姉さんが寝た
ボクは未だに落ち着かない、部屋のあちこちにある彰兄の物から匂いがする
今まで心地良いと思っていた微かな匂いが、強く感じられるだけで急に落ち着かなくなる
「・・・・・・・・・ぁ」
まるで彰兄の部屋にいる様な気分になるが、残念な事にここは私の部屋だ
・・・いや、彰兄の部屋に行っちゃえばいいんじゃ・・・?
「・・・・・・ん、寝てる」
聴覚も良くなっているらしく隣の部屋にいる姉さんの寝息も聞こうと思えば聞こえる
良くなってるのは・・・嗅覚と聴覚・・・それから・・・なんだろう、他にも何か変わった気がするけどよく分からない
「彰兄、こんなの見てどう思うかなぁ・・・・・・」
何となく頭の上の耳をパタパタさせてみる
神経が通っているかの様に自在に動く、尻尾もだ
姉さんが大丈夫でもボクが大丈夫だっていう確証にはならない・・・彰兄は優しいけど、興味の無い物にはとことん興味を示さないから・・・無視とかされたらどうしよう・・・
「大丈夫・・・だよね?」
無視されたりしないよね?
露骨に引かれたりしないよね?
嫌われたりしないよね?
侮蔑の目で見られたり・・・・・・それは別にいいかな、興奮するし
性的な目で見られ・・・・・・こっちはむしろウェルカムかな
「うん、道具みたいに乱暴に・・・・・・違う違う、そこまでまだ考えてない」
いや・・・道具みたいに乱暴に扱われる事に抵抗はないし、むしろ彰兄が興奮してくれるなら全然構わないんだけど・・・
こう、ボクの都合も考えずにいつでもどこでも自由に乱暴にやりたい放題される・・・と言うのも興奮するけど彰兄の性格からしてどう足掻いてもしてくれないだろうなぁ
彰兄多分隠れドSだから頑張って煽れば無理ではなさそうなんだけど・・・
「とりあえず、彰兄に会いに行こうっと」
姉さんが起きてる時間とかはガードが堅くて近寄れないけど、ちょうど姉さんは寝てるし
彰兄どうしてるかな・・・変に思われたりしないかな
きょ、今日も可愛いって言ってくれるかな・・・・・・?
(以下、超面倒臭い妹の超面倒臭い妄想ループにつき、省略)
と、いう訳で彰兄の部屋にいる現状・・・彰兄は気持ちよさそうに寝息をたてて熟睡中だった
それは大して問題にはならない、本当の問題は・・・匂いだ
直接彰兄の部屋にいるからか、それとも彰兄が目の前にいるからか・・・
全身を包み込む様な、体の中まで浸透してくる様な匂いが部屋を覆い尽くしている
現状を分かりやすく説明すると
体の芯が異常に熱い、彰兄が寝てる、イイ匂いが部屋を覆い尽くしてる
「あ、彰兄・・・起きて、起きて」
軽く揺さぶってみるが起きる気配はない
そういえば彰兄がこんな時間に昼寝してるなんて珍しいな・・・いつもなら姉さんと一緒にいる時間なのに・・・
あー、でも彰兄の寝顔なんでそうそう拝めないし・・・しばらくこのままでもいいかな・・・
「ん゛ー・・・」
「!?」
ね、寝返り、寝返りうった・・・こっち向いた
やろうと思えばちゅーできそうな距離・・・無防備に寝てる彰兄・・・
でもやったら後で姉さんに死ぬほど怒られるだろうし・・・彰兄に変な事吹き込まれたりしたら嫌だ
「・・・・・・・・・」
もうちょっと、もう少し近づくだけなら・・・・・・別にいいよね?
別に近づいちゃ駄目って言われてるわけでもないし、それくらいなら姉さんも何も言わないはず・・・はず・・・
「彰兄・・・寝ててね・・・」
これだけ熟睡していれば、もうしばらくは起きないとは思うけど
この場合警戒すべきは姉さんが入って来ないかどうか・・・姉さんも熟睡してるはずだけど
なにもしないならもうこのままここで寝てもいいんじゃ・・・?
いや無理、この火照った状態で寝るのは厳しいと思う
「もうちょっと、もうちょっと近く・・・・・・」
ベッドに両手を乗せて床に座る程度の距離だったのが、少しづつ上半身からベッドの上を進んでいく
距離感的にはまさに目と鼻の先・・・目をつぶって進めばちゅーできそうな距離
呼吸の一つ一つから微かに甘い匂いが漏れ出しているのが分かる
それを吸い込むだけで意識を遠くに持って行かれそうな錯覚に陥る
「彰兄の寝顔・・・・・・可愛い」
無意識の内に彰兄の胸元に手が伸びる・・・・・・刹那
グルリと、視界が一周した様な感覚に襲われた
「っふぇ!?」
一瞬何が起きたのか理解出来なかった
全身がベッドの上に引き寄せられ、脇の下に彰兄の腕が通っている・・・
毛布に邪魔されて体はそれほど密着してはいないが、それでも距離はかなり近い
抱きしめられてるし・・・・・・
「あ、彰兄・・・?」
「・・・・・・・・・・・・」
寝ている、起きる気配は全くない
私を捕まえてる力はそれほど強くはないけど、振り払う気には全く
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