「最近はヤシの実が高値で売れるなぁ・・・・・ブームが来てるな、こりゃ」
とある温暖な地方にある反魔物領で小さな酒店を営んでいる私の耳に、誰がいったかそんなセリフが飛び込んできた。
ヤシの実、砂漠・・・・。
別にブームに乗ろうとした訳じゃない。
ただ、『ヤシの実でお酒を作ったら・・・・・それはとっても美味しいな』ってそう思ってしまっただけ。
まぁ「物は試し」と言うコトで、早速ちょっと作ってみようかと思ったんだけど
あんまりにも高額過ぎる値段に目を開けられず、しょうがなく自分で取りに行くことに。
幸いにこの町は結構近くに砂漠があったので、朝に出掛けて夕方に帰る予定だったのに・・・・
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「・・・みぃ・・・・・みずぅぅぅ・・・・・・・・・」
3時間後、そこには今にも死にそうに遭難している私の姿が!!
って言ってる場合じゃなぁぁぁぁぁあああああああいいい!!!!!!!
一面360°古今東西南北上下左右。何処を見ても砂!!砂!!砂!!砂ぁぁぁぁぁぁっ!!?
地図?今まさに砂丘が崩れたりしてるのにアテになるワケがないよ!分かるか!!
どうしよう!?マジでどうしよう!?まだ若いのに死にたくないよ!!そうなんだよぉぉ!!
「・・・・・・ぷっ」
って古典的なだじゃれで軽く笑ってる場合じゃなあああああああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・。
ばたっ。
私の身体が砂に倒れこみ、細かい砂埃が舞った。
「・・・・・・あぅー・・・・・」
ダメだ、本格的にマズい。だじゃれで笑っている場合じゃナイ。
砂が口の中でジャリンジャリンしてる。細かい。
何か小説とかだとこういう場面は、荷物がただの重りになるっていう表現がよく使われるけど。
砂漠で遭難したなら、もう水が一滴も残ってないからむしろ軽すぎてコワイ。
「みずー・・・・・・みず・・・・・」
喉がカラカラで声もかすれてきちゃってるよ。
だったら黙ればいいじゃない?それが出来ないのが人間の性だよ(キリッ
カンカン照りの太陽を、いつぞやの猛暑でもこれほど恨んだことはなかったよ。
だがこんなところで終わってはダメだぁっ・・・・・私のっ・・・・・私の野望(仮)がぁぁぁぁ・・・・・。
そう心が身体に強く訴えかけるけど、まったく動いてくれない私の身体。
ゆらっ・・・・。
・・・・あれ・・・・・・なんか・・・・砂が・・・・舞って・・・・・・・・影・・・・・?
あぁ、そっか・・・・これは蜃気楼・・・・っていうの?
・・・・・それとも・・・・・死ぬ前に見るアレ・・・・あの・・・・なんとか灯?何だっけ、忘れた。
ゆらん、ゆらん。
『何だろ・・・・・?これ・・・・・・・。』
そんな言葉を口に出そうとしたけど乾きすぎていて声が出なかった。
何とか開けていた目も、次第にうつらうつらと言う風に閉じていく。
せめて・・・・・机の引き出しに入れてある・・・・・男達の宴を・・・・・処分・・・・・したかっ・・・・
そう心の中での魂の叫びを最後に、彼女の意識はぷっつりと途絶えた。
ゆらっ、ゆらゆら。
砂の地面に突っ伏している彼女をじっと見詰める、2人、もしくは2匹の人の姿をした影。
「・・・・ナニコレー」
「行倒れだと思う、軽装だし。」
「オトコ?オンナ?私的にはオトコを希望。」
「ちょっと待って・・・・・あー、残念、オンナノコでした。」
「そんなー」
「私は『アヌビス様』かとおもっちゃったー。」
「あー、言われるとうん、ちょっと似てるねぇ。」
「・・・どうする?」
「どーしよ?」
「「うーん・・・・・。」」
しばしの腕を組んでの沈黙ののち、片方が
「・・・・・まぁとりあえず持ってかえってみよっか?」
「え、まさかこのニンゲンを?」
「うん、放っておいたら死にそうだもの、助けても怒られないって。」
「えー、でももしかしたら起きたとたんに私達におそいかかってきたりするんじゃない?」
「だからってこのままにして報告するだけだと怒られるでしょ?
とりあえず持ってかえろー。」
「もう、おそわれても知らないよぉ・・・・・?」
「あはは、大丈夫だってー。むしろ大歓迎だよ?」
そんな会話を交わした後、二匹のマミーの片方が砂の地面に突っ伏している人間をかついだ。
「よっとっ・・・・・うわっ、軽いなぁ、もう結構ヤバそうだよこれ。」
「やめときなよーおそわれるよーおいときなよー」
「夢見が悪いって・・・・あ、その落ちてるビン拾ってあげてー」
「もー・・・・」
不安症な方のマミーが、拾ったビンをブラブラさせながらもう一匹の後をついていく。
赤みがかかった砂が舞い荒れる砂漠に、彼女達が進む先にあるデルタ型の建物
――――ピラミッ
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