女だらけの遺跡探検。


「本当にすごい所ですねぇ・・・。」

テテスが額に汗を浮かばせながら、そう言う。
ワタシ達はベルメイト地方の古代遺跡の一つであるリースト神殿遺跡に来ていた。
何故今回ワタシ、エフィが進行役なのか。
理由は単純、カイが不在だからだ。
カイにしては珍しく風邪でダウンしている。
熱は下がっていたのでついて行くと言っていたが、大事になっても困るので無理矢理「首都ヨルムンガルド」にいるよう言いつけた。
納得のいかない顔をしていたが、仕方のないことである。
不満そうなカイの顔が可愛かったから、つい意地悪してしまったという事は内緒だ。

「エフィ。今ワタクシ達どこらへんにいるの?」

「今は地下一階だから・・・、ちょうど三分の一くらいじゃないかな。」

「この遺跡まだまだ続くの!?」

ティタンが落胆の声を上げる。
無理もない。
どんなに進んでも先が見えない上に、同じような道が延々と続いてる。
本当ならあまりこういう場所には来たくなかった。
が、今回は珍しくセシリアどうしても寄りたいとワガママを言ったのだ。
たまにはセシリアのワガママも聞いてあげよう。

「ねぇ・・・。エフィお姉ちゃん・・・。ボク、帰ってもいいよ・・・?」

申し訳なさそうに言うセシリア。
その姿はとてもいじらしく可愛い。
ワタシは彼女の頭を軽く撫でてやった。

「大丈夫さ。それにヨルムンガンドに戻ってもカイがあの状態じゃどうしようもないだろ?」

「でも・・・。」

「心配しないで、セシリア。ワタクシはまだまだ元気よ。ホラ、そんな事を言っているなら先に進みましょう。セシリアにできることは早くこの遺跡で探しているものを手に入れて、さっさと遺跡を出ることですわ。」

「う、うんっ!!」

ティタンは優しげな笑みを浮かべ、セシリアの手を引っ張る。
その光景を微笑ましく思いながらワタシ達は歩み始めた。
意気揚々と一歩、踏み出したその時・・・。

カチッ。

「ん?何か音がしなかったか?」

「空耳じゃない?ワタクシにはそんな音、聞こえませんでしたわよ。」

「アタイも聞こえまでんでした。」

「ボクもー。」

「おかしいな。気のせいだったか。」

ドスドスンッ!!!!!

後方の天井から五つ、鉄の塊が落ちてくる。
それは今日、この景色以外に見飽きていた物。
ガシャンガシャンという音が立てて、現れたのは自立型の魔導機だった。
この遺跡には魔物が一体も出てこない。
代わりに古代人が作ったと思われる魔導機が徘徊していた。
おそらくさっきの音は魔導機を出現させるトラップの作動音だろう。

「どうする?いくらなんでも五体は面倒だぞ。」

「決まってるじゃない。作戦は一つしかないわ。」

「せーのっ・・・。全力逃走です!!」

テテスの一声でワタシ達はまっすぐ先へ先へと逃げる。
前に見たゲルメイの魔導機ほどではないが、一体でもてこずる相手だ。
それが五体もいるなんていくらなんでも厳しい。
こんな所であまり体力を消耗したくないのもあるが、何より勝てるかどうかわからないのだ。
カイがいれば秘剣参式 崩で一撃なのに・・・。

「次の曲がり角を右っ!!」

「はいっ!!」

しばらく魔導機との鬼ごっこが続く。
パワーはあるが、スピードはそれほどでもない。
徐々にワタシ達との差が開いていった。
やがて奥に光が見える。
地図によると階段がある広い部屋だ。
そこに行けば地下二階へと行けるらしい。
自然とワタシ達の足が速まった。

「よしっ!!もう少しっ!!」

ワタシ達が部屋へと駆け込んだ瞬間・・・。

ガラガラガラッ!!
ドスンッ!!!

「っ!?」

入り口が板状の岩で塞がれる。
岩を持ち上げようとしてみるが、ビクともしない。
どうやら引き返せなくなったようだ。
他に選択肢のないワタシ達はため息をつき、先に進む。
よく見るとこの部屋、闘技場みたいだな・・・。
背中に嫌な汗がに滲む。
案の定、その予感は的中した。
階段の前で先程の奴等の倍ぐらいある魔導機が待ち構えているではないか。
やっぱりか・・・。

ズシン、ズシン!!

地鳴りとともに近づいてくる魔導機。
この状況では戦うしかない。
魔導機は一度立ち止まると、自分の頭部についている水晶体から青い光線を放出した。

キュインッ・・・、ドゴォォン!!

ワタシ達は呆気にとられる。
光線を受けた場所は削り取られ、バックリとへこんでいた。

「あんなの食らったらひとたまりも無いわよ!!」

ティタンがヒステリック気味にそう叫ぶ。
あれはさすがに反則・・・。
ワタシは意を決し、槍を構えた。
だが魔導機は先程の体勢を崩さない。

キュインッ、キュイン、キュインッ!!

「嘘っ!?連射っ!?」

「この軌道だとアタイ達に当たりますよ、どうしましょう!?」


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