返事はいらない。望の頭を抱き寄せ、思いっきり口付けをしてやる。お互い初めて同士で技術も何もないが、ただ我武者羅に舌を絡ませる。
クチュクチュ言う音に紛れて、鼻から抜ける声を望は上げる。顔を離すころには俺も望も息が上がり、涙目になっていた。
『あは・・・誠司は激しいなー』
そう言って唇の端から垂れる唾液を舐め取ってみせる。
『こんな体に欲情するなんて、本当にロリコンだったんだ』
俺の手を取り自分の体へ導く望。
『あ、はっ・・・ん・・・』
俺の手を使って自分の体を慰める姿に、体の熱が下半身に集まってくる。
それを感じた望はニヤリと、また悪魔の笑みを浮かべる。
『勃っちゃった?』
そういって腰をグラインドさせる。元々、下は下着姿だった上に、尻尾が生えたせいで望のボクサーパンツは下にずれていた。
『ん・・・きもちぃ・・・』
すでに勃っている俺の股間に、自らの股間を擦り付けて快感を得る様はとても同じ男だったとは思えなかった。
初めからだったのか、途中からだったのかは分からないが、股間からもクチュクチュと音がしていた。
望に導かれ好きに使われていた俺の手も、今では自分の意思で望の体を撫で回していた。
望は俺の胸に両手を付き、目を閉じて下の感覚に集中していた。
『んっ・・・ひんっ・・・!あ、あ、あ・・・』
一際大きく体を跳ね上げ、俺の制服を掴んでくる。直後、俺の方に倒れこんで胸の上で荒い息を吐き始める。
どうしたんだろうかと表情を伺うと、涙に濡れた瞳を向ける望と目が合った。
『えへへ・・・イちゃった』
「女の人の体ってすごいね」と少し困った顔をしながら、それでも微笑を浮かべる望を前にして、俺の理性の糸が切れた。
いや、むしろここまで良く保ったと褒められるべきだろう。俺の上にいる望を抱きかかえるとベットへ運ぶ。
元々の体格差や筋力もあり、すんなり運ぶことができた。期待と不安の色を映す瞳をこちらに向けて、望は抵抗せず仰向けになった。
『・・・シたい?』
少女のような純真無垢な顔をした悪魔は俺に投げかける。この悪魔は最後まで俺の口から言わせる気だ。
答えは決まっている。
『・・・ああ。俺も、もう我慢の限界だ』
『・・・そっか。うん、いいよ。誠司がそう言うなら、俺の体を好きに使って?』
俺の言葉に少しだけ考える素振りを見せるが、明らかに「素振り」だけだった。
まずは唇。たった一度だけの口付けでは物足りなかった俺は、押さえつけるようにして望の手を掴み唇を重ねる。
『ん・・・ふ・・・ちょ、せい、じ・・・ぷはっ!・・・もう、死んじゃうって』
どうやら夢中になりすぎてしまったようで、望から非難の目を向けられてしまう。
「悪い」と謝罪すると、「分かればいいよ」と俺の髪を撫でてくる望。
『次は、誠司の大好きな胸を触って?』
髪を撫でる手はそのままに、俺の頭を自身の胸へと誘導する。
『さすがに今の体を見られるのは恥ずかしいね。本当にぺったんこなんだもん。さすがに、誠司も冷めちゃっ・・・ひっ!』
その言葉を遮るように望が声を上げる。
『いきなりっ、舐める、なんてっ・・・ひっ、一声掛けても、いいんじゃな、い・・・?』
先ほどアレだけの痴態を見せ付けておきながらどの口が言うかと思ったが、今は目の前の体に集中する。
確かに平らだが真っ白ですべすべの肌。
鎖骨を噛み、浮き上がるわき腹を舐め、臍から舌で舐め上げると望はひっきりなしに声を上げる。
『せ、せいじ!なんか、なっ、慣れてない?・・・ひぃんっ!』
返事もせず只管に続ける。先ほど口付けを途中で止められたことを少し根に持っていたからだ。
これではいつぞや、弁当を横取りした望を非難できないな。
『ね・・・せいっじ・・・さっきから、何で、何も言わないの・・・?』
はあはあと荒い息を吐きながら、不安な顔をした望が俺の顔色を伺ってきた。
それに答える時間も惜しいくらいに目の前の体を堪能したかったが、先ほどの「一声掛けて云々」の下りを思い出して、一旦顔を上げる。
『あ・・・』
しかし、俺の顔を見た望は何を納得したのか、再び胸元へと俺の顔を持っていく。
許しが出たのであれば好き勝手やらせてもらおうと、先ほどの続きを堪能する。
首元を肩口を骨盤を、舐め吸い噛み満足するまで。
さっきから黙って人の体を嘗め回す誠司に不安を覚え声を掛ける。
舌の動きが止まり、こちらを向くその瞳は情欲で濡れ、行為を中断されたことに不満を感じていた。
『あ・・・』
それだけ零すと、再び胸元に誠司の顔を持っていく。
『(そんなに、怒った顔しなくても、いいのに。でも、邪魔してゴメンね?いいよ、好きなだけ、食べて)』
目の前の男が自分の体に夢中になり、行為を少し止めるだけで不満を感じている
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