「悪魔の証明、知ってるか?」
俺のその言葉に来夏は。
「はぁ?」
素っ頓狂な声を上げた、知らないらしい。
恥かいたわ、色んな意味で。
「あーそーだな、昨日の事なんだが。」
〜〜〜〜〜
「と言うわけでな印丁が腰抜かした時に俺が必死で元の山道まで助けを呼びにいったものの、寒空の下で一時間野ざらしだったからな流石に印丁の体に響いたらしい。」
「元々体強い方の魔物でもないですからね・・・。」
風邪というよりは単に調子崩しただけだろう、病は気からだ。
そもそも俺が無事なのだから外的要因はあまり関係ないと思う。
「ふーん、幽霊、ねぇ・・・。」
いかにも胡散臭そうな表情だな。
「言っちゃうけどさ、それ何かの見間違いじゃない?」
「そんなはずはない、なんて言えないな、だが赤い光の話は本当だ。」
実際問題、幽霊関連の噂話が出る時は俺達の様な、雰囲気に流された奴らからなんだろうな。
100%が雰囲気に流されたとは言わないがな、傾向は多いだろう。
「だからこそ検証するぞ、幽霊だか気のせいだか、その辺はしっかりと区別すべきだ。」
印丁が復活するにはとにかく問題を取り除く事が必要なわけで。
「悪魔の証明かーデーモンの知り合いならいるけど。」
「いやそう言う話じゃなくてな、そもそもその幽霊がどう見てもゴーストじゃないのが問題なんだよ。」
あの光はなんか人魂的な何かだろう、そう俺達の脳が判断したらしい。
でも何か妙な訳で、それを調べるのが今回の目的だ。
「とにかく人員として来夏を連れてきた、光源として。」
「光源・・・ですか?」
「あぁ、ちょうどなんか帯電してたし。」
「うん?なんかさ、私もその・・・幽霊観察についてく流れ?」
「そりゃあ、もちろん。」
うわ、すごい嫌そうな顔しやがった。
だって一人で印丁運ぶの大変だったんだぞ、森だし俺の背と同じくらいの草生えてたし。
前全く見えない中必死に助け呼んだっての。
「いやいやいやいや!このご時世に幽霊とか!」
「お前、完全に対岸の火事だったろ。」
「ヤダー!幽霊とか!ホントヤダ!」
こいつ、引きずってでも連れてこう。
とにかくもう一人くらい人集めるか、となると誰だろうか。
〜〜〜〜〜
一旦解散してそれぞれ夜の準備をする事になった。
とにかく虫除けグッツと明かりだな、全員分買わないと。
何を用意するか確認してホームセンターに入ると何故か春彦を見かけた。
買い物をしているらしい、カゴに数個の品物が入っていた。
若林に抱きつかれたまま慣れた様子で、だ。
「おーす、春彦。」
「はい?あー藻城先輩、どうかしましたか?」
「お前この後暇?」
「えーまーはい。」
「じゃ肝試しに付き合え。」
春彦は数秒停止して。
「はい?」
素っ頓狂な声を上げた。
春彦にこれまでの事を説明する、見る見るうちに春彦の顔は苦渋に染まり。
「いやいやいや!嫌っすよ!そんな幽霊なんて今時!」
「面白いくらい来夏と同じ反応してんな。」
「俺絶対行きませんからね!肝試しなら夏やってくださいよ夏!」
夏にやったらお前行くのかよ、その言い方だとそう聞こえるな。
「諦めろ春彦、お前はそう言う奴だ・・・。」
「どう言う意味っすか!行きませんからね!」
「若林はどうする?来るか?」
「聞いてます!?」
ナマケモノを彷彿とさせる動きでのそっと若林はこちらを見てきた。
やる気の無いのが顔を見て分かる、と言うかこんな人形前見たな。
「めんどい。」
「そっか、春彦お前は来いよ。」
「扱い!扱いに差が!遺憾!」
だって春彦だし。
とにかくこれで男女比もマシになったな、人を増やせばいいと言うものでもないかもしれんが、多いに越した事はない。
「んでお前は何してんだ?買い物は分かるが生徒会の札着けたままだぞ。」
生徒会役員が仕事をする時に付ける札を着けたまま買い物をしていた、外し忘れたのだろうか。
「まだ生徒会の仕事してますから、とは言っても備品買ったらもう帰りますけどね。」
「そりゃ余計な事言ったな、ん?」
若林が視界に映ったのだが、なんだか何時もと表情が違う気がした。
やる気ないのはいつもなんだが、なんだこの不機嫌な顔は。
「俺は行きませんからね!」
「あー分かった分かった、分かったから集合場所は・・・。」
少しばかり違和感を覚えながら、俺は話を進めた。
気にし過ぎか。
〜〜〜〜〜
「なんで俺まで・・・。」
「いやー信じてたぞ春彦。」
待ち合わせの時間少し前だがしっかりと春彦は来てくれた。
ともかく春彦には後でメシくらい奢ってやるとして。
「後は印丁と来夏が来るな、印丁は多分すぐ来ると思うが・・・。」
ちらっと携帯を見る、なんの気無しの行動だがすぐに手の中で携帯が震えた。
「来夏か。」
どうやらメールらしい、開いて見ると。
「『急に用事できたから行けない。』・・・
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