朝、寝苦しさを覚えて目を開いた。
色々な鳥の鳴き声が聞こえる。
テントなので更に鳴き声がうるさく感じた。
どうやら朝でも早朝のようである。
「ん・・・、何かが巻き付い、んぐっ!?」
俺の身体を抱きしめながら、スヤスヤ寝息を立てる少女。
それは昨日、一緒に旅をすることになったエルフの女の子、セシリアだった。
まだ幼さが残る外見で幸せそうな表情で眠っている。
昨日はとても恐ろしい目にあったのだ。
安心しきっているのかもしれない。
お疲れさまの意味を込めて、頭を撫でてやる。
すると彼女の目がパッチリと開いた。
どうやら起こしてしまったらしい。
「あ・・・おはよう。お兄ちゃん。」
「おはよう、セシリア。何で俺の寝袋にいたんだ?」
「ふぇ・・・?あ、本当だ。ボク間違えちゃったみたい。」
ペロッと舌を出して屈託のない笑みを浮かべる。
俺の頬も自然と緩んだ。
「まあ、寝ぼけてたんだろう。仕方ないさ。」
「でもね。寝心地とーっても良かった。またこうして寝てもいい?」
「構わないぜ。まだ朝も早いし、俺はこれから二度寝をする。」
「ボクも〜。」
「おう、一緒に寝るか。」
「うん!!」
俺達はまた眠りにつく。
ウトウトする暇なく、すぐに俺は夢の世界へ旅立った。
「おい、起きろ。カイ、セシリア。」
「ダーリンもセシリアも起きてそろそろ出発するわよ。」
「カイさん、セシリアちゃん。朝ごはんできてますから起きてください。」
三人に起こされる俺とセシリア。
うう・・・、起きたくねぇよ・・・。
寝ぼけた目を擦りながら、身体を頑張って起こす。
二度寝をしたせいか異様に身体が重い。
セシリアもしきりに大きなあくびをしていた。
二度寝、恐るべし。
フワフワした感覚のまま朝食をとる。
テテスの料理はとても美味しく、腹に充足感が満ちた。
「でも、カイさんとセシリアちゃん本当の兄妹みたいでしたよ。」
「えへへ・・・。そうかな?」
「ああ。カイと一緒に寝てる姿なんか、まさに中の良い兄妹という感じだったな。」
「ワタクシも混ぜて欲しかったですわ。ダーリンとセシリアの間に・・・。ううん、ワタクシとセシリアでダーリンを挟みたいわね。」
「あ、それいいかも。ボクもそれやりたいなぁ。」
「なら、今夜それで寝ましょうよ!!」
「うん!!」
勘弁してくれ・・・。
セシリアはいいとしてティタンの寝相は本当に悪い。
周りに迷惑を及ぼす訳じゃないが、彼女が起きたときはいつも半裸になっている。
ひどい時は俺に巻きつきながら、その豊満な胸で窒息死させられかけた事もあった。
またそういう時に限って俺の息子は立ち上がっているから、襲われてしまう事もよくある。
これは男の生理現象だ、仕方ないだろう。
流される俺も俺なのだが。
やがて朝食が終わり出発準備をしていると、いきなりティタンがセシリアにこう聞いた。
「そういえばセシリアって特殊な能力を持っているのよね。確かエルフにもサキュバスにもなれる・・・、だっけ?」
「うん。ボクは分類上ではサキュバス化したエルフなんだよ。通常のエルフはサキュバス化してしまうと男の人の精で魔力を供給しなきゃならないんだけど、ボクはそのまま通常のエルフと同じく食物から魔力を供給できるんだ。」
「それってサキュバス化してないってことじゃないの?」
「今からボクの能力のすごい所を見せるね。」
ティタンの問いかけに対して、胸を張って答えるセシリア。
そしておもむろに彼女は・・・、服を脱ぎだした。
な、何をやってるんだ!?
俺は慌てて顔を明後日の方向に背ける。
「あ、お兄ちゃんも見ていてよー。」
おそるおそるセシリアの方を見た。
彼女は下着姿で、控えめな身体があらわとなっている。
何をするつもりなのだろうか・・・。
「んっ・・・、くっ。はぁっ。」
ちょっとまてぇぇぇぇぇ!!
何でエロい声が出ているんだ!?
ツッコミを入れようとしたその瞬間、彼女の身体に変化が起こり始めた。
彼女のこめかみ辺りから角が出て来る。
そして背中にはサキュバスと同じ黒い翼、お尻のあたりからピョコンと尻尾が飛び出した。
先程まで青かった瞳も、赤く変化している。
これがサキュバス化・・・。
「・・・はぁっはぁ。どう?これがボクの能力だよ。」
俺達は自然と拍手をしていた。
確かにこれはすごい能力である。
普通サキュバス化した者はサキュバスとして過ごさなければならない。
しかしセシリアはその境界を自由に行ったり来たりできるのだ。
ゲルメイは何故こんな能力を欲しがったのだろう。
「ゲルメイ先生はおそらくサキュバス化する時のエネルギーに注目したと思うんだ。ボクのように魔導機も膨大な魔力で変形できないかと。」
「あのおっさんはいい年をして変形
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