一話

 僕は遭難するためにここに来ていた。学校に、人生に、全てに嫌気が差してこの森林の中に踏み入ったんだ。
 樹海を選ばなかったのは怖いから。暗くて怖くて不気味な場所で死ぬのは嫌だ。死に場所くらいは選ばせて欲しい。
 名前も知らない木々の枝葉の間から木漏れ日が差し込んでいる。息を吸い込むと澄んだ空気が肺を満たした。これなら溜息も澄んだものになりそうだ。
 ここには遭難して死ぬために来たから、当然帰り道は分からない。ここまでも当てもなく歩いてきた。
 引き返そうとはもう思わない。思ったって帰れる気はしないし、帰りたくない。
 僕はさっきも見たような木々の間を歩いていく。それももう見飽きたな……と思い始めた頃、開けた場所に出た。
 そこは綺麗な水の湖だった。僕は途端に喉の渇きを覚えた。死にに来た僕は飲み水も買ってきていなかったから。
 僕は水を飲もうと湖に近寄ろうとした。けどそれをやめた。誰かが湖にいたからだ。反射的に近くの木に身を隠す。
 気付かれないように気をつけながら様子を窺う。湖にいたのは女の子みたいだ。……水浴びの途中みたいで裸の。
 綺麗な長い金髪に大きくて張りがある胸。むっちりとした太ももも、その全てが隠されることなく露わになっている。
 それにちょうどよく僕のほうに向いて水浴びをしていた。高校一年生の僕ならそれだけでオカズにできてしまうだろう。もう股間は硬くなって、我慢汁が溢れてるし。
 どうせここで死ぬんだ、好きにしよう! 僕はそう決めて下を脱ぐとオナニーを始めた。目の前の、僕より年上の女の子の裸をオカズにしてやる!
 背徳感にぞくぞくとした。こんなことはもちろんしたことがないから、未知の快感が僕を苛む。女の子は僕に気付かない。
 妄想の中で彼女を犯す。手の動きが激しくなって息も荒くなる。ぐちゅぐちゅと音がし始める。
「何をやっているの」
 耳元で声がした。僕は一瞬にして頭が冷えていくのを感じた。頭の中が混乱して手の動きは止めてしまった。
 声はなおも続ける。
「ティターニアをお前の妄想の中で犯しているの? 最低ね、くすくすくす」
 僕の視界の中、水浴びしていた彼女は僕に気付いていないようだ。それじゃあ、この声は。
「それにティターニアを直接犯そうとしないところが本当に情けないわ。そんなだから一人でシコシコするしかないのよ」
 そう言って僕の背後から回り込んできた声の主は妖精だった。小さな体に背中から生えた四枚の羽。ぴっちりとした衣装は腕と足が剥き出しになっている。
 妖精の少女はやれやれといったような仕草で僕を見下している。見下された僕は少女の体に勃起を強めた。こればっかりはしょうがない。
「あたしの体にも欲情したの? 見境のない変態ね。お前はあれかしら、言葉責めもご褒美になるのかしらね?」
「そんなことない。僕はノーマルだよ」
「信用ならないうえにあたしに欲情しているのは否定しないのね、射精できたら何でもいいのかしら」
「あっ、あんまり言うと精液で撃ち落とすぞ!」
 僕史上稀に見る脅し文句だった。稀に見るって言うかもう見たくない。
「そうね、一人で快感を貪るしか能のない童貞の精液でも無いよりはましだわ。ここでは貴重な人間の男の精だもの。ほら、早くあたしにかけなさい。どうせ早漏なんでしょう?」
「セックスするまでは早漏かどうかなんて分からないし!」
「哀れね。可哀想になってきたわ」
 可愛らしくも色気を含んだ声で続けざまに罵倒される。でもなんだろう、僕はセックスもしないで死のうとしてたのか……。
「可哀想だからあたしが手伝ってあげる。精液の対価ね。女の子の気持ちよさも少しは知ったほうがいいもの。そしてお前はあたしのことを思い出して何度も何度もオナニーするの。ああ、気持ち悪い」
 陶然とした表情で少女は言う。気持ち悪いならやらなければいいのに、して欲しいけど。
「お前のそれから手を離して。オナニーの邪魔よ」
「手伝ってくれたならそれはもうオナニーじゃないんじゃない?」
「何よ、オナニーって言われるのは嫌い?」
「女の子がオナニーって口にするのは好きだけど、オナニーじゃないことをオナニーって貶められるのは嫌いかな」
 どんな形でも、女の子が僕のためにしてくれたって事実は変わらないから。それに僕はMじゃないし。
「そう、じゃあやめてあげる」
「ありがとう」
「意外と素直で良い子なんだね」
「意外とは余計よ、調子に乗らないで」
「そうだね、分かったよ」
 ツンツンしてるけど素直で良い子だ。ちゃんと話もしてくれるし、嗜虐的なのはそういう外用の人格なのかも。
 少女は高度を低くして僕の反り返ったペニスに相対する。もしこの子の中にペニスを入れたらどうなるんだろう。いや、それは物理的に無理か。
 邪な考えを持ちながら邪な目で少女を見
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