―――2日目
午前10時、俺は昨日早起きした分寝てやろうといつもよりも長く布団の中に入っていた
「彰人、朝だよーいい加減起きて、ね」
そして2時間前から執拗に起こしてくる幼馴染の声を睡眠BGM代わりに、さらに深い眠りにつこうと努力している所だ
それにしてもこの前まで騒がしいだけだった声が、どうしてこんなにも意識を朦朧とさせるものになっているのか・・・
「いい加減起きないと、強硬手段に出ちゃうよ?」
・・・夏とはいえ、布団を引っぺがされるのはあんまりいい気がしないな・・・
寒くは無いけど、寝起きでスタンバイモードに入ったマラさんがもろに見えるからな
一応幼馴染とはいえ、そういうところは気を使わないと・・・まぁ、起きる気は全く無いが
「これだけ起こしても起きないって事は・・・まだ寝てるんだよね・・・」
いや、起きてるけど起きたくないから寝たふりしてる
あ、でもそろそろマジで寝そう・・・何か美紀の声聞いてたら眠くなってきた
「彰人ー・・・寝てるよね? 寝てる・・・よね、うん大丈夫・・・」
ん? なんか声がだんだんか細くなってきてる・・・のに距離が近づいてきてる気がする
あ、うん近づいてきてる・・・だって鎖骨辺りに軽く吐息が当たってるし
「お・・・起きないでね・・・?」
カプリ
首の根元に噛みつかれた、と言っても甘噛みレベルの力だけど
それでも全身がビクリと震えた、一瞬何が起こったか分からなかった
起きにくい・・・シチュエーション的にはこれ以上寝たふりをすると危ないって本能が言ってるのに、今起きたら絶対美紀とドギマギするだろコレ
「んっ・・・はむ、ぅっはぁ・・・ぁ」
しかも噛んだ所を中心に舐めてくるし・・・地味に舌の動きがエロい
鎖骨の凹凸に合わせて回る様に舐めてくるのが焦らされている様に思えて仕方ない
そんな冷静に考察しても、とりあえず立派にマラさんだけはいつも以上に膨張してるんだ・・・これ以上こんな事をされると、どうなるか分からない
「っひぁ・・・ん、良い匂い」
スルリと、布団の側面から小さな手が滑りこんで来た
それがズボンの内側に入ろうとしてきて・・・・・・
「流石にストップ・・・ギブギブ、起きるからもう止めてくれ」
「ふぇっ!?」
美紀が驚いた様にこっちに顔を向けた
顔が真っ赤である・・・ついでに狐の耳が超ピコピコ動いてる。当たらないからいいけど、当たったらくすぐったいだろうな・・・
状況を整理しよう
美紀がこっちを向いて赤面したままフリーズ
美紀の顔がちょっと動いただけでキスできそうなくらい近くにある
美紀の狐耳が超ピコピコしてる
美紀の右手が俺の骨盤の出っ張りの所で止まってる
俺のマラさんがスタンバイしてる
状況的に襲ったら大人しく襲われてくれそう
襲ってやろうか・・・
「あ、あ、、あの、これは、ちがくて、その、あの、ね、うん、あの」
あ、パニック入った・・・若干涙目になってるし
・・・パニクるくらいなら、しなければいいのに
「おーい・・・とりあえず落ち着け、話はそれからだ」
「ひゃ、ひゃぃ」
「はい、深呼吸」
「ひっひ・・・」
「それは深呼吸じゃない、下手な間違いをするな」
「・・・・・・すー、はー・・・すー、はー」
「ついでに言うと、そこで深呼吸をされると俺にもろに息が当たるんだが」
「っ!?」
そして再び固まる美紀
こんな感じのグデグデを数回繰り返して・・・
何故かベッドの下で正座する美紀とベッドに座ってそれを見下ろす俺の配置に納まった
見る角度によっては、イケナイ事をしている様に見えなくもない距離である
「うん・・・それで、どうしてあんな事を?」
「反省はしてる・・・後悔はしてない」
「ちゃんと答えろ、怒るぞ」
「もう怒ってるし・・・」
「いいから、理由によってはお咎めなしだ」
「ムラムラしたから?」
「ありきたりな言葉でごまかそうとするな、あと質問を質問で返すな」
「だってー、うまく言葉に出来ないし・・・」
何か朝っぱらから疲れてきた・・・お腹も空いたし、下手に追及するのも面倒だ
今回はお咎めなしにして、明日からは部屋のドアを閉めて寝よう
・・・・・・何かを忘れている様な・・・?
「・・・? どうかしたの彰人」
「あ、いや・・・何でもない、もういいから朝飯用意してきて」
「もうブランチになるけどいい?」
「問題ない」
「ん、分かった」
立ちあがって、部屋の外に出ていく美紀
その後ろ姿を見て、自分が何を忘れているかようやく気付いた
――――――狐だ
化かされた気分だ、まさかこんな事を忘れているなんて・・・幻術でも魅せられたか
何にしろ都合が悪い・・・俺はさっきまで、それほど大した事じゃ無い様な対応をしていたが、よくよく考えれば狐が憑く前の美紀はこんなことは
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