

「そんな時に…目線の先にかわいい男が居たもんでして」

「タックル
amp;トライ、そんで気絶したからお持ち帰り。と」

「仰る通りで…」

「その方、表を上げい」

「ははあっ」

「取り敢えず駄菓子屋と飯屋でおごれ」

「ば、馬鹿な…飯のみならず菓子まで」

「俺も今月キツくてなぁ…心優しい君なら受け入れてくれるよな?」

「恐喝だー…わかったわかったよ、アタシ直々におごらせて頂きますさ」

「いやぁそれでこそウシオニの頂点に君臨する御方!有難い有難い」

涙を流しつつ財布を確認する彼女は実に可愛げのあるものであった

〜〜〜
〜〜〜

あるファミレス

「いらっしゃいませー、何名様でしょう?」

「二名です」

「かしこまりました、それではお好きな空いている席へどうぞ」

「はぁ〜あぁ〜…」

「さーて一番高いの頼むか」

「ちょっと!?お願いだから遠慮を」

「せっかくだからデザートも…」

突然、手がめしィッと悲鳴を上げる。

「…」

「うん、冗談が過ぎた。悪かったから必死な顔で手を握るな。粉砕してしまう、切断しかねなくなる…ッ!」

「はぁ…本当に頼むよ…」

「っていうか自分で言っといてなんだが大丈夫なのか?」

「や、安く済ませてくれれば大丈夫だ!二言は無い!」

「そうか?じゃあ、ねぎとろ丼にするかな」

「アタシもそれでいいや…」
〜〜〜
〜〜〜

うん、割と腹は膨れたかな。

「さて…駄菓子屋だが…」

彼女がビクつく、うーんちょっと可哀想になってきた

「い、行くぞ。駄菓子屋で菓子を買うんだろう」

吹っ切れているのか引っ張る勢いだ

「いらっしゃい〜」

「さあ、何を買うんだ?何でも言ってくれ。ハハハ」
この子ちょっと壊れ始めてないか

「…ポテトスナックひとつ」
「あいよー」

「なんだ、それだけでいいのか?」

「いいんだよ、分けて食おうや」

「ん…お、おう」

それからはなんだか話す事も少なく、暗がりの景色を楽しみつつ帰ったんだけど


その夜

そろそろ風呂に入って寝るか…という頃に家のチャイムが鳴り響く

ピンポーン

「はー…い…なんで居んの?」

「電気代節約。はいこれ冷蔵庫の中身」

「…泊めろと?」

「勿論、食費も少し浮くからな」

「そんなに危ないならおごるの断れよ…」

サインに気付かず大丈夫だろうと甘んじた俺も俺だが

「だ、だって…あの鬼教師にバレるってなったら…」

「…そうは言うが気絶した本人がチクったらどうするんだ」

「……あっ」

「…まあなんだ、うん。狭いが泊まってけ。数日は保障するぞ」

「お…おじゃましばしゅ…」

流石に今回はやり過ぎたという罪悪感が心の底からあふれ出たので涙と鼻水でぐっしゃぐしゃの子を迎え入れましたとさ

14/08/12 21:51更新 / それなりにグラタン
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